緑の党
 Green Party

 
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    原発再稼働を強行する野田政権
 
 野田政権は「どじょう内閣」と言われ、あたかも庶民派の装いをして登場したが、実際はアメリカ追髄、財界の代弁者としてその本性を露わにしている。@原発の再稼働を主張し、原発輸出推進を目論んでいる。Aアメリカとの同盟を深化・発展させると称して、TPPを推進し、沖縄に辺野古基地を強行しようとしている。B復興特区なるものを作って大企業やアメリカなどの外資を導入しようとし、新自由主義を踏襲している。C復興税と称して更なる増税を狙い、国民には増税、大企業には優遇税制を強行しようとしているのである。
 9月19日、国民6万人が明治公園に結集し、広島、長崎、そして福島に続く被爆地を絶対作らせないと原発反対の声を上げた。福島現地の声を私たちは忘れることができない。「山は青く、水は清らかな自然豊かな美しい福島を今は目に見えない放射能が襲い、福島の人々は悩み、悲しんでいる。逃げるか・逃げないか、食べるか・食べないかなどの決断にいつも迫られている。真実は隠され、国は国民を守らない。福島は実験材料にされ、私たちは捨てられたのだ。しかし、私たちをバカにするな、私たちの命を奪うな、深い悲しみの中でも子どもたちを守ろう。そして原発はいらないと声を上げている。」と訴えていた。
 野田政権の原発再稼働は、全く国民の意思を無視するものである。
 
 ストレステストの欺瞞
 
 野田首相は、9月2日の首相就任時には「老朽化して寿命のきた原発は廃炉にする。新設や増設は無理だろう、それが基本的な流れだと思う」と発言する一方、「少なくとも2030年までは、一定割合の既存の原発を活用し、安全チェックし、再稼働できるものはしていく」と言い、「電力不足が経済に悪影響をあたえる。原発の再稼働で電源を確保することが急務だ」として、原発の再稼働を推進する方向を打ち出した。
 しかし、安全のチェックなどと言っても信憑性があるものではない。ストレステスト(耐久試験)を行って再稼働すると言われているが、そのストレステストが曲者である。それは全く、国民だましのものである。福島事故前の2006年、政府はそれまでの耐震設計の審査指針を大幅に変更し、「残余のリスク」(想定された地震を上回る地震によって、施設に甚大な損傷を受け、放射性物質が大量に放出されるとともに、公衆への大量被ばくが生じるリスク)を考慮することになったが、現実にはそれまでの耐震設計を踏襲し、大量の放射線量の放出があっても事故がないものとされてきた。それでも経済産業省原子力安全・保安院がお墨付きを与えてきたもので、何の実効もなかった。
 今度のストレステストは、政府が、設計段階の想定を超える地震や津波にどこまで耐えられるかを電力会社に調べさせ、その結果を保安院が評価、原子力安全委員会が確認するというものだ。しかし、テスト結果を判断する基準はない。「テストはあくまでもシミュレーション、事故が収束して、全てのデータが出るまでは評価しないということではない」と言う。「基準がなくても内容を見てから検討する」というのだから、初めから「合格」「再稼働OK」の結果が見えている。何もやらないとだませないので、一応コンピューターで、基準を超えた重大事故や自然災害にどれだけ耐えうるか原発の安全性をシミュレーションしましょうというだけで、安全性の保障などないのである。もともと安全な原発など存在しないが、評価項目を決めてコンピューター解析をし、弱みや安全余裕がなくなる限界を調べ、弱点があっても電力会社に改善させる強制力はないというから何のためのテストなのかと疑う。EUでは、テストに不合格の原発は停止か廃炉にすべきで、そうしない場合でも政府は結果を公表し、理由を説明すべきだとしている。日本では、アリバイ仕事であって、ストレステストなるものを使って、あたかも「安全」かのように装うというだけである。
 だが、福島原発事故で、原発の「安全性」は破たんした。「原発は安全」は真っ赤な嘘であることが明白になった。そして、事故の真相究明さえまだきちんと行われていない。この原発事故の主要な原因は津波のように報じられているが、津波の前に地震ですでに配管は破断され、冷却できなくなっていたと語る技術者も多い。一度事故が起きれば、原発の制御は難しく、崩壊熱をいつまでも出し続け、人体をむしばんでいく。そして原発の廃棄処理さえできないのだから、核と人類は共存できない。原発を廃止し、核兵器を廃絶する以外ない。ましてや地震国の日本に、54基もの原発を作ったが、日本崩壊の危機に立たされているのである。
 にもかかわらず、9月22日国連の「原子力安全首脳会合」で野田首相は、年内に冷温停止を前倒しで行い、原発再稼働を主張した。「原子力発電の安全性を世界最高水準に高め、原子力の利用を模索する世界の国々の関心にしっかり応えていく」とし、「安全性の確保ができた原発を各国へ輸出していく姿勢に変わりはない」と発言している。福島原発事故で、空にも海にも大量の放射性物質を世界に垂れ流したにもかかわらず、何の反省も謝罪もなく、輸出にまで言及したことで、原発の被害を更に世界に広げるのかと怒りを買っている。
 
