緑の党
 Green Party

 
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    アベノミクスの先にあるのは消費税増税
 
 昨年の第46回総選挙では、自民党政権が圧勝し、安倍政権が返り咲いた。自民党は、選挙公約で、「国民の生命、領土、美しい海を守り抜く決意だ」として、日米同盟の強化、集団的自衛権の行使容認、自衛隊の『国防軍』化、軍事費増大」を掲げた。また、従軍慰安婦の強制連行を認めた「河野談話」の見直しや、「尖閣諸島」への公務員の常駐などを掲げている。そして、原発を推進し、民主党の「原発ゼロ」政策も見直すとしている。
 この選挙で自民党は、小選挙区では有権者総数の25%、比例区では16%しか得票していないが、単独で6割を超える294議席を確保した。投票率は59.3%で、戦後最低だった。約4割にあたる4000万人が棄権し、選挙に何の期待も持っていないことを示している。小選挙区では、自民は300議席のうち237議席を取り、有効票の4割の得票で8割の議席を獲得したが、比例区では約220万票も減らしている。小選挙区と比例区で得票数に大きな違いがあるのは、小選挙区では、公明に選挙協力をしてもらわなければ成り立たないからであり、自民の得票は有権者総数の16%とみるのが妥当である。自民の一人勝ちは、まさに小選挙区制度によるものである。小政党はまさに風前の灯である。自民に公明の31議席を足すと自公連合政権は、325議席という衆院(480議席)での絶対多数を獲得した。そして自民と同様の親米売国で、好戦主義である「日本維新の会」が比例区では、自民につぐ1226万票を取り、54議席で民主に次いで第3党になった。民主は230から57議席に惨敗し、崩壊の危機にある。これも公約を破り、国民に見放された結果である。先の選挙では民主に多くの国民が期待を寄せたが、もともと民主の実態が明らかになっただけである。
 マスコミの調査によると、衆院選の当選者のうち、憲法改正の賛成派が89%に達し、集団的自衛権の行使についても賛成派が79%を占めたという。この総選挙では、民主党政権に「NO」を示したが、自民党への積極支持を意味するものではないとはいえ、この数を力に、自民党は改憲を急ごうとしている。
 安倍政権は、今夏の参院選までは、経済再生、景気対策を前面にだして訴える作戦でいる。しかしその緊急経済政策で不景気を脱却するというが、これは国民の暮らしに一層の打撃を与えるものである。
 
 「アベノミクス」の真の狙い
 
 「アベノミクス」とは、安倍政権の「アベ」と「エコノミクス(経済)」をかけて「アベノミクス」というが、この経済緊急政策は、長引くデフレ(物価下落)と円高から脱却し、物価上昇率2%をめざすというものである。つまりインフレ(物価上昇)政策である。この緊急経済政策は、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の3本の矢で日本の経済成長を図るとして、物価上昇率2%を達成するまで、日銀の無制限の金融緩和を行うというものである。金融政策とは、日本銀行が国債を買い取って、市中に資金を供給する。つまり紙幣を増刷することである。本来これは禁じ手である。政府はそれを借り入れて、財政政策を行う。政府の財政政策とは、政府の国債発行で復興・防災を中心とした公共投資拡大をすることと、設備投資や雇用に対する減税を行うことである。政府は建設国債を発行し、10年間で200兆円規模の大型公共事業を実施し、「国土強靭計画」をぶち上げた。これは更なる借金大国にすることである。
 国債とは、国の運営に必要な資金を集めるために借金をして、税金の徴収を先送りするということである。したがって、このアベノミクスの先にあるものは、消費税の税率を14年4月には8%、15年10月には10%に上げることなのである。それでも足りなければ、20%近くまで消費税を上げることを狙っている。
 自民党の手はいつの時代も公共事業の拡大で企業をもうけさせ、企業に投資した分を国民に税金で賄わせるものである。企業にいくら市場を提供し、儲けさせても、企業は賃金を上げないで、内部留保金をため込み、労働者をどんどん非正規労働者にするから、ますます国民の生活は窮乏化する。その悪循環なのである。
 13年度予算も、公共事業と軍事費に重点を置き、地方交付金、年金、生活保護費など社会保障費が削減されて、国民の生活はますます厳しくなるばかりである。
 
