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2024.01.24
日本新聞
日本新聞 4553号記事 農家に安全な種、消費者に安全な食を
放射線育種はゲノム編集、遺伝子組換えと同様、遺伝子を傷つけるもの。主食のコメの放射線育種進む。環境汚染許さない政治に転換
日本の主食は米である。戦後、アメリカの余剰小麦を大量に輸入するために、「頭脳パン」などが宣伝された。食品業界は“米を食べると馬鹿になり、パンを食べると頭が良くなる”とパンフレットまで作り、日本人の食生活を変えることに躍起となった。
しかし今、食に対する関心も高まり、グルテンフリーなどが叫ばれている。パン食より米食の方が体にいいと、米が見直されてきた。日本はコメ作りに適した気候で、米を100%自給できる。ところが、ミニマムアクセス米と言って、76.7万トンものコメを輸入している。日本政府はミニマムアクセスは義務だと言いつづけて来たが、お隣の韓国ではミニマムアクセス米を100%は輸入していない。だからと言って何も問われていないのである。対して日本は毎年100%以上輸入している。加工品や飼料米にしているというが、それも含めて日本の農家が作れるのである。明らかに、アメリカの意のままで、日本の農業を売り渡している。
今、米価は下がり続け、農家は赤字で離農者が増えている。「農業で生きていけないから、子どもには農業をやれとは言えない」という農家も多い。農業従事者の高齢化は深刻で、このままでは米を作る農家はいなくなるとさえ言われている。
放射線育種とは
OKシードプロジェクト事務局長、民間稲作研究所常任理事の印鑰智哉さんは、「お米があぶない」と警鐘を鳴らしている。印鑰さんによると、今、重イオンビーム育種米導入の動きが出てきているというのである。育種と聞くと、種を育てることだと思うが、放射線を当てて品種改良することである。放射線育種では、人間が近くにいたら死んでしまうくらい強い放射線を当てる。植物は生き残って突然変異するものもある、それを生かすというのである。
これまではガンマ線を当てていた。ガンマ線では遺伝子は傷つかない。細胞内に発生する活性酸素が細胞を傷つけ、突然変異させる。ストレスによって品種改良してきた。
重イオンビームは遺伝子の二重鎖を断ち切る。非常に高い圧力が一点に加えられる。これはゲノム編集と同じ作用である。ゲノム編集は別な種の遺伝子で組み換えるのではないから問題ないというが、遺伝子に手を加える点で、遺伝子組換えと同じく危険性が高い。重イオンビーム育種は世界の中で日本しか行っていない。
ではなぜ、このような遺伝子操作をやるのか。
カドミウム汚染対策
日本は世界最大級のカドミウム汚染被害者を生み出した。カドミウムは自然界にもある物質だが、体内に取り込むと有害で、イタイイタイ病を発症。カドミウム汚染について、「日本は火山国だから」などと言われたが、実際は違う。
明治政府は富国強兵策を取り、兵器生産に必要な鉱山資源をすべて国有化し、企業に払い下げした。鉱山労働者が犠牲になった。強制連行、強制労働させられた朝鮮人、中国人も犠牲にされた。イタイイタイ病は明治末期から現れているとされる。
1970年の日本の食品衛生法規格基準では、玄米1キログラム中に1.0ppm以上のカドミウムを有してはならない、であった。国際基準は0.4ppmで日本は批判され、0.4ppmに変えた。
日本のカドミウム汚染が世界最大級になったのは、カドミウムを使っての産業化であり、責任は政府と企業にある。だから、儲け第一の構図を変えることが解決への道である。ところがその構図は変えず、カドミウムを吸収しないコメを重イオンビーム育種で作る。
これがコシヒカリ環1号である。この結果、カドミウムは不検出になった。しかし、生命が育っていくうえで重要なマンガンを3分の1しか吸収しないものになった。これでは病気になりやすい。
稲には9億9000万の塩基があり、重イオンビームで欠損するのは、カドミウムを吸収する1塩基に過ぎないから大した影響はないと言うが、そうではない。1塩基でも影響は大きく、似て非なるものができる。収量も少なくなる。宮城県でも石川県でも重イオンビーム育種に取り組んだが、成功例はない。
それなのに秋田県は、2025年までに、あきたこまちとコシヒカリ環1号を交配させ、「あきたこまちR」を作り、全量これに切り替えるというのである。「一部の地域だけでやると高カドミウム地域だと風評被害が起こるからだ」というのである。秋田県だけではなく、2025年までに3割の都道府県で低カドミウム対策を実施する、つまり重イオンビーム育種を行うというのである。
タネの権利と消費者の権利を求める
では重イオンビーム育種以外にカドミウム対策はできないのか。
方法はいくらもある。
・ 灌水管理で稲はカドミウムを吸収しにくくなる。