 廃炉まで30年以上
 
 野田首相は、原発の「安全性」について簡単に言うが、福島原発事故は未だに収束していない。7月19日東電は、4月から3カ月で原子炉を安定的に冷却させるステップ1は達成したとし、今後3年間で燃料プールから使用済み燃料を取り出し、廃炉に向けた準備をする方針を示した。そして10月17日現在、政府と東電の統合対策室は、7月から3カ月〜6カ月のステップ2の段階も来年1月が期限になっているものを前倒しし、年内達成と明記した工程表を改定した。
 このステップ2とは、たまった汚染水を浄化して、原子炉冷却に再利用する「循環注水冷却」で「冷温停止」状態にすることが最大の目標である。更に汚染水の海洋流出を防ぐ遮蔽壁の設計、着工。原子炉建屋カバーの設置、がれき撤去など放射性物質の飛散を抑え、原発敷地境界での年間被ばく線量を1ミリシーベルト(mSV)以下に下げるとしている。
 この原子炉の「冷温停止」状態が年内に達成されるというのである。メルトダウン(炉心溶融)をおこした1〜3号機は、圧力容器底部の温度がそれぞれ、10月15日段階で、1号機は約70℃、2号機は約80℃,3号機は70℃前後で安定し、放射性物質も事故当初の約800万分の1の毎時約1億ベクレルに減り、原発敷地外周辺部での年間被ばく線量も、目標の年間1mSVを下回る、0.2mSVとなったと説明している。本当にそうなのだろうか。60キロ離れた福島市内でも年間20mSVを超える高い放射線量に悩まされている地域があり、一体どこの場所で測った数値なのであろうかさえ思ってしまう。
 通常の原子炉では、核分裂反応が止まり、冷却水が100度未満で燃料が安定的に冷却される状態を「冷温停止」という。それは圧力容器が健全な場合である。ところが、福島第一原発事故では、燃料が溶けて、圧力容器も損傷し、溶けた燃料が格納容器にまで落下したと言われている。格納容器の底も抜けている可能性があり、炉心がどこにあるのか、どう閉じ込めたらいいのかまだわからない状況である。小出裕章京都大原子炉実験所助教は「福島事故の場合は100度以下だからといって、冷温停止とは言えない」とこの政府、東電の発表に疑問を呈している。
 政府と東電はそれに対して、別な基準を設けて、圧力容器底部が100度以下になり、新たな放射性物質の放出がないことを「冷温停止」の条件にしている。「冷温停止」とは言えないので、「冷温停止状態」とごまかし、あたかも100度以下だと安全だと思わせているのである。
 核燃料は2800度の熱をだし、圧力容器の窯は16センチの厚さの鋼鉄であるが1500度で溶け、しかも圧力容器の底は制御棒を刺す穴が何百も空いているので底が抜けやすい。しかも2,3号機は高線量で原子炉建屋に人が入ることもできず、水位の調整さえできないという。原子炉の中にどこまで水があるのかもわからない。とにかく水を注入し、冷やしている状況である。したがって正確な水温も分からない。燃料が原子炉の外に溶けていれば、炉は冷えるが、事故の収束は一層困難になる。炉心の半分が解けて、圧力容器の底にたまったスリーマイル島事故の場合、燃料を取り出すまでに11年かかった。福島原発事故の場合、スリーマイル島事故のようにはいかず、どうやったらいいのか全く分からない状況で、収束までの道のりは遠い。
 内閣府の原子力委員会は、福島第一原発事故の廃炉の道筋について報告案を出したが、30年以上かかるとした。3年後燃料プールの使用済み燃料を取り出し、10年後の2021年に原子炉内の燃料取り出し作業を開始し、26年には終了。2041年には廃炉作業を完了するというのである。チェルノブイリ事故でさえ25年たった今日、未だに廃炉になっていないのだから、道は険しい。そして、11月2日、核分裂して発生するキセノンが検出されたことが明らかになった。それは2号機に「格納容器ガス管理システム」を設置したら判明したもので、当初「臨界」かと騒がれた。東電は、キセノン135(半減期約9時間)、キセノン133(半減期約5日)が微量に出ているが、臨界だと1万倍以上になり、原子炉の燃料からできている放射性物質キュリウムなどが不安定なために、自然に核分裂を起こす「自発核分裂」で、これは定期検査で原子炉が停止中でも起こるものなので、「工程に影響なし」という。
 しかし、未だに収束しない福島第一原発の事故は、これからも全く予断が許さない状況である。政府・東電は正確な情報は流さないし、何よりも未だ経験したことのない未曽有の事故だから、彼らもよくわからないのが実情である。しかし、一度事故が起きれば、その収束には果てしない年数がかかり、福島県民や国民、被ばく労働者のはかりしれない犠牲の上に進行していっているのである。
 
