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日本新聞 4549号記事

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日本新聞 4549号記事

4549号1面記事

種子不正で三井化学を刑事告発

 「みつひかり」の産地も発芽率も偽り。種子法廃止の根拠の「民間の優良品種・みつひかり」は嘘だらけ。種子法を復活し農家の権利を守れ

  12月14日、山田正彦・元農相を筆頭に19人の学者や議員が、種子不正で三井化学クロップ&ライフソリューションを刑事告発した。告発人は、衆参議員や鈴木宣弘・東大大学院教授、堤未果・国際ジャーナリスト、孫崎享氏などである。
 不正の中味は、「みつひかり2003」について、
 ・2016年から2022年にかけて、茨城県と表示した種子について、愛知県産等を混合させた
 ・異品種の混合割合は、2020年25%、2021年38%に及ぶ
 ・2019年から2022年にかけて、発芽率が90%に満たないにもかかわらず、発芽率90%と表示した
 2018年に種子法が廃止された。その理由は、種子法が「民間の優良品種」の参入の妨げになっているというものだった。この「民間の優良品種」の代表格として「みつひかり」があげられた。都道府県が研究・開発して農家に供給されるコメの種子は1キロ500円、「みつひかり」は1キロ5000円である。契約農家はこれを、種もみ、農薬、化学肥料の3点セットで購入させられている。
 そして今年の2月21日頃、三井化学は「交配不良」を理由に、2023年度栽培用の種子を販売しないと、農家に通知した。2月末は既に田んぼの準備を進めており、種子がなければ代わりの物も用意できない、にっちもさっちもいかない時である。農家にとっては大打撃だ。これに対して農水省は「厳重注意」で済ませている。こうした姿勢も重大な問題だ。
 告訴人たちは、厳正な処分を求めて刑事告発したのである。

 種子法廃止違憲確認
 訴訟控訴審始まる

 12月19日、東京高裁で、「種子法廃止違憲確認訴訟」の第1回口頭弁論が行われた。
 山形県で採種農家を営んでいる菊地さんは次のように述べた。
 「地裁判決では、採種農家である私について“現実かつ具体的な危険又は不安が認められる”と認定されましたが、“食料への権利”については一切認められず、請求は却下された。納得できず控訴した。親父から“自分たちが作った500倍ほどのコメができるのだから、万が一おかしなものが混ざったら、500倍の責任が発生する。絶対に大きな間違いがあってはならない”と教わった。きちんと安定的に種子を作ることが種子農家の誇り。種子法廃止は、種子農家の誠意に背くもので、農家の生活と国民の命を軽んじるもの。それは憲法が保障する人権を侵害するものです」
 菊地さん達種子農家の姿勢は、今回の「みつひかり」不正事件と真逆のものである。
 田井勝弁護士が食料への権利について、岩月浩二弁護士が「みつひかり」不正問題について、古川健三弁護士が国家賠償責任について、それぞれ意見陳述した。
 報告会で、元農相・山田正彦さんは「2016年に種子法が廃止された。翌年、農水省は“みつひかりは超多収。これまでの『ひとめぼれ』などやめなさい。予算を出しません”と全国を回った。
 私達は『日本の種子を守る会』を作って、“種子法は廃止されたが、発芽率90%以上のきちんとした種を保障するために種子条例を作ろう”と全国を回った。34道県で種子条例制定。『みつひかり』は1キロ5000円と高値で、しかも不良品。異品種混合、産地偽造、ロットによっては発芽率ゼロ。
 2月末、1400ヘクタールの『みつひかり』農家は突然、種がないと言われた。『みつひかり』を認めた農水省は偽造を認め『厳重注意』のみ。食の権利を守るために、共に頑張りましょう!」と力強く訴えた。
 採種農家の菊地さんの誇り、弁護団の決意が伝わってきた。種子法違憲訴訟を勝訴し、種子法を復活させなければならない。  (沢)

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