 @ 予算は、補正予算と合わせると、103兆円の大型予算となる。そして税収とほぼ同じ額の国債42兆8150億円を発行し、補正予算と合わせれば、国債発行は50兆円となる。13年度末の国債発行残高は750兆円に達する。2012年度末の地方債残高は200兆円と見込まれており、13年度の地方債を加えると約1000兆の借金となる。米日の大企業に大盤振る舞いし、その犠牲は国民にしいる財政のやりくりでは財政破綻になるのは目に見えている。
 日本の国債は95%が国内(主として、銀行、生命保険、郵便貯金、年金、などの金融機関)で買われているし、資産もあるので、すぐ国家破綻とはなっていないが、国内総生産(GDP)に対する国の借金の割合は、ギリシアは136.8%なのに対して、日本は204.2%と2倍に達している。
 かつて、日本はデフォルト(債務不履行)を2回行っている。日露戦争の時と、敗戦後である。莫大な国債発行で軍事費を調達してきたが、それを帳消しにするために1946年、新円に切り替え、新紙幣発行に伴って、銀行預金を封鎖し、新紙幣でしか預金をおろせなくした。そして財産税を課税した。今のお金で換算するなら、700兆円にあたる国債、地方債の借金を棒引きした。今、国民の預貯金と株の金融高は1500兆円あると言われる。そのお金を投資に使うもよし、紙くず同然にするもよし、支配者は奥の手をいつでも使えるようにしているのである。実際2004年、新紙幣、1000円は野口英世、5000円は樋口一葉を作った時デフォルトを実行する計画があった。
 
 A 歳出の公共事業費は5兆2853億円と大幅に増え、補正予算と合わせると7兆7000億円になる。震災の復興、インフラ整備を主とするが、八ツ場ダムなど不要不急の工事などにも多額の税金を投じ、建設資本などの企業に市場を提供するということである。これで物価は2%に上昇すると見込んでいるが、20年の統計で、物価が上昇したのは、消費税が3%から5%に引き上げられた1997年から2年間だけで、あとは1%の変動である。多くの経済学者は2%の上昇は見込めない、もしいったとしても、0.7%にすぐ落ち込むのではないかと予想している。
 また、軍事費は、前年度より400億円増やし、補正予算の2124億円を加えると4兆9679億円で、約5兆円の予算である。自衛隊員数の増員、米軍機の購入で軍拡を進める。そして、エネルギー関連では、原子力関連予算に前年度より1割増しの1563億円を付けて、原発を推進する。
 
 B 年金は前年度比より1.6%(1600億円)削り、10兆4770億円とした。これにより、10月から1%減額支給になる。そして生活保護費は740億円(7.3%)減らす。生活保護費の35%を占める生活扶助費を3年かけて6~8%削減するため、夫婦と小、中学生の4人の家族では月2万円減ることになる。また、地方交付税を減らして3900億円に絞り、地方の権限を縮小させた。そして地方公務員の給与削減分の8500億円も地域活性化事業費にし、企業に金が回るようにした。この安倍政権の予算は国民の生活関連費は抑え、企業には手厚く保障するという全く理不尽なものである。
 
 この緊急経済政策とは、強引にインフレ(物価上昇)を起こすもので、このインフレが極端に進行すると、物価の上昇が止まらなくなり、お金は紙くず同然になるハイパーインフレーションを引き起こす。そして雇用や賃金が減少するので、ますます生活が苦しくなるスタグフレーションを引き起こす羽目になる。
 日本は昨年、1ドル80円前後の年換算で、6兆円以上の貿易赤字だった。もし、1ドル100円の円安であれば、原油、ガスの輸入代がさらに高騰し、赤字は20兆円を超えていただろうと言われている。貿易赤字は原発事故以来、化石燃料の輸入が増えたためであるが、円高でなんとか6兆円の貿易赤字で済んだ。ところが、アベノミクスによって、1ドル90円台になった。確かに株価も上がった。日本の国内総生産(GDP)の約13%は、輸出型企業だ。円安によってこれらの企業は恩恵を被る。しかし、残りの87%は、原油高、商品高によってコスト増になる。ちなみに、1円下がるとトヨタの営業利益は400億円上がるという。その輸出企業にはよいが、このアベノミクスで次々値上げが始まり、国民の生活は打撃を受けている。
 ガソリン、灯油はもちろん、原油を原料とする製品や、ポリスチレン樹脂製品、塩化ビニル樹脂製品なども値上がりした。また家庭用小麦粉も1〜5%値上がりした。電力会社は、燃料価格変動を自動的に電気料金に反映させる仕組みを作っており、2月の料金から、北海道、北陸、四国、沖縄で円安による燃料価格の上昇を理由に値上げする。自動車損害賠償責任(自賠責)保険も4月から値上げを決めている。
 トマトハウスの農家では、昨年より、寒さも厳しいが、重油の値上がりで、30万円の負担増になり、これではやっていけないと悲鳴を上げている。このインフレ政策は物価を上昇させ、国民の生活はもちろん農業関係者、中小企業に打撃を与えているのである。
 