 緊急時避難準備区域の解除は本当に可能なのか
 
 警戒区域は原発から半径20キロメートル以内であり、20キロ圏外でも年間20ミリシーベルトを超える飯館村や浪江町などの計画避難区域は依然として、放射線量が高い。「年間100ミリシーベルトなら10年先、200ミリシーベルトなら20年先」との大雑把な試算はあったが、高い放射線量でこれらの区域の住民帰還のめどは立っていない。今までの生業、財産を奪われ、生活を根こそぎ奪われた8万5千人の避難者はどう暮らしていったらいいのか途方に暮れるばかりである。
 しかし、野田政権は、福島第一原発から半径20キロ〜30キロ圏の緊急時避難準備区域については、年間累積放射線量が20ミリシーベルト未満の地域であるとして、9月30日、緊急時避難準備区域の解除を行った。福島県の広野町、楢葉町、川内町、田村町、南相馬市の計5市町村の一部が対象となった。
 しかし、この緊急時避難準備区域は、住むことは認められているが、子どもや妊婦、入院患者らは、立ち入らないように求められていて、いざという時には逃げて下さい、その準備をしてくださいという区域である。政府は解除の要件が整ったというが、その要件とは、5市町村が、復旧計画というものを国に出すが、その復旧計画とは、各自治体が除染をやっていく方針を示したものである。
 福島から避難している人は、誰もが早く帰りたいと願っている。しかし、1年間に1mSV以上は被爆してはならないという法律があり、それが国民の健康を守る基準である。したがって放射線量の高いところには誰も戻りたくない。だから、政府はその法律に従って、国民の健康と命を守る義務がある。
 ところが、福島事故以来、年間20mSVを超えるところは避難させているが、20mSV未満までは許容範囲とされ、この緊急避難準備区域も解除されているが、放射線管理区域より線量が高い。放射線管理区域は実効線量にして3カ月当たり1.3mSV(年間にすると5.2mSV)を超える恐れのある場所、空間線量にすると1時間当たり0.6〜2.2μSVを浴び続ける恐れのある場所を放射線障害防止のために設定し、必要のあるもの以外の立ち入りを禁止し、労働者の被曝線量を測定するなどの防護措置を取る必要がある。放射線業務者や原発作業従事者など18歳未満の労働はもちろん禁止されている。この放射線管理区域より高いところが福島では75%も存在する。したがって、この緊急時避難区域を解除するということは、子どもや妊婦、入院患者などはもちろん、この地域の人達が、放射線管理区域以上に放射線を浴びるということなのである。これでどうして命を守られるであろうか。緊急避難準備区域が解除されると、子どもや要介護者らの帰還や教育施設の再開が認められるので、子どもや妊婦の健康が最も大きな課題として浮上してくる。除染で3割ほど放射線量が減ると言われているが、市民は「表土を削っているが、一時下がってもまた上がってくる」と除染の効果を疑問視している。除染では解決できない問題が残されているのである。
