緑の党
 Green Party

 
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    戦争に明け暮れるアメリカの財政が世界の危機を招く
 
 世界同時株安が発生しているが、その原因の一つは米国の国債不履行の危機であり、もう一つはギリシア国債危機に端を発したものが欧州全体の危機に波及していることである。
 8月2日、米国の債務上限引き上げ法案が上下下院で可決し、ひとまず債務不履行(デフォルト)が回避された。しかし、8月4日には世界同時株安が再び発生し、ドル売り、ユーロ売りの中で、比較的安定している円の買いが強まり、円相場は東日本大震災後最高値に迫り、株価も下落した。政府は4日「円売りドル買い」介入を行ったが、一時的には下がったものの、何の効果もなくまた1ドル77円台の円高となり、日本の企業は海外市場進出を加速させている。
 米国は国債を無限に発行できるわけでなく規制がかかっている。昨年2月、債務上限を14兆2940億ドル(約1130兆円)に引き上げた。しかし、オバマ政府は毎年、1兆ドルをこす赤字財政を組んできたので、8月2日には上限が突破されることが確実になり、債務上限をさらに引き上げなければならなくなった。規制枠があるとはいえ、毎年債務上限を上げなければならない状況で、米国の財政赤字に何の改善もみられないことから、世界同時株安は避けがたいものになっている。
 米国の2011年度の財政赤字はGDPの10.9%の1兆600億ドルにも達し、過去最大になる見積もりである。歳入は、景気後退や富裕層への減税で減り、2兆2000億ドルにとどまり、歳出は、金融、大企業への救済、アフガン、イラク戦争続行のため、3兆8000億ドルで、赤字財政なので、国債を発行し、借金をしないかぎり立ち行かない。
 今回も債務不履行の危機を乗り越えるために、オバマ政府は、債務上限を2.1兆ドルから2.4兆ドルに引き上げる代わりに、今後10年間で2.4兆ドル(約193兆円)規模の赤字削減策を2段階に分けて実施することを決めた。オバマ政府の提案に、富裕層の減税打ち切り、高齢者医療保険や年金制度の歳出カットを打ち出したが、共和党は金持ちへの増税に反対したため、それは盛り込まれず、赤字削減は歳出削減で対応せざるを得ないことになった。この緊縮財政とは国民に犠牲を押し付けることである。オバマ政権の目玉であった医療保険制度改革も見直しを迫られ、日本の民主党と同様に公約をなげだし、社会保障制度の後退で、米国民の生活がまた圧迫されることになった。
 米国はドルの垂れ流しで景気刺激策、量的緩和(QE2)を行ったが、経済の立て直しにはならなかった。経済成長率は今年に入っても低迷し、住宅価格は昨年9月以降下がり続け、GDPの7割を占める個人消費は伸びない。それどころか、米国発のマネーで、資源、食料の価格高騰がもたらされ、新興国のバブルも引き起こしている。オバマ政府は、国際エネルギー機関(IEA)を動かして、世界的に石油を放出させているが、この米国マネーによって、世界の経済は翻弄されている。しかし、米財界は3度目の量的緩和政策(QE3)を要求している。ドル安になった米国は、輸出に活路を求めているが、米国民の生活はますます苦しくなっている。失業率は9%と高止まりであり、雇用の改善はなく、食料切符で食いつなぐ国民は4400万人以上で、一日4700人のペースで増えている。個人の破産も月3万件を超え、3年前のリーマン・ショックを上回っている。リーマン・ショックに見られる米国経済の特徴は、住宅建設を軸に、低所得者にまで持ち家を持てるようにサブプライムローンを広げて、消費市場を作ったが、もともと低所得者は支払い不能で、大量生産した住宅は残り、ローン不履行の中古住宅もあふれ、今も住宅産業過剰生産状態から抜け出せず、住宅建設は最盛期の3分の1である。住宅市場を作り、徹底して国民から収奪するというものである。これが新自由主義の正体である。
 また、米国の債務不履行問題で、米国債は「格下げ」になったが、ドルの垂れ流しをやめようとしないので、プーチン・ロシア首相は米国を「過剰債務で世界経済に寄生している」と非難した。また中国では、1.1兆ドル(約85兆円)の米国債を保有するため、「投資家の利益を保証する責任がある」と要求している。しかし、日本はその要求もせず、東日本大震災で復興が必要な中、4兆5000億円を出してドル国債を買い支え、米国に追随しているのである。
 
