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2024.11.20
日本新聞
原発推進方針引き継ぐ石破政権
4596号1面記事
原発推進方針引き継ぐ石破政権
総裁選では「原発ゼロ目指す」、首相になったら「原発ゼロが目的で
はない」。女川原発再稼働直後トラブル。安全な原発など存在しない
東北電力は10月29日に女川原発2号機を再稼働したが、11月3日にトラブルが起きた。機器を通すための案内管接続部のナットが緩んで外れたことが原因だとし、13日に再起動し、15日から発電を再開した。
女川原発は2011年の東日本大震災で被災した原発で、東電福島第一原発と同じ沸騰水型の原発である。地元でも反対の声が上がる中での再稼働強行である。
破たんした原子力政策、原発は廃炉に
石破首相は総裁選では「原発ゼロをめざす」と言っていた。ところが首相になったら「原発ゼロが目的ではない」と大きく変わっている。「安定したエネルギー供給が大切」と言い、安全が確認されたら原発再稼働もOKだというのである。
安全が確認された原発などあるのだろうか。原子力規制委は、次々「新基準適合」と再稼働GOサインを出しておいて、「適合」が安全ということではない、と平然と言い放った。このような無責任な原子力規制委の判断をもとに、再稼働などしてはならないのである。
現在、日本で稼働している原発は、
大飯原発3、4号機
高浜原発1、3、4号機
美浜原発3号機
玄海原発3、4号機
川内原発1、2号機
伊方原発3号機
女川原発2号機
の12基である。
12月7日には島根原発2号機の再稼働を強行しようとしている。島根原発も福島第一原発と同じ沸騰水型だ。
政府は2030年までに電力の原子力の割合を、現在の5%から20~22%に増やそうとしている。
高浜原発1号機は国内の原発で最も古く、11月14日、運転開始から50年経った。原発の寿命は40年だというのに、30年経過した原発は10年ごとに規制委がGOサインを出すことになった。余りにも安全軽視の無謀な制度変更である。60年を超えてもGOサインが出せるように、来年は新制度ができるそうだ。これでは何でもありである。
古くなるほど配管が薄くなる、コンクリート構造物の強度が低下するなど、劣化は避けられない。原発は劣化したからと簡単に交換できるものではない。
さらに、この地震大国で原発稼働は危険極まりない。
東電福島第一原発事故から、当事国である日本はしっかり学ぶべきである。そして二度とあのような事故を繰り返さないために、全力を尽くさなければならない。しかし、残念ながら、政府がやろうとしていることはかけ離れている。
東電は福島第一原発2号機から0.7gのデブリを取り出し、11月12日、日本原子力工学研究所(茨城県大洗町)に輸送した。今後1年かけて分析して、デブリ取り出しの工法検討に活用するとしている。
超高線量のデブリを取り出してどうするのか。全部で880トンのデブリである。ようやく取り出せたのが0.7g。気の遠くなるような作業だ。取り出したとしてもその保管はどうするのか。環境中に放射性物質を拡散して、被害をますます大きくするだけである。廃炉の道筋はデブリを取り出さずに、原発全体を覆う以外にないと、良心的な科学者は事故当初より指摘している。依然として原発利権にしがみつく御用学者に従えば、国を滅ぼし、地球規模の環境破壊を引き起こすことになりかねない。
東電福島第一事故で、原子力は人間の力で制御できないことを、いやというほど見せつけられた。子や孫の世代に生きていける自然環境を残すためには、原発から撤退し、持続可能な自然エネルギーへと転換することである。 (沢)
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2024.11.13
日本新聞
第2回全国オーガニック給食フォーラム
4595号1面記事
第2回全国オーガニック給食フォーラム
JAと市が一緒にオーガニックに取り組んでいる常陸大宮市での開催。全国各地のJAの取り組みも紹介。食を守ることは命を守ること