 福島の皆さんが調査団を組んでチェルノブイリを視察し、調査した結果、農地の表土をはぐような除染をやってはいけないという話が出て、福島の人達は大変落胆したと言われる。農地にとって表土は命であり、土の活力がなくなるからでもあり、汚染された土地はなかなか元に戻らないというのである。政府はまず除染ありきというが、除染で放射能汚染は簡単になくならないというのが実情である。
 また、福島市(人口29万人)は放射線量が高く、特定避難勧奨地点の指定対象にされていないが、強制避難させなければならないほどの放射線量の高い渡利(わたり)地区などがある。福島県内の南相馬市や伊達市は年間被ばく線量が20mSVを超えなくても、妊婦や子どもがいる世帯は特定避難勧奨地点に指定されている。南相馬市、伊達市、川内村の245世帯である。南相馬市では、年間20mSVの基準として、毎時3.0μSV以上という基準が設定され、子どもと妊婦は地表50センチで、2.0μSVより厳しく設定されている。ところが、渡利地区でも地表50センチで、2.0μSVを超える世帯が309世帯あったという。それなら当然、妊婦や子どものいる世帯なら、特定避難勧奨地点に指定されるべきである。ところが、福島市の渡利地区などにはその原則が適用されなかった。福島市の大波地区でも1時間当たり2.9μSV(年間25mSV)を計測する場所がある。この「特定避難勧奨地点」に指定されれば、住民が避難すると決めた場合、国の支援が受けられ、東電の補償にも影響が出てくる。あくまでも東電と政府の巨額の賠償負担を回避することが優先され、子どもや県民の命は犠牲にするものである。渡利地区の市民は政府交渉で、「なぜ南相馬市の子どもと渡利地区の子どもは違うのか。県民を分断する政府の二重基準をやめ、等しく避難する権利を認めよ」と訴えている。原発から60キロ離れた福島市内も放射線量が高く、市民は深刻な被ばくに直面している。県庁所在地までに放射能汚染は深刻化していることを政府は認めず、国の原発推進から今回の福島原発事故を招いたことに対して福島県民に謝罪すべきであるがそれも行っていない。また東電は被災者に補償し、解体されるべきである。東電で不足した場合は政府が補償すべきである。国民から電気料金を巻き上げて補償する今の体制では、東電は何の痛みもない。
 
