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2024.01.10
日本新聞
日本新聞 4551号記事 能登半島地震被災者に緊急支援を
7日時点で死者128人、安否不明者196人。避難所には2万9千人。政府は捜索とともに被災者への食料、毛布など全力で命を救う緊急対策を
能登半島地震で被災し亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
1月1日午後4時10分、石川県能登地方を震源とする大地震が起きた。震源の深さは約16キロ、マグニチュードは推定7.6。この地震で輪島市に120センチ以上の津波が到達。北海道から九州で津波を観測。家屋の倒壊や火災も相次ぎ、建物の下敷きになった人も多い。輪島市河井町の「輪島朝市」周辺では、火災で200棟以上が焼けた。七尾市、珠洲市、富山県高岡市でも火災が発生した。輪島市では、4メートル隆起し、左に1.2メートルずれる地殻変動が確認されている。
7日現在、石川県で死者は128人、安否不明者は196人である。輪島市では40件以上の生き埋め情報があり、救助が急がれる。道路が寸断され、700人以上が孤立状態に置かれている。避難所には2万8821人が避難している。医療施設でも機器が壊れ、薬や水の不足で、医療活動にも支障をきたしている。道路が土砂崩れなどで寸断されているため、救援物資の搬送も遅れている。
政府は自衛隊ヘリなどを総動員して、人命救助、物資搬送に全力を尽くさなければならない。
志賀原発が被災、冷却油漏れなど多くの異常事態
石川県の志賀原発では、1号機と2号機は長期間運転を停止しているが、地震の影響で、1、2号機で外部から電気を受けるために使われていた変圧器2台の配管が壊れて、絶縁や冷却のための油が漏れ出し、電気を受けられなくなった。1号機の油漏れは3600リットル、2号機は3500リットル。当初、北陸電力は、「ほかの系統を使って外部からの電気を受けているほか、非常用ディーゼル発電機も7日分の燃料が確保されているため、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却には問題ない」としていた。ところが2回目の緊急報告では、「変圧器に火災が発生し、消火済み」とした。さらにその後、「火災は起きていなかった」と訂正。これでは事実が公表されているのか、はなはだ疑問だ。「大きな異常は起きていない」、実は大変危険な状況だったのである。
原子炉内には核燃料はないが、燃料プールには、1号機に672体、2号機には200体の核燃料がある。運転停止から13年経っているので、核燃料の熱は下がっているとはいえ、核燃料がある限り、いつも冷却の問題がある。また、使用済み燃料プールで放射性物質を含む水が床面にあふれ出た。1号機は95リットル、2号機は326リットルで、建物内と言うが、放射性物質なのだから、被ばくの心配がある。原発がある限り、放射能の影響がないか、常に心配である。隣の福井県は原発銀座と言われるくらい原発があり、新潟県の柏崎刈羽原発でも燃料プールの放射性物質を含む水があふれたという。
能登半島には長い断層が動いており、大規模な余震が起こる可能性がある、と言われている。今後も予断を許さない状況で、実際、今も次々余震が起きている。
今回の震源地は、かつて計画された珠洲原発の真下である。珠洲原発は地元の反対運動で凍結に持ち込まれた。もし珠洲原発が作られていたら、と思うと実に恐ろしいことだ。
そして、地震大国日本に54基もの原発を造ったことは将来、解決しようのない負の遺産となる。
すべての原発を廃炉に!
天災のあとの人災を作ってはならない。政府は人命救助を全力で行うべきである。そして、避難所で救援を待つ被災者へ早急な支援を! (沢) -
2024.01.03
日本新聞
日本新聞 4550号記事 2024年、反戦、命を守る運動を!