・ カドミウムを吸い上げる植物を植える。
・ カドミウムを取り込まない品種と交配する
インドのPokkali(ポッカリ)という品種はカドミウムを根の液胞に貯め、稲には取り込まない。マンガンは吸収する。だから、コシヒカリとPokkaliの交配がいい。
こうした努力も、大企業による環境汚染がそのままでは、焼け石に水である。
「放射線育種」「ゲノム編集」は食品表示に記されない。「コシヒカリ環1号」は「コシヒカリ」、「あきたこまちR」は「あきたこまち」と表示される。これでは何もわからない。
国連小農の権利宣言5には、「小農が栽培を望む作物と品種を決定する権利を認める」と明記している。タネの権利である。
日本では消費者基本法第2条に、消費者の選択の機会が提供されること、必要な情報が提供されること、消費者の意見が消費者政策に反映されること、それが消費者の権利であると記されている。
政治が大企業と癒着し、大企業の儲け優先では環境汚染は悪化するばかりである。大企業の儲け第一の政治から、農家と消費者を守る政治への転換、これがタネと消費者の権利を守ることである。
放射線ではなく、太陽の光をたっぷり浴びた健康な米や野菜を政府は保障すべきである。 (沢) -
2024.01.17
日本新聞
日本新聞 4552号記事 国が地方自治否定の辺野古工事強行
沖縄の民意無視の工事着工に「乱暴で粗雑な対応」と玉城知事。ガマフヤーの具志堅隆松代表はハンストで抗議。国は建設工事の中止を
1月10日、政府は辺野古新基地建設で、軟弱地盤のある大浦湾側の工事に着工した。埋め立て工事の設計変更については、沖縄県の玉城知事は不承認とした。それは基地建設反対の沖縄県民を代弁してのものである。しかも、マヨネーズ状の軟弱地盤の改良のための設計変更である。軟弱地盤をどのように改良しても危険はなくならない。不承認は当然である。
それが不当だと防衛省が訴え、国交相が知事に承認を命ずる。それでも知事が承認しないと、裁判に訴え、裁判所は国が代執行することを認める。暴挙である。これでは、地方自治は全く認めないということだ。地方自治体はつべこべ言わず、国の言うとおりにしろというのだ。
琉球新報は国の暴挙に対して、この問題は「日本全体の民主主義と地方自治の行方にも関わる」問題だと指摘している。沖縄だけの問題ではない、自分の問題として声をあげないでどうするんだ、と苦言を呈しているのだ。
沖縄戦戦没者の遺骨収集を続ける市民団体「ガマフヤー」代表の具志堅高松さんら5人が、工事再開が強行された10日午後、工事の中止を求めてハンガーストライキを始めた。次の2点を求めてのハンガーストライキである。
1、防衛局はただちに沖縄県南部地区を土砂採取予定地から外すこと。また、採取地の決定は知事の承認事項であると認めること。
2、知事は県民・国民や全国の遺族のためにも、き然とした態度で人道無視の防衛局による南部地区の土砂調達計画を撤回させるよう全力をあげること。
沖縄県南部は沖縄戦で県民が多く命を奪われた遺骨の眠る地域である。その遺骨の混じった土砂で米軍基地を建設するなど、余りにも屈辱的なことであり、死者に対する冒とくに他ならない。辺野古新基地建設とともに、断じて許してはならないことだと、具志堅さんらは訴えているのである。
沖縄県との協議にも応じない国の強権ぶり
あたかも玉城知事が良識がないかのように言うが、合意したことを破っているのは国の方である。2013年に仲井真知事(当時)が埋め立て承認の際に付けた留意事項で、実施設計について事前に県と協議するよう定めているのだ。代執行訴訟の福岡高裁那覇支部の判決は「辺野古が唯一の解決策」とする国を追認するものであったが、付言で「国と県が相互理解に向けて対話を重ねることを通じて、抜本的解決の図られることが強く望まれている」とした。つまり、国は強行するのではなく、県との協議をやるべきだというのである。
岸田首相はふたこと目には「ていねいな説明を続けていきたい」と言うが、「ていねいな説明」など一度もない。「辺野古が唯一の解決策」と繰り返すだけだ。
沖縄県は代執行を認めた高裁判決を不服として上告している。最高裁判決を待つこともなく、工事再開を強行することが「ていねいな説明」なのか。国はただちに工事をやめ、沖縄県との協議に望むべきである。
世界各国の識者ら400人以上が連名で、辺野古移設反対を表明している。その中で「米国市民の圧倒的多数は、自国政府が沖縄で何をしているのかさえ知らない」と指摘している。これはそのまま私達日本市民に置き換えられるのではないだろうか。実際をしっかり認識し、今沖縄に襲いかかっている理不尽を許さない闘いを展開しよう。(沢) -
2024.01.14
党の主張・声明
能登半島地震被災者に緊急支援を呼びかけます!三菱UFJ銀行 西池袋支店 普通 0153958 緑の党 災害対策本部 代表 對馬テツ子
能登半島地震被災者に緊急支援を呼びかけます!