 自主避難にも補償を
 
 そして、自主的避難を強いられている福島の県民が、全ての自主避難にも補償をと闘っている。原子力損害賠償紛争審査会では、これまで、計画的避難区域と緊急時避難準備区域を設定した4月22日を境に、自主避難者への賠償について、22日前は補償の対象になり、以後は対象外など避難時期で区別するべきだとの議論がなされていたが、10月20日、文科省では開かれた原子力損害賠償紛争審査会の開催前の集会で都内に避難した男性は「事故直後は、大半の住民は十分な情報が得られず、大量の被曝をさせられた。これ以上、家族を被ばくさせたくないという当たり前の感情だ」と言い、静岡に避難した男性は「妻が妊娠していたが、検査で、ベトちゃんやドクちゃんのような連結性双生児の疑いがあると言われた。それでももちろん妻には産んでいいと言った。自宅を測ったら0.4〜0.5μsv/hなので、もうここまでだ。家族の未来を守らなければと決断した。福祉事業所の役員だったが、全てをなげうって避難した」と話していた。夫を福島に残し、子どもと都内に避難した女性は「二重生活は苦しいが、子どもの将来を守りたい。その行動が間違っていないことを国に認めてもらいたい」と話した。札幌に避難した宍戸さんは、「望んで残っている人ばかりではない。望めば避難できるという状況を作ることが、今も福島で悩み続けている人たちにとって、光になる」と県民の声を代表して訴えた。また、福島の弁護士は「避難する人だけでなく、福島再生のために頑張っている人たちをも補償する道を作って下さい」と訴えていた。原発事故は、残る人たちも、そして避難する人たちも苦しい選択なのである。被災者全ての補償が必要である。
 冷戦中に米国内で、繰り返された核実験の長期的影響を研究したジョン・W・ゴフマン医師は、「人間と放射線」の著書で有名であるが、彼によると、「年間20mSVの被ばくで、1万人のうち80人がガンで死亡。ゼロ歳児は大人の4倍の感受性があり、1万人のうち320人がやがて致死性のガンを発症する」と警告している。政府は国民の命を守ることを最優先すべきである。
 10月20日、福島県議会は福島第一原発事故を受け、県内にある第一、第二原発計10基すべての廃炉を求める請願を賛成多数で採決した。佐藤雄平知事は、「採択の意義は重い。第一、第二原発の再稼働はあり得ない」と述べた。原発事故の後、県は「脱原発」を掲げ、その理念を県議会の各会派が支持した。政府・東電が第一の5・6号機、第二原発の1〜4号機についての方針を出していない中、廃炉を明確にし、原子力政策に決別したことは大変重要な意味を持つ。
 事故収束のためにこれからまだまだ時間がかかり、子どもをはじめとして、福島県民の健康と命の問題が深刻化する中で、福島県民は一層の困難を強いられる。そして、生涯をかけて築いてきた農業や酪農、漁業などその生業が全て放射能汚染で廃業に追い詰められたその怒りは、消え去ることはないし、汚染された土地は元に戻らない。そして今後これからの生計をどう立てていくか大きな課題が残されている。東電はすべての被災者に補償をすべきであり、政府は福島再生のために責任を負うべきである。この県民の怒りを受け、県議会がすべての原発の廃炉の請願を決議したことは、大きな前進である。
 