国会審議もなく、殺傷兵器の輸出解禁を閣議決定した政府。参戦へと歩を進める動きに歯止めを。軍事予算増ではなく生活保障優先を
日本は年々戦争に向かって突き進んでいると言っても言い過ぎではない。昨年は殺傷兵器の輸出解禁にまで踏み込んだ。しかも有権者に信を問うでもなく、国会で審議するでもなく、閣議決定してしまったのである。昨年12月22日の、武器輸出ルールを定めているという「防衛装備移転三原則」の改定である。
日本はこれまで、武器は原則輸出しない「武器輸出三原則」を堅持してきた。殺傷兵器の輸出を認めるというのは、「武器輸出三原則」とは全く相容れない。戦争しない国から戦争する国への大転換である。これを閣議で決めてしまうなど、暴挙そのものである。
今、ウクライナ戦争が長引き、アメリカでもヨーロッパでも、ウクライナ支援に予算を組むことに反対の国内世論が強まっている。生活も苦しく、“ウクライナ支援ではなく生活支援を”という声が高まっているのだ。アメリカでは大統領選を控え、バイデン大統領もウクライナ支援を強行できない。
そこに日本の殺傷兵器輸出解禁決定である。日本は迎撃ミサイル「パトリオット」をアメリカに輸出することを決めた。アメリカの意を受けた決定だと思われる。アメリカはこれまでパトリオットなどの迎撃ミサイルをウクライナに供与してきた。そこで日本がパトリオットを製造し、アメリカに融通する。それがウクライナ支援に回される可能性は高い。 まさに紛争地への支援であり、日本はウクライナ戦争に参戦していると認定されても仕方がない状況になる。
ここまでの体制づくりの段取りを、政府は着々と進めてきた。
「解釈改憲」で集団的自衛権行使容認、安保関連法で戦争する国へ。そして安保3文書で敵基地攻撃能力保有を明記。これでは不戦、戦力不保持の憲法9条が形骸化されていくのは明らかである。
この危険な実態を直視し、反戦の声をあげていく時である。
軍事ではなく貧困対策を最優先に
アメリカやヨーロッパが貧困で大変だ、では日本はどうか。
昨年暮れには日本の各地で、助け合い活動が行われた。
年末年始をどう暮らしていくか、重い気持ちで迎える人も多い。年末年始の休業で、収入も入らない。子どもも学校が休みで給食も食べられない。一体どうやって過ごせばいいのかという人達のために、野菜や保存食品などを袋に入れて配る。大切そうに抱えていく人たち。貧困は外国のことではなく、日本の問題である。
昨年12月22日に閣議決定した2024年度予算案は、一般会計の歳出総額112兆717億円と相変わらず膨張予算である。軍事費は7兆9496億円で、前年度から1兆1277億円も増えた。その上、兵器ローンは7兆9076億円、ローン残高は14兆1926億円に膨らんでいる。敵基地攻撃能力保有のために、長射程ミサイル取得など、さまざまな作戦のための費用が増大している。
こうした軍事費増は全く不要なものである。アメリカは「台湾有事」など煽り立て、政府は南西諸島にミサイル基地を次々造り、軍事要塞化している。島の人たちはそれを望んではいない。
かつて、琉球王国がそうであったように、戦争ではなく、近隣諸国と自由に行き来して、平和な日々を送ってきた。豊かな自然を守り、日本各地や海外から観光客が訪れ、観光で地域が豊かになる。それが島の人たちの願いである。
平和外交を行えば、「台湾有事」は起こらない。日本がアメリカと組んで軍備増強に走る時、近隣諸国も警戒する。かつての日本軍国主義が再来するのではないかと。
軍備増強で予算を膨張させ、3分の1を国債に頼る。それは私たちの借金になる。そこで増税、今でも貧困に苦しんでいるのに、ますます生きられなくなる。
政府の軍備増強に歯止めをかけ、生活保障最優先の政治を要求する。
2024年も、反戦の運動を前進させよう。(沢) -
2023.12.27
日本新聞
日本新聞 4549号記事 種子不正で三井化学を刑事告発
「みつひかり」の産地も発芽率も偽り。種子法廃止の根拠の「民間の優良品種・みつひかり」は嘘だらけ。種子法を復活し農家の権利を守れ
12月14日、山田正彦・元農相を筆頭に19人の学者や議員が、種子不正で三井化学クロップ&ライフソリューションを刑事告発した。告発人は、衆参議員や鈴木宣弘・東大大学院教授、堤未果・国際ジャーナリスト、孫崎享氏などである。
不正の中味は、「みつひかり2003」について、
・2016年から2022年にかけて、茨城県と表示した種子について、愛知県産等を混合させた
・異品種の混合割合は、2020年25%、2021年38%に及ぶ
・2019年から2022年にかけて、発芽率が90%に満たないにもかかわらず、発芽率90%と表示した
2018年に種子法が廃止された。その理由は、種子法が「民間の優良品種」の参入の妨げになっているというものだった。この「民間の優良品種」の代表格として「みつひかり」があげられた。都道府県が研究・開発して農家に供給されるコメの種子は1キロ500円、「みつひかり」は1キロ5000円である。契約農家はこれを、種もみ、農薬、化学肥料の3点セットで購入させられている。
そして今年の2月21日頃、三井化学は「交配不良」を理由に、2023年度栽培用の種子を販売しないと、農家に通知した。2月末は既に田んぼの準備を進めており、種子がなければ代わりの物も用意できない、にっちもさっちもいかない時である。農家にとっては大打撃だ。これに対して農水省は「厳重注意」で済ませている。こうした姿勢も重大な問題だ。
告訴人たちは、厳正な処分を求めて刑事告発したのである。