 海外の邦人を守る名目で、自衛隊法の改悪を急ぐ
 
 アルジェリア南東部で、イスラム武装勢力「血盟団」が天然ガス生産施設を襲撃したため、政府軍の特殊部隊が武力で鎮圧した。この人質事件のために、48名の外国人が犠牲になった。邦人では、プラント建設大手の日揮の社員が10名犠牲になった。この武装勢力32名も殺されたが、彼らは、「仏軍のマリ侵攻作戦の中止」を要求していた。
 このガス生産施設は、政府軍が防衛している場所で、国の重要施設である。このガス生産施設は、イギリスを本拠にする英国石油(BP社・国際石油資本)とアルジェリアのエネルギー会社ソナトラック(国営公社)による天然ガス田開発共同事業である。このソナトラック社は輸出の9割以上を占める石油・ガス関連企業である。このプロジェクトを日揮とアメリカのケロッグ・ブラウン&ルート(KBR)が受注した。このアメリカのKBRは前副大統領チェイニーが会長だった軍事請負会社ハリバートンの子会社で、1998年に他社と合併して、KBRになったものである。日揮は、単なるガス生産施設建設の工学技術だけでなく、こういう軍事請負会社とも連携し、更には東海村にある日本初の再処理施設を建設している原発技術ももっている。福島第一原発にも事務所を構えていた。なんとウラン精錬、核燃サイクル技術、放射性廃棄物の処理などを研究してきた会社である。
 今回、日揮の最高顧問が、英BP社の副社長と会談するために、現地入りしたもので、この二人が被害に遭って亡くなっている。政府は、10人の遺体を政府専用機で搬送したり、日揮が犠牲者の氏名を公表しないとしたが、政府の責任で行うなどとしたり、異例の対応であった。それはこの日揮が、原発を推進し、原発輸出を強行する国策と深くかかわっているからである。
 そして、この人質事件は、世界最大のフランスの原子力産業複合体の企業「アレバ」と関係がある。フランスが隣国のマリに軍事介入したが、それはアレバがウランを所有するニジェールや、マリの利権を離したくないからである。アレバが所有するマリのウラン鉱山付近では、2010年、アルカイダ系のイスラム武装集団にフランス人ら7人が人質にされ、フランス人4人は今も拘束されている。日本も、ウランをこのマリやニジェールから輸入している。
 隣国のマリには、フランス軍2000人が1月11日からマリに侵攻し、北部の反政府勢力の拠点を爆撃した。もともとマリも含めアルジェリア周辺国(チュニジア、モロッコ、ニジェールなど)はフランス領であった。マリは独立後、豊かな南部と貧しい北部の格差が拡大し、北部の遊牧民トゥアレグ族の分離独立運動が続いていた。それにイスラム勢力が合流し、主導権を握った。昨年、4月反政府軍は北部を制圧したため、政府軍が9月、検問所で拘束したイスラム法学者16人を裁判抜きで処刑し、徹底的に弾圧した。しかし、この不当な弾圧に対して、政府軍内の北部出身者が集団離脱し、北部反政府勢力に加わり、政府軍との対立は一層強まった。
 このマリ北部は隣国のニジェールと共に、ウランなどの鉱物資源が豊かである。電力の77%を原子力に頼るフランスは、このマリ北部は重要な地域である。その権益を守るために、武力介入したものである。フランスの主導の下、周辺国の西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)〔ナイジェリア、ガーナなど15ヵ国〕が昨年軍事介入を容認したため、反政府勢力もアルカイダ系の「義勇兵」との関係を強化した。そこへフランス軍が一挙に侵攻したものである。フランス軍は、この反政府勢力を「テロリスト」と主張し、米欧日も同様に「テロリスト」と呼んでいるが、彼らの新植民地主義の本質を覆い隠すためである。