 浜岡原発の永久停止を決めた静岡牧之原市
 
 中部電力浜岡原発の10キロ圏内にある静岡県牧之原市議会でも9月26日、浜岡原発について「東海地震の(想定)震源域真上に立地しており、確実な安全、安心が将来にわたって担保されない限り、永久停止すべきだ」と賛成多数で可決した。決議は、「一度の間違いも許されない原子力発電にもかかわらず、(福島第一原発で)重大な事故が発生した事実を鑑みれば、まず第一に市民の生命、財産を守ることを考えなければならない」とした。この決議は10キロ圏内では初めてのことである。西原茂樹市長は、決議について「議会の決定を重く受け止め、同じ思いで進めていく。事故発生のリスクがある以上、市民の安全と安心のために永久停止すべきだ」と表明した。そして再稼働については「地元自治体の賛同がなければ認められない」とした。静岡県では浜岡原発の永久停止と廃炉を求める意見書は伊豆市、東伊豆町、松崎町の各議会が決議している。
 浜岡原発は5基あるが、1、2号機は09年に運転を終了し、残る3基は約360万kwの出力で、3月11日の時点で、3号機は定期点検中で、4,5号機は運転中だったが、政府の要請で、5月中旬に全面停止した。中電は防潮堤建設を2年計画で行い、地元同意を得てからの運転再開を目指していたが、牧之原市の議決は運転再開の阻止となり、原発自治体に大きく影響を与えることになる。
 山口県上関町では、9月25日、町長選が行われたが、祝島島民の会を代表する山戸貞夫さんが脱原発を訴え、挑戦したが、32%の905票の支持にとどまり、原発推進派の柏原重海現職市長が1868票で、3選を果たした。町長選の投票率も87.55%と過去最低だった。だが、推進派が勝利したとはいえ、深刻な現実がある。
 上関町は現在3500人の人口で過疎・高齢化の町である。1960年には約1万2300人いたものが原発誘致の1982年時点で7000人に減り、それから更に現在では半減した。原発誘致を表明したら、上関町の税収が2億5千万円だったものが、原発交付金として1984年から昨年までで計45億円入った。2011年度の一般会計約10億9700万円のうち原発交付金は25%を占める。交付金を活用した温泉施設が12月にオープンする。交付金とは別に中国電力から寄付を総額24億円受けている。中学生以下の医療費や町民全体のインフルエンザ予防接種の無料化など実施してきた。交付金と中国電力の寄付に依存してきたが、野田政権も「新規原発の建設は困難」と表明する中、交付金が入ってくる見通しが立たなく恐れも出てきて、推進派の町長自体が「原発なしで町づくりも選択しなければならない」と議会で答弁している。交付金と電力会社の寄付金漬けが、町運営をおかしくしてしまったのである。
 祝島では、祝島島民の会を代表する山戸貞夫さんらは、1982年から一貫して原発反対を訴え、原発に頼らない生活を築いてきた。今では、太陽光パネルで電力の自給を目指す「自然エネルギー100%プロジェクト」をはじめ、脱原発の闘いを先導している。一度原発が襲えば、漁業も、農業も、酪農もすべて廃業に追い込められることを福島の酪農家の長谷川健一さんは証言していた。そうならないための闘いを祝島では29年間命をかけて闘ってきた。その闘いの中で住民が対立するように分断されてきたが、福島原発事故は、祝島の自然を生かした持続可能な地域おこしの生活こそが正しいと教えてくれた。どんなに金が入っても、命も、財産も、自然も放射能汚染されたのでは、再生不能になる。山口県知事も、来年10月に期限が切れる海面の埋め立て免許を中国電力に更新しない方針を表明している。原発ができないと交付金や、固定資産税など原発マネーは入ってこない。しかし、原発に頼らない地域おこしを築いていくことが大事である。
 玄海原発がある玄海町でも、57億円の一般会計のうち、原発がらみの予算は39億円で、70%が原発依存の財政である。原発推進という中身は国家政策の中で、金縛りにあい、原発マネーを当てにして、町運営をしてきたところに、今日の福島の原発事故の問題もある。
 野田政権は、国民の声を無視して、玄海4号の再稼働を強行した。福島原発事故後トラブルで停止していたもので、10月31日、経産相原子力安全・保安院が九電の原因調査と再発防止策を妥当とすると判断したのを受け、地元の意向を確認しないまま、九電は再稼働を強行した。政府のお墨付きをもらうや、全く地元無視の九電に批判が猛烈に強まっている。玄海町長は「(再開に)、私の同意は必要でなく、口を挟めるものではない。地元が納得した上で動かすのが筋。誠意ある対応とは言えず、賛同できない」と批判した。九電はやらせメールでも信頼を失っていたが、政府と電力会社のこのような癒着で、原発が再び稼働されていくことは大変恐ろしいことであり、福島事故から何も学んでいない。あるのは金儲けである。国民の命こそ最優先されるべきである。
 