 東日本大震災、原発で被災した国民は救わない政府
 
 政府はこの4兆5000億円の他、8月末には、1000億ドル(7兆6000億円)規模の円高対応緊急基金を創設するとは発表した。これは、1年間の時限措置であるが、ドル買い介入で得た1000億ドルの資金を活用し、外国為替資金特別会計が、日本企業が持つ円資金の外貨への転換をするためだという。日本の企業はアメリカで自動車や家電製品を販売させてもらい、貿易黒字になるが、その貯蓄はアメリカ政府への融資、つまり米国債という形でしか保持できない仕組みになっている。それを政府が更に促進させるための基金であり、あくまでもアメリカに隷属したものであ。しかも、国民に諮ることもなく7兆6000億円が決められたのは、輸出大企業のためのものである。
 ところが、3.11で被災した人々は、家も、仕事も奪われ、半年たった今も避難所生活が強いられている人々がいる。原発事故に遭った人々は、高濃度放射能汚染のため畑も牛も残して避難しなければならなくなった。全てを奪われ、復帰する見通しさえ立たない人たちもいる。その被災者に東電から100万円、政府から35万円支払われただけである。この大震災で、今も生活の糧を奪われ路頭に迷う人たちがいるというのに、政府の対応は大変冷たいものである。輸出企業対策とはあまりにも対照的である。
 今回の原発事故でも、6月14日、政府が閣議決定した「原発賠償支援法案」は、原発賠償機構を設置して、原発を保有する電力会社に対して資金の拠出を義務付けたが、この枠組みでは、最終的には、賠償金は電気料金の引き上げで国民の負担になるというものである。政府も賠償責任を負わない、東電に融資した銀行や東電株主も一切責任を取らないというもので何の痛みもない。経産省の官僚で辞めさせられた古賀氏などは、「東電の破たん処理によって、株主責任を取らせ、銀行にも債権カットを求めれば、4兆円か5兆円の財源は出てくる。これで国民の負担を大きく減らせる」と話しているが、こういう人が辞任に追い詰められた理由は、これを行えば、原発推進をしてきた政府自身に原発の賠償責任が出てくるし、東電を破綻させたら、官僚の利権もまた喪失するからである。この利権がらみの大企業の利益を温存する体制を維持することを民主党はよしとし、その代り国民には徹底的に犠牲を強いている。全く反国民的な政治を強行しているのが民主党であり、野田新政権の本質である。
 
