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日本新聞 4557号記事

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日本新聞 4557号記事

4557号1面記事

復興特別所得税の軍事費流用に抗議

 岸田首相、復興のための税金を軍事費に回し、最大13年延長方針変えず。軍事費拡大は戦争を引き起こす。災害支援、命を守る政策を

  14日の衆院予算委員会で、岸田首相は、2027年度までの5年間で総額43兆円にする軍事費の財源を、増税で確保する方針を示した。増税の中味は、復興特別所得税、たばこ税、法人税の3税である。
 なぜ復興税を軍事費に振り分けるのか。そのために増税期間を13年も延長するというのである。復興特別所得税は、東日本大震災の被災者支援のためと銘打って、徴収された。それを、軍事費を増やすために流用する、これは納税者をだますやり方に他ならない。
 軍事費増額の財源を増税によってまかなう法案は2023年6月16日に強行成立させられた。復興税を軍事に流用することが、決められたのである。
 しかし、復興税の軍事費流用は、この法律が決められる前の2011年度から2015年度にかけて、すでに一部が軍事費に流用されていたのである。
 額にして1270億円にのぼる。復興とは何の関係もないものばかりである。重機関銃を備えた装甲車や輸送機、自衛隊施設の改修費などである。島しょ部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応などの事業に流用したというのだ。
 何のための予算編成なのか。組まれた予算は何にでも好き勝手に使って良いとでもいうのか。

 被災者救援を第一に行わない政府

  今回の能登半島地震では、政府が自衛隊を動かすのがあまりにも遅かった。大地震が起きてすぐ動く体制ではなく、現地からの情報待ちで、遅れ遅れになっている。かつて安倍首相(当時)は、「自衛隊の任務は災害支援ではない」と言い切った。つまり自衛隊は軍隊だと言っているのである。「軍隊は住民を助けない」これは沖縄戦を経験した方の言葉である。
 能登半島地震で、孤立した集落が各地にあったが、その救援にすぐさま自衛隊ヘリがかけつければ、どんなに救われたことか。1か月経っても断水が続いている中、水の供給や風呂付の自衛隊トラックがかけつけたら、被災者の大きな助けになっただろう。それが第一の政治ではないのである。
 1月1日に起きた地震なのに、仮設住宅ができるのは3月末と報じられている。国際社会からは「なぜ日本でそんなに対応が遅いのか」と驚かれている。
 復興税を軍事費に流用する実際を知れば、日本の政治の本質がわかるというものだ。
 仮設住宅にしても、集落がばらばらにされる中で、孤独死などの二次災害も予想される。石川県では仮設住宅1万5000戸のうち8000戸は県外に設置するという。
 2004年の新潟県中越地震の時に、長岡市内の仮設住宅団地に、山古志村の人たちをコミュニティ単位で入居させた。そして2~3年かけて復興して帰還できた。これを山古志方式と呼んでいる。隣近所がまとまって暮らせるから、それまでと同じように助け合える。
 復興税はこのように被災者支援のために使うべきである。そのためだと思っている納税者に有無を言わせず、軍事費への流用を決めてしまうなど、認められないことである。
 軍事費の増大は一体何のために必要なのか。中国や朝鮮が攻めてこないための「抑止力」だと言うが、果たしてそうだろうか。
 南西諸島にミサイル基地を次々造り、中国や朝鮮に向けてミサイルを配置する、それが「抑止」になるのか。警戒心を高めて、むしろ戦争を引き起こすことにつながるではないか。南西諸島の島々が戦場と化す日を、日本が自ら作っているとしか思えない。軍備増強など必要ない。
 憲法9条の不戦を守り、近隣のアジアの国々と、軍事ではなく対話で、平和友好の関係を築いていくこと、それが日本の取るべき道である。     (沢)

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