 アメリカに尻を叩かれる野田政権
 
 9月下旬、国連総会で訪米していた野田首相は、初の日米首脳会談を行い、「名護新基地建設に全力を尽くす」ことを表明したが、オバマ大統領は、「進展を期待する」とは言ったものの、「結果を求める時期は近い」とくぎを刺した。辺野古移設を日本が表明してから15年間も実現していなことに米国はいらだち、米国の対日専門家の元国務副長官アーミテージは「過去2年間、日米関係はよくなかった」と民主党政権への不満をあからさまにした。そして、06年の小泉が退陣してから、安倍、福田、麻生の自公政権、そして、鳩山、菅の民主党政権と1年前後で首相が次々交替していることを、米国の「ニューヨーク・タイムズ」は日本の首相を「回転ドア」に例え、「ワシントン(米国政府)は、日本の回転ドア首相たちとの付き合いには、うんざりしている」と述べている。
 しかし、各首相が、名護新基地の進展を実現できなかったのは、沖縄の粘り強い闘いがあるからであり、首相と言えども、沖縄県民が頑として新基地を認めなかったからである。沖縄では基地の代わりに交付金をよこしても、沖縄の犠牲が大きく、そして、米国の侵略戦争に加担することに反対し、基地撤去を求めているからである。
 野田政権はこの米国の脅しに最近、沖縄に次々と閣僚を送っている。12日は沖縄担当相・川端が訪問し、防衛相・一川、外相・玄葉らが訪問し、政調会長・前原も11月に訪問する予定である。米側は名護市辺野古への新基地計画の「環境影響評価」(アセスメント)を年内に提出するように求めているからである。9月1日、防衛事務次官・中江が、沖縄知事と会談し、普天間飛行場に垂直離着陸機MV22オスプレを配備することを認めてもらうことと、辺野古新基地移設計画に基づくアセスメント評価書を年内に提出するという方針を伝えているが、知事は新基地建設反対を貫いている。この「評価書」を沖縄県知事に提出し、来年の春にも知事に公有水面埋め立ての許可申請を出し、計画を実行する狙いであるが、平行線である。そこで「沖縄関係閣僚会議」を構成した野田政権は、辺野古新基地移設と沖縄振興策を一括して協議し、「振興策」というエサで新基地移設を容認させようと目論んでいる。沖縄知事だけでなく、地元町長や議員、経済界らと会談し、新基地移設を強行しようとしている。地元では11月、12月が正念場だとして、辺野古移設断乎阻止の闘いを一層強化している。
 この新基地移設のみならず、米国は財政悪化で、とうとう国防総省の予算削減に踏み切らざるを得なくなった。軍事予算の削減規模は今後の10年間に総額8000億ドル(約61兆円)である。しかし、米国はアフガン、イラク、そしてリビアの侵略継続の方針に変更はない。そこで、その肩代わりを日本政府にさせようとしている。まず、米軍機の軍事訓練費用を日本に負担させるものである。岩国基地や三沢基地の米軍機が嘉手納基地を使って訓練したものが、グアムでやるようになった時、かかる費用の3分の2を日本側に負担させる。また、航空自衛隊は空中給油機KC767を4基保有しているが、それで米軍機に給油するという「覚書」を締結しているが、そのガソリン代も日本持ちである。更に米国製のハイテク兵器を購入させることや武器生産の下請けをさせようとしている。また、米国の中国への戦争準備の肩代わりを着々とさせられている。@米軍再編のもう一つの重要な問題は、アメリカ空母艦載機部隊の岩国移転計画である。この移転に伴い、米軍住宅として岩国市の愛宕山開発跡地を買い上げようとしている。Aアメリカ空母艦載機の離着陸訓練基地候補地として、いったん断念した鹿児島県の馬毛島を防衛相は勝手に決めた。種子島、屋久島などは反対を表明したが、日米安保協議委で正式に「決定」した。B自衛隊は南西諸島への陸上自衛隊への配置を狙い、沖縄県の与那国島に陸上自衛隊沿岸監視部隊を配置し、三沢に配置していたE2C早期警戒機を数機、那覇基地に常時展開させる計画である。そして那覇基地を2個中隊に増強する予定である。Cさらに、米国の要請で、陸上自衛隊の施設部隊300人を南スーダンに派兵するため、調査団を現地に送り、派兵を決定した。まさに自衛隊が米軍の下請け機関として戦闘に参加させられていく状況にある。
 この戦争への準備が着々と進められている状況は、沖縄の八重山地区での育鵬社教科書採択問題にみられるように政府が深く沖縄に戦争への準備を浸透させていることを示している。断固戦争への道を繰り返さないために、辺野古新基地反対、戦争反対の運動を広めていくことが緊急である。
 