 ユーロ圏も破たん
 
 アメリカ財政危機のみならずユーロ圏も深刻な危機を迎えている。ギリシアは欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から金融支援を受けていたが、一層の財政悪化で、債務不履行の危機に直面している。これはギリシャだけでなく、アイルランド、ポルトガルにも波及している。ユーロ圏(17カ国)首脳会議は、総額1590億ユーロ(約18兆円)のギリシア追加支援を合意した。そして、財政危機にあるギリシア、アイルランド、ポルトガルへの金融支援への条件を見直し、返済延長や金利低減を図り、欧州金融安定化基金の機能を拡充し、財政危機に陥った諸国の国債を市場から購入する機能を与えるなどした。
 このEUの措置は、ギリシア一国あるいはギリシアに似た国が出ることによって、債務危機が欧州全体の危機となり、また金融危機を引き起こすので、ギリシアのような国は徹底した緊縮財政をとれというものである。
 しかし、ギリシア国民は、08年の秋、欧州で起きた金融・経済恐慌の中で、銀行や大企業救済のために国家資金が投入され、緊縮財政を強いられているが、それによって、国民が犠牲になっていること、また、ユーロ圏に加盟したことにより、市場原理主義の導入で、新自由主義、グローバリズムが強行され、アメリカ、フランス、ドイツの大企業の格好の市場にされ、収奪されたと怒りをあらわにしている。緊縮財政は医療や福祉、教育の改悪、年金制度の改悪、消費税の増税など国民生活に追い打ちをかけ、国民生活を破壊している。ギリシアの労働者は、緊縮財政を押し付けるIMF、EU,そして最大の債権国であるドイツのメルケル首相、大企業を救出し、EU・IMFの言いなりになるギリシャ首相パパンドレウに怒りを向けている。ポルトガル、スペイン、イタリアの国民もそれに続いている。
 ユーロ圏だけでなく、このグローバリズム、新自由主義が、富める者は益々富み、貧しいものがますます窮乏化するため、世界でストライキと暴動、あるいは排外主義を強めている。
 イギリスでは、8月4日貧困層の多いロンドンのトットナムで29歳の無職の黒人男性が警察官に射殺された。警察の「麻薬密売のごろつき」という差別、排外主義に対して、家族が抗議し、その抗議行動は警察署へのデモに広がり、暴動へと発展した。10代の若者を中心とする暴動はロンドンから瞬く間に地方へ拡大した。イギリスでは24歳以下の若者の失業率は22%に達し、生きられない青年が暴動化している。キャメロン政権は力で抑え込もうとしているが、国民の窮乏化問題を解決していかない限り、この問題は消えることがない。
 また、イスラエルでは30万人を超える史上最大のデモが8月6日起きている。この運動は一人の女性の闘いから始まった。バフネ・リーフさん(25歳)は大学で映画を専攻し、ビデオ編集の仕事に携わっていたが、アパートの家主に契約延長拒否を言い渡された。次のアパートを探すうちに家賃高騰の現実に直面し、愕然とする。テルアビブでは過去5年間で住宅価格が65%、昨年1年間でも家賃が35%も上昇。平均の約93uの大きさの家賃は2〜3000ドルで、これは大半のイスラエル人の月収を超える。イスラエルでも、若者は、生活のために仕事を掛け持ちし、複数でアパートをシェアーしたり、仕事がありながら親の援助を受けざるを得ない。リーフさんは、テルアビブの中心街で、家賃高騰に抗議するため、「テント村」を建て、インターネットで呼びかけたら、その数は日に日に増え、7月23日の住宅抗議デモにはテルアビブだけで3万人が参加した。その闘いは更に発展し、15万人デモに膨れ上がった。
 ネタニヤフ首相は、7月末ポーランド訪問を予定していたが、渡航を中止し、「今後1年半で5万戸、うち1万戸を学生用として公営住宅を建造する。A学生に交通費を補助する」と打ち出したが、それで収まるべくもなく、8月6日には低賃金と物価高騰に抗議する30万人を超えるイスラエル史上最大のデモが起きたのである。イスラエルも市場経済を導入することによって、労働者人口の75%が、月収約16万円以下で暮らし、貧困率と所得の不平等率は最悪グループに入るようになった。一部の富める者はますます富んでいるが、貧困層が急速に増加してきたのである。これは新自由主義による世界的な傾向である。
 