11月8日、常陸大宮市文化センターで、第2回全国オーガニック給食フォーラムが開催された。会場には800人、オンラインで400人、全国50のサテライトスタジオにもたくさんの方が集まった。
常陸大宮市は、全国に先駆けて市とJAが一緒になってオーガニック給食を推し進めている。JA常陸の秋山会長は「もともと私が子どもの頃は、皆無農薬だった。やれないわけがない」と全国のJAの先頭で、ネオニコチノイド系の農薬削減に取り組んだ。全国オーガニック給食協議会の理事も務めている。鈴木市長もオーガニック給食に意欲的に取り組んでいる。
基調提案は鈴木宣弘・東大大学院農学生命科学研究科特任教授と、国際ジャーナリストの堤未果さん。
給食が拓く子どもたちの未来
鈴木宣弘教授は次のように語った。
――戦後日本は、米国の余剰農産物の最終処分場にされた。自動車の利益のために農と食を差し出す「いけにえ」政策だ。その結果、輸入増加、農業縮小、自給率低下を招いた。
食料自給率の低下は日本人の食生活の変化によって輸入するしかなくなった、これは嘘。1958年に出版された「頭脳」という本には「米食低能論」が記されている。慶応大学医学部・林教授の著書で50版を重ね、日本社会に大きな影響を与えた犯罪的な書だ。
国際紛争などの不測の事態になると、一気に事態が悪化するが、ウクライナ危機で、それが起こってしまった。
食料、種、肥料、飼料などを海外に依存していては、命を守れない。肥料、飼料、種を輸入していることを考慮すれば、日本の自給率は38%どころか9.2%にすぎない。海外に依存しないで、肥料も種も国内で作る。国内の生産力をフル稼働させることだ。
自給率は北海道が228%、茨城が70%、東京は0.4%、ほとんど0だ。農業問題は消費者問題、命の問題だ。
日本の農家は、ひどい政策下でも世界10位の農業生産をあげている。赤字でも頑張ってきた。農家とともに一緒に頑張ろう!——
本質をズバリ突いた講演だった。
いのちの給食が世界を変える
堤未果さんはこう語った。
――米大統領選があったが、ロバート・ケネディJrは無所属で大統領選に出馬していたが、降りて、トランプを支持した。彼は“子ども達の食を変える”と言っていた。医療と食が大企業寄りだと指摘した。
アメリカは毎日8000万人がファストフードを食べている。子ども達の3人に1人は肥満。米軍入隊年齢の7割が太りすぎ、健康に問題があって不適格。子ども達の健康が食から壊れている。
アメリカでは、食生活の7割が超加工品。便利、安い、どこでも手に入る。世界中に輸出している。化学的に作った味で、精神にも影響する。人工甘味料はカロリーゼロ。体がおかしいと思って、代謝ができなくなる。そしてもっと食べる。
「新・大豆バーガー」が2021年に学校給食にデビューした。アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、日本でも。環境にいい、健康にいい、は嘘。子どもの4人に3人が「毎日食べたい」。大量生産で、途中から遺伝子組換え大豆に変えた。ブラジルの木を大量に伐った。添加物だらけで塩分も高い。
日本政府は酪農家には「牛1頭殺せば補助金やる」、一方でコオロギには補助金たっぷり。コオロギはカドミウムを蓄積するから、遺伝子組換えする。「京大バーガー」はゲノム編集のマダイのフィッシュバーガー。
まずは種を守る。地元の災害に強く味もいい種を守る。旬の食材を使ったオーガニック給食を食べられる子ども達は幸せだ。自然の多様性に感謝するようになる―
見通しの出てくる講演だった。
各地のJAの取り組みを聞いたり、パネルディスカッションでの農家の方の「子ども達に農家の話を聞かせたい」という発言や、お母さんの立場から「なるべく受け入れられるように考えて、激しく主張しすぎないようにしている」という発言に学ぶところが多かった。
「子ども達に安全な食を!」オーガニック給食の実現に向けた展望の持てる集会だった。 (沢)
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2024.11.06
日本新聞