 TPPへの加盟を狙う野田政権
 
 また、オバマ大統領は11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で日本がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉に参加することも強く要請している。これに応じて、野田政権はTPP交渉参加を表明しようとしている。この政府の動きに対して、全国でTPP加盟阻止のための抗議行動を活発化させている。
 農水省によれば、TPPが実施されれば、食料自給率は40%から14%に落ち込み、コメは90%、小麦は99%、砂糖と牛乳・乳製品は100%、牛肉は75%が外国産にとってかわられるという。今の自給率40%で、食料の輸入が止まれば、5000万人分の食料が途絶える。もし14%まで落ち込んだ場合は、1億1000万人がその危機に直面する。農業は破壊され、関連産業を含め340万人が就業機会を奪われるという。このTPPは農業だけの問題ではなく、全分野における関税撤廃であるため、漁業、林業、さらには、工業、医療、介護、郵貯、簡保、労働力の自由化、政府調達、金融サービスなどに及ぶ。日本は自給率が40%まで低下してしまったが、本当に独立国となることは、食の自給自足ができることである。ところが、一部の輸出産業の利権のために、食糧を全て米国などに依存することは、まさに亡国政治である。今でさえ対米追随であるが、一層アメリカに市場を売り渡し、米国のご機嫌をうかがわなければ何もできない従属国になってしまう。野田政権は更なる売国政権に成り下がっていくつもりである。
 米国は、8月2日、米国債の債務不履行騒ぎが起き、ようやく国債の上限枠、2兆4000億ドルを増やした米国債増発法案が成立した。米政府は、リーマンショック以来、金融恐慌、経済恐慌から、金融や大企業を救済するための資金提供枠を12兆8000億ドル(約1150兆円)とした。すでに09年の秋にまでに4兆7000億ドルを支出した。そして更なる国債発行をしてまた救済しようとしているが、国債発行して救済しても、金融や大企業の危機は深まっている。EUではすでに優良銀行だと言われた欧州最大手の公的金融機関デクシアが経営破たんし、解体されることになった。これは欧州金融恐慌の序章である。米国の金融、大企業もまた、リーマンショックから立ち直っていないのである。
 オバマは金融、大企業救出のために国債増発をしたが、それに伴って、高齢者向け医療保険の削減など国民に一層の負担を強いる緊縮財政を打ち出さざるを得ない。そしてアフガン、イラクの兵力の削減も行わなければならない状況にある。
 しかし、オバマ政権はこの苦境から脱出するために、更なる市場の拡大をねらい、輸出を倍増することを目指している。リビアの石油強奪であり、TPPを強引におすすめ、日本を組み込もうとしている。そして、さらに、復興支援と称して、日本への直接的な干渉を強めているのが、戦略国際問題研究所(CSIS)である。このCSISは米国政府とアメリカの大企業とが連携して、「復興と未来のための日米パートナーシップ」という有識者会議を発足させた。この有識者会議は、東日本大震災の復興に向けて、日米協力の具体的政策を提言するとしているが、実際は被災地の市場を狙い、規制緩和・構造改革を進めるということである。このCSISと日本の政治家、財界、官僚、御用学者が一体となって、日本の復興についても話し合い、大企業や米国の都合のいい市場作りを画策しているのである。いわゆる漁業「特区」なるものを作って、零細漁民や漁協の権利を奪い取るものである。そのために意図的に復興を遅れさせている。復興サボタージュである。あくまでも大企業の儲けのために、漁民、農民、そして労働者もその糧を奪われ、まったく無権利に追い詰められている。そのような売国政権に断固反対し、働く者が生きていける社会を作るためにも、労働者が団結し、TPP加盟阻止、原発反対の闘いを広げていこう。



 
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