 排外主義が惨劇を生む
 
 ノルウェーの首都オスロにある政府庁舎が爆破され8名が死亡した。同日オスロ郊外のウトヤ島で極右主義の青年が、銃を乱射して69名が死亡した。ウトヤ島ではノルウェー労働党青年部の集会が行われ、10代の青年が約700人参加していたという。この青年は「イスラムによる乗っ取りから西洋を守るため」と言い、無罪を主張しているというが、この青年が特殊なのではなく、欧州では極右勢力が拡大しているという。イスラムが敵ではないが、多くは移民で渡ってくるイスラムのおかげで、就職難で異常な社会の原因をイスラムのせいにすり替え、偏見、差別、排外主義がまかり通る。これは今おきたものではなく、白人主義によるアラブ人、アジア人に対する蔑視が今なお続いている。新自由主義という貧富の差の拡大によって、偏見、差別、排外主義が強まっている。そしてその勢力がまたリビア攻撃を支えているのである。実は大資本によるアラブ収奪、アジア収奪の狙いが隠されているのである。
 米英仏が中心となり、北大西洋条約機構(NATO)が3月から、リビア攻撃を行ったが、9月、「遂にカダフイ政権打倒、臨時政府樹立発表」を実現する予定であったが、そのシナリオが頓挫している。米英仏が傀儡政権を作ろうとしたが、リビア国内では、米欧の占領支配に反対する武装抵抗がまだ続いている。「西でもない、東でもない」のスローガンを叫び、外国軍の撤退と諸外国の干渉の終結を求めるデモが始まっている。米欧はカダフィ政権の打倒を狙い、石油資源を略奪するために攻撃をかけた。カダフィ政権を打倒したら、イラク同様になると見込んだからである。そして金融危機に苦しむ米欧は、BRICsに続き、経済発展を遂げているアフリカに注目し、介入を始めたのである。このアフリカの発展を築いたのはリビアのカダフィ政権によるところが大きい。カダフィ政権は域内諸国を網羅する国際機関・アフリカ連合(AU)を金融面で支援してきた。AUは米欧の帝国主義の干渉、侵略から脱却していくためにアフリカ諸国が一致して連携、・統合・地位向上を目的に2002年に、アフリカ統一機構の代わりに創設された(加盟国54カ国)。カダフィ政権はAUの年間予算の15%も負担し、一部の貧困国の肩代わりもし、加盟各国への資金援助もした。そして、AUはアフリカ通貨基金、アフリカ中央銀行、アフリカ投資銀行を作り、米国の支配下にある世界通貨基金(IMF)の支配、干渉を断とうとした。カダフィ政権は昨年「欧米からアフリカを解放する」と称して総額約7兆4000億円をアフリカに投資することとアフリカの統一通貨導入も目指すことを表明していた。
 したがって、AUではNATO軍の攻撃に反対し、「リビア人自身による対話解決」をかかげ、AU会議では「反体制派」承認を見送った。承認をしているのは3分の1の18カ国に過ぎない9月1日、パリで行われた「新生リビア支援国際会議」に、南アフリカとナイジェリアは出席を拒否している。AUが大国に支配されないアフリカを築こうと動いているからである。
 そしてそのアフリカを支援してきたのが中国であり、中国が最大の貿易相手国になっている。その中国をけん制するためにも介入してきたのが米欧である。
 しかし、AUもまた人民の闘争が発展しており、米欧による武力による弾圧は一時的には制圧したかのように見えるが、決して人民の心を屈服させることはできず、米欧は再び泥沼から這い上がることはできなくなるのである。
 イラクやアフガンでも米国の意のままにうまくいっているかというと決してそうではない。イラクでは米国が永久占領を狙って、イラク・バクダットの旧大統領宮殿に高さ10数メートルのコンクリート壁で囲ったサッカー球技場80面分の広代な土地に21棟のビル・施設が立ち並ぶ世界最大のアメリカ大使館を09年1月に完成させた。2つのオフィスビル、6棟の職員住宅、発電所、水と廃棄物処理施設、プール、ショッピング、映画館、50機のヘリを保有する要塞都市を作った。
 現在米軍は5万人占領しているが、今年12月末で、全ての米軍を撤退させることをオバマは表明した。しかしそれは建前である。この大使館の職員は8000人であるが、今年の2月その職員を2倍にし、1万6000人とした。そして、5万人の占領軍を民間軍事会社の傭兵に代替えさせる計画である。そして、傀儡政権に米軍の戦闘機を売りつけ、傀儡軍のパイロット養成、米戦闘機の運用、管理を名目に米軍基地の永久占領を狙っている。しかし、イラク人民のアメリカ軍の撤退を叫ぶ声は強く、決してアメリカの意のままにはならない。
 米国の侵略によって、イラクでは難民が400万人、親を殺害された子どもが450万人、「豊かで、中東一の教育国」と言われた国で、中等教育の識字率は21%、15歳~29歳の失業率は57%である。そして、5歳以下の150万人が栄養失調に苦しみ、350万人が貧困にあえぎ、毎日100人の子どもが死んでいるという。これが米国のいう「イラクに自由をもたらす」政策の実態である。イラクの人々は満身の怒りを持って、起ちあがっている。イラク全土で25万人がデモに参加したという。その怒りは広がるばかりで、米軍は一層困難に直面することになる。侵略者は一時的には強者に見えても、理不尽な暴力と圧政に人民は立ち上がり、それに敗れるのは必然である。それはアフガンでも同様である。
 そしてそのアメリカを支援する野田政権にこそ我々は警戒し、侵略の加担者になることに断固反対していかなければならない。





 
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