1月1日午前4時10分石川県能登地方を震源とする大地震が起きました。震源の深さは16キロ、マグニチュードは推定7.6。この地震で津波も発生。輪島市では4メートル隆起し、左に1.2メートルずれる地殻変動が起きています。今なお余震が続き、被害は甚大です。1月14日時点で死者は221人に及び、安否不明者は24人です。一時約3万4千人が避難した体育館や集会所などの「一時避難所」には、今も1万9千人が身を寄せています。犠牲になられた方々に心から哀悼の意をささげ、被災された方々に謹んでお見舞いを申し上げます。生活環境の悪化による災害関連死を防ぐために、ホテルや旅館、あるいは仮設住宅の設置など、「2次避難所」への対策が急務です。住宅被害は1万2443棟に及び、輪島市や珠洲市の被害が多く、いまだ全容が不明です。また、珠洲市、能登町の15地区の計490人が孤立状態にあります。また、石川、富山両県では、5万6千戸が断水し、早急な復旧が求められています。
能登半島地震に対する救援を心より訴えます。
振込先
三菱UFJ銀行 西池袋支店 普通 0153958
緑の党 災害対策本部 代表 對馬テツ子
2024年1月14日 -
2024.01.10
日本新聞
日本新聞 4551号記事 能登半島地震被災者に緊急支援を
7日時点で死者128人、安否不明者196人。避難所には2万9千人。政府は捜索とともに被災者への食料、毛布など全力で命を救う緊急対策を
能登半島地震で被災し亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
1月1日午後4時10分、石川県能登地方を震源とする大地震が起きた。震源の深さは約16キロ、マグニチュードは推定7.6。この地震で輪島市に120センチ以上の津波が到達。北海道から九州で津波を観測。家屋の倒壊や火災も相次ぎ、建物の下敷きになった人も多い。輪島市河井町の「輪島朝市」周辺では、火災で200棟以上が焼けた。七尾市、珠洲市、富山県高岡市でも火災が発生した。輪島市では、4メートル隆起し、左に1.2メートルずれる地殻変動が確認されている。
7日現在、石川県で死者は128人、安否不明者は196人である。輪島市では40件以上の生き埋め情報があり、救助が急がれる。道路が寸断され、700人以上が孤立状態に置かれている。避難所には2万8821人が避難している。医療施設でも機器が壊れ、薬や水の不足で、医療活動にも支障をきたしている。道路が土砂崩れなどで寸断されているため、救援物資の搬送も遅れている。
政府は自衛隊ヘリなどを総動員して、人命救助、物資搬送に全力を尽くさなければならない。
志賀原発が被災、冷却油漏れなど多くの異常事態
石川県の志賀原発では、1号機と2号機は長期間運転を停止しているが、地震の影響で、1、2号機で外部から電気を受けるために使われていた変圧器2台の配管が壊れて、絶縁や冷却のための油が漏れ出し、電気を受けられなくなった。1号機の油漏れは3600リットル、2号機は3500リットル。当初、北陸電力は、「ほかの系統を使って外部からの電気を受けているほか、非常用ディーゼル発電機も7日分の燃料が確保されているため、核燃料を貯蔵している使用済み燃料プールの冷却には問題ない」としていた。ところが2回目の緊急報告では、「変圧器に火災が発生し、消火済み」とした。さらにその後、「火災は起きていなかった」と訂正。これでは事実が公表されているのか、はなはだ疑問だ。「大きな異常は起きていない」、実は大変危険な状況だったのである。
原子炉内には核燃料はないが、燃料プールには、1号機に672体、2号機には200体の核燃料がある。運転停止から13年経っているので、核燃料の熱は下がっているとはいえ、核燃料がある限り、いつも冷却の問題がある。また、使用済み燃料プールで放射性物質を含む水が床面にあふれ出た。1号機は95リットル、2号機は326リットルで、建物内と言うが、放射性物質なのだから、被ばくの心配がある。原発がある限り、放射能の影響がないか、常に心配である。隣の福井県は原発銀座と言われるくらい原発があり、新潟県の柏崎刈羽原発でも燃料プールの放射性物質を含む水があふれたという。
能登半島には長い断層が動いており、大規模な余震が起こる可能性がある、と言われている。今後も予断を許さない状況で、実際、今も次々余震が起きている。
今回の震源地は、かつて計画された珠洲原発の真下である。珠洲原発は地元の反対運動で凍結に持ち込まれた。もし珠洲原発が作られていたら、と思うと実に恐ろしいことだ。
そして、地震大国日本に54基もの原発を造ったことは将来、解決しようのない負の遺産となる。
すべての原発を廃炉に!
天災のあとの人災を作ってはならない。政府は人命救助を全力で行うべきである。そして、避難所で救援を待つ被災者へ早急な支援を! (沢)