袴田さんの次は狭山、えん罪を晴らそう
4594号1面記事
袴田さんの次は狭山、えん罪を晴らそう
石川さんの無実は明らか、61年ものえん罪を晴らすため、日比谷野音に全国から結集。証拠開示義務化、検察の抗告禁止へ再審法改正を
11月1日、日比谷野外音楽堂で、「袴田さん再審無罪勝利!つぎは狭山だ!東京高裁は事実調べ・再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が開催された。
部落解放同盟中央本部・西島委員長は「いよいよ次は狭山だ!万年筆は被害者のものかどうか。発見万年筆のインクの試料からクロム元素が検出されなかった。検察は非科学的で“水で洗えば出ないこともある”と言っている。鑑定の実施を求めると同時に、11人の鑑定人尋問の実施へ。再審決定後の検察官の抗告禁止、証拠開示と再審法改正を求める」と述べた。
立憲民主、社民、れいわの代表が駆けつけた。狭山の弁護団でもある社民党の福島みずほ党首は「袴田さんは勝利し、選挙権をもった。石川さんは仮出獄なので選挙権もない。袴田事件で証拠ねつ造も明らかになった。狭山事件も証拠ねつ造だ。万年筆、筆跡など。
再審法は証拠開示の規定がない。検察官の抗告などとんでもない。袴田事件では抗告で10年も再審が引き延ばしになった。再審法の改正を求める。死刑は止めるべきだ」と訴えた。
石川さんを激励にかけつけた袴田ひで子さん
石川一雄さんは「今日来るとき、2回ころんだ。足が弱っている。いわさん(袴田巖さん)が元気でよかった。全国から“狭山は勝利する”と自信を持ってかけつけてくれてうれしい。皆さんが頼りです。石川一雄が元気な間に無罪をかち取るために更なるご支援をお願いします」と語った。
早智子さんは「最近マスコミが狭山を大きく取り上げてくれている。昨日、寺尾不当判決から50年、半世紀だ。狭山事件発生から61年、いまだに再審を請求しなくてはならない。検察の不正義に激しい憤りを感じる。
袴田事件では、警察と検察がグルになっていると、裁判所が判断した。再審法の問題点が明らかになってきた。大きな世論を巻き起こしてほしい」と訴えた。
61年もの長い間、殺人犯のえん罪を着せられてきた石川さん。無実は明らかなのに、いまだに再審さえ認められていない。何としても再審無罪をかち取ろうと、部落解放同盟中央本部・片岡副委員長は3つの基調提案をした。
1、9月26日から1か月間、全国統一行動を行ったが、これを各地で継続してほしい
2、再審法改正の取り組み
袴田さんは10年前に再審決定したが、検察が抗告した。
狭山も同じような事態になりかねない。石川さんが元気なうちに再審法を改正し、再審無罪をかち取らなければならない。
3、8月に第60回目の三者協議が行われた。
弁護団は万年筆のインク成分の鑑定実験を要請。これに対して裁判長が協力的。
最後に片岡さんは「狭山事件を知らない人に知らせていく運動が大事」と呼びかけた。明解な基調提案だった。
袴田巖さんを支え続けた91歳の袴田ひで子さんが、石川さんを激励にかけつけた。
ひで子さんは「勝利して一番最初に選挙権が返ってきた。巖はちゃんと候補者の名前を書いた。尊い一票になった。
巖だけが助かればいいとは思っていない。くやしい思いをしている、えん罪で苦しんでいる方のお力になればいいと思っている。幸い私は元気だ。元気な限りは、再審法改正、被害者救済をはりきってやっていきたい。石川さんのご支援をお願いします」と堂々と訴え、集会を大きく励ましてくれた。
足利事件の被害者の菅家さんはじめ、冤罪被害者も次々、警察、検察の非道性を訴えた。
最後に市民の会事務局長の鎌田慧さんが「袴田事件で無罪判決となった。しかし、検事総長は何の反省もない。謝罪もない。
80年代、4人の死刑囚が次々無罪になった。それでも司法は変わらない。何の反省もしていない。どうやって変えるか。民主化闘争だ。無実なものを死刑にする野蛮国家を世論の力で変えていく。次は狭山事件の解決だ。これからは犠牲者を出さないと、取り組んでいこう」と呼びかけた。
石川さんの無実は明らか、再審法を変え、再審無罪をかち取ろう。 (沢)