戦争法制定から10年、戦争への道止めよう
4640号1面記事
戦争法制定から10年、戦争への道止めよう
安保法制を根拠に南西諸島の軍事要塞化、軍事費倍増、武器輸出解禁
と憲法違反に拍車をかける大軍拡。
武器ではなく平和外交が生きる道
防衛省設置の有識者会議は9月19日、防衛費を現在のGDP比2%からの引き上げと、武器輸出に関して現行ルールの緩和を提唱した。現行ルールでは、「武器輸出は原則、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型の目的に限定(防衛装備移転3原則)している。それを緩和する、つまり、戦争当事国に殺傷兵器を提供することにつながる。国際紛争を助長するものだ。そもそも有識者とは何か。政府の意図することを、あたかも正当であるかのようにこじつけて、まことしやかに論ずる者とでも言うべきか。結局は政府の軍拡路線を助けている。
今年は安保法制制定から10年の年である。安保法制制定の前年2014年7月の閣議で、安倍内閣(当時)は、憲法を変えずに解釈の変更で、集団的自衛権を認めることを決めた。いわゆる「解釈改憲」という姑息なやり方で、国会審議も国民投票も行わず、場合によっては集団的自衛権が認められることにした。こんなことが許されたら、憲法は何の意味もなさないことになってしまう。
そして翌年9月19日、連日国会前で安保法制強行採決反対の声が響く中、強行可決したのである。それから10年、日本は大きな変貌を遂げた。
不戦堅持の憲法に反し、軍拡、武器輸出
安保法制は世界中での自衛隊の武力行使を認めるもの、そして日本が攻撃されなくても、先に攻撃することも可能というもので、戦争に直結する。2020年に安倍首相(当時)は敵基地攻撃能力の保有を示す談話を発表している。2022年12月には岸田内閣(当時)が敵基地攻撃能力保有を明記した安保関連3文書を閣議決定。それまでは防衛費はGDP比1%枠とされていたものを、GDP比2%に拡大、2023年度から2027年度の5年間で43兆円とされ、大軍拡路線が具体化された。武器の輸出も解禁された。
憲法9条には不戦、戦力不保持が明記されている。かつての日本軍による侵略戦争は、アジアの人々の命を奪い、日本人をも不幸のどん底に突き落とした。そんな戦争を二度と繰り返さないという思いが込められた日本国憲法である。日本各地に9条の碑があり、外国にもある。コスタリカでは日本の9条を模範とし、軍隊を持たない国を実現した。ところが当の日本が9条とは真逆の軍拡、武器輸出に走っているのだ。
「台湾有事」はアメリカが宣伝したものだ。経済的にもすでに中国はアメリカを越えている。それを叩くために「台湾有事」を声高に叫び、日本と中国を戦わせようという戦略である。
なんとアメリカは、中国とアメリカが戦うシミュレーションを8回も行い、全敗したという。だから痛手を負う中国との戦いは日本にやらせるというわけだ。台湾の人々はその8割が「現状維持」を望んでいるという。つまり、中国の一部であり続けることだ。現状維持が戦争にならない道である。
日本はアメリカの戦略下で、軍備拡大、日本中に対中国戦のための軍事基地を建設している。南西諸島の住民には疎開先を決め、疎開の実施を始めた。日本は軍事力でも経済力でも、中国の足元にも及ばない。そして何より中国と戦う理由も必要もない。
戦後80年、日本の侵略戦争の加害の事実を認め、中国や朝鮮、韓国などアジアの国々に謝罪し、そこから友好・連帯の道へと歩むべきである。アメリカの一極支配に与するのではなく、アジアの一員として、アジア経済圏を発展させる政治へと舵を切ることが、平和への道であり、日本の唯一の活路なのである。
(沢)