 そして、アルジェリアで人質事件を起こしたイスラム武装勢力「血盟団」に対して行ったアルジェリア軍の強硬手段をフランスは絶賛している。「テロリスト掃討作戦」はたとえ犠牲が伴っても、強行するしかないと。これは、新植民地主義者の常とう手段であるが、世界は益々きな臭くなる。
 かつて、アルジェリアでは、独立運動(アルジェリア戦争。1954年~1962年)で、フランスと闘い、100万人が犠牲になったと言われる。
 現在、米欧が市場獲得のため、かつての植民地主義のように、むき出しでアフリカ、中東で軍事制圧してきている。アメリカは、アフガン、イラクを侵略し、リビアへも軍事介入し、イラク同様に政府を転覆させた。そしてシリアでも反政府勢力に武器援助している。一時的には、武力制圧したかに見えるが、次々烽火があがって、新植民地主義者は苦しい対応に迫られている。昨年の9月、リビアの東部ベンガジでは米領事館が襲撃され、大使ら米国人が4人死亡した。更に今回のアルジェリアの武装勢力の人質事件でも3名の米国人が犠牲になった。
 そこで米国は、北・西アフリカからアルカイダ系勢力を掃討する方針を強調している。また、アフガンからは2014年末までに米軍を撤退させる方針を決めたが、アフガンでは反政府軍勢力が強く、これ以上米軍の死者を増やさないために撤退せざるを得ない状況に追い詰められている。また、米軍がイラクやアフガンから撤退する真の理由は、現地で米軍が犯罪を起こした場合、その裁判権はイラクやアフガンにある。ところが日本では、米軍が犯罪を起こしても治外法権で、日本が裁けない。それだけ無権利である。イラクやアフガンは基本である裁判権は譲らなかった。そこまで奴隷にはなっていないということである。日本は裁判権も放棄し、思いやり予算は出すわで、米国追随も甚だしく、アメリカの属国と言われるゆえんである。
 11日、訪米したアフガン大統領カルザイとオバマ大統領は、今年の春までに米軍を中心にした国際治安支援部隊(ISAF)から、アフガン政府軍への治安維持の主導権を移譲することにした。この春から、米軍がアフガンの村に駐留しなくなる。12年間の侵略で、米軍は反政府軍の抵抗を押さえることができなかった。米軍やISAF軍に対するアフガン人民の反発は強く、米兵やISAFの兵士に銃撃する事件も後を絶たず、これからのアフガン情勢は一層混迷を深めることは明らかである。
 今回の人質事件で、安倍政権内は、邦人保護のためと称して、自衛隊の海外での武器使用の権限拡大を視野に入れた自衛隊法改正と国家安全保障会議(日本版NSC)の設置を狙っている。NSCは、危機管理の司令塔を強化することで、情報収集をし、外交・安全保障政策を官邸に一元化させるものである。現行の自衛隊法では、海外での邦人輸送は、現地の安全が確保されている場合に限られ、派遣できた場合でも、自衛官の武器使用などは厳しい制限がある。これに対して、2010年に自民党は、現地が安全であるかどうかを問わず、自衛隊を輸送派遣し、輸送や警護を担当する自衛官に武器使用の権限を与える内容の法改悪案を作っている。
 今回の事件は、多国籍化している日本の企業が現地の資源を収奪し、現地の人を搾取している中で、このような事態がいつでも起きることが予想されるので、アメリカの戦争戦略に組みする必要と同時に、企業の要請に応えられるよう、いつでも、どこでも自衛隊が出動できる態勢作りを急いでいる。自衛隊法改悪、あるいは憲法改悪を狙い、戦争への道へとのめり込んでいくのである。
 世界は益々きな臭くなる。なぜなら、新植民地主義者は儲けるために、権益を守るため一層武力を使い、侵略を強行するからである。それに反対する闘いを組むことが重要である。






 
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