種子法廃止違憲確認
訴訟控訴審始まる
12月19日、東京高裁で、「種子法廃止違憲確認訴訟」の第1回口頭弁論が行われた。
山形県で採種農家を営んでいる菊地さんは次のように述べた。
「地裁判決では、採種農家である私について“現実かつ具体的な危険又は不安が認められる”と認定されましたが、“食料への権利”については一切認められず、請求は却下された。納得できず控訴した。親父から“自分たちが作った500倍ほどのコメができるのだから、万が一おかしなものが混ざったら、500倍の責任が発生する。絶対に大きな間違いがあってはならない”と教わった。きちんと安定的に種子を作ることが種子農家の誇り。種子法廃止は、種子農家の誠意に背くもので、農家の生活と国民の命を軽んじるもの。それは憲法が保障する人権を侵害するものです」
菊地さん達種子農家の姿勢は、今回の「みつひかり」不正事件と真逆のものである。
田井勝弁護士が食料への権利について、岩月浩二弁護士が「みつひかり」不正問題について、古川健三弁護士が国家賠償責任について、それぞれ意見陳述した。
報告会で、元農相・山田正彦さんは「2016年に種子法が廃止された。翌年、農水省は“みつひかりは超多収。これまでの『ひとめぼれ』などやめなさい。予算を出しません”と全国を回った。
私達は『日本の種子を守る会』を作って、“種子法は廃止されたが、発芽率90%以上のきちんとした種を保障するために種子条例を作ろう”と全国を回った。34道県で種子条例制定。『みつひかり』は1キロ5000円と高値で、しかも不良品。異品種混合、産地偽造、ロットによっては発芽率ゼロ。
2月末、1400ヘクタールの『みつひかり』農家は突然、種がないと言われた。『みつひかり』を認めた農水省は偽造を認め『厳重注意』のみ。食の権利を守るために、共に頑張りましょう!」と力強く訴えた。
採種農家の菊地さんの誇り、弁護団の決意が伝わってきた。種子法違憲訴訟を勝訴し、種子法を復活させなければならない。 (沢) -
2023.12.20
日本新聞
日本新聞 4548号記事 安保3文書改悪から1年、戦争は断固拒否
「平和構想提言会議」が「“戦争の時代”を拒み、平和の選択を」の声明発表。武器輸出ルール緩和で殺傷兵器の輸出解禁は認められない
安保3文書が改悪されたのは昨年12月16日。日本の防衛を根本から変える大改悪を、閣議決定で決めてしまった。大きな批判が巻き起こったが、こうした世論は無視され、この1年、戦争に向かって岸田政権はひた走っている。
そして今、岸田政権は武器輸出ルールの緩和を決めようとしている。戦後日本は、「武器輸出三原則」によって、武器の輸出は原則行わなかった。ところが、今決めようとしているのは、武器の輸出なのである。他国企業の許可を得て日本国内で生産している「ライセンス生産品」について、ライセンス元の国への輸出を全面的に認めるというもの。ライセンス元の国から第三者への輸出も容認するというのだ。
アメリカはウクライナを支援しているが、アメリカを経由して、戦争の真っただ中にいるウクライナへ、日本の武器が輸出されることもあり得る。これでは日本が参戦しているのと同じことだ。
このようなことを絶対に許してはならない。
何の為に武器輸出を決めようとしているのかというと、日本の軍需産業の儲けのために他ならない。日本の企業が死の商人として、世界で儲けようとしているのである。
安保3文書改定1年で非難声明
11日、憲法や国際政治の専門家でつくる「平和構想提言会議」が、「『戦争の時代』を拒み、平和の選択を」と題した声明を発表した。
・敵基地攻撃能力として使う米国製巡航ミサイル「トマホーク」の最大400発購入決定、軍事費の大幅増、防衛産業強化法の成立などは、「戦争する国家」に突き進むもの
・安保3文書決定の時と同様、武器輸出ルール緩和も自公の「密室協議」。国会での徹底審議を通じ、軍拡政策の見直しを
・東アジアの緊張緩和に向けた国家や市民レベルでの対話促進
などを訴えた。
安保3文書の改定では反撃能力について記述された点が大きい。反撃能力の保有の理由としては、「日本へのミサイル攻撃が現実の脅威となっている中で、迎撃による今のミサイル防衛だけで対応することは難しくなっている。その上で、ミサイル防衛を強化して、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、反撃能力が必要だ」としている。
専守防衛のこれまでの立場と変わらないというが、果たしてそうだろうか。相手からの更なる攻撃を防ぐ、つまり、相手が撃つ前に攻撃すると言っているのだ。これを反撃というのは無理がある。明らかに先制攻撃である。これまでの日本の専守防衛をかなぐり棄てるものだ。
一体、日本がミサイル攻撃される根拠はあるのか。これまでどおり、専守防衛に徹していれば攻撃されることはない。しかし、南西諸島にミサイル基地を次々造り、中国や朝鮮共和国に砲台を向けて挑発していれば、攻撃される可能性はある。アメリカの戦略は、日本の自衛隊や韓国兵を戦わせて、米軍は痛手を被らない手口だ。「アジアの戦いはアジア人同士でやらせる」これがアメリカの作戦だ。
不戦の憲法9条を持つ日本は戦争しない国として、一目置かれていた。今は軍事費倍増、武器輸出へと動く危険な国として警戒されている。
戦争ではなく平和への道を、武器ではなく対話での平和外交を。今、パレスチナの子ども達が日々、命を奪われている。即時停戦を求めるとともに、日本が戦争する国になることを阻止しよう。(沢)