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2023.09.13
日本新聞
日本新聞 4534号記事 沖縄の民意踏みにじる沖縄県敗訴判決
辺野古・軟弱地盤の埋め立て認めぬ県の判断は正当。政府は沖縄の負担軽減を口先ではなく実現すべき。基地のない自然豊かな沖縄に
4日、最高裁は、沖縄県への国交相の「是正の指示」を違法として取り消しを求めた沖縄県の訴訟で、沖縄県の上告を棄却した。これによって沖縄県の敗訴が確定した。
沖縄県の玉城知事は軟弱地盤改良工事を不承認とした。これに対して国土交通相が「是正の指示」を出した。それを違法として、沖縄県が取り消しを求めて訴訟を起こした。
仲井真・元知事が埋め立てを承認したというが、その後、埋め立て予定地の軟弱地盤が発見されたのである。マヨネーズ上の軟弱地盤に軍事基地を建設するなど、余りにも無謀なことであり、玉城知事が承認しないのは当然である。ところが防衛省はいつものやり方で、国交相に行政不服審査法に基づいて不服審査請求した。国交相はそれを受けて、沖縄県に「是正の指示」つまり、埋め立てを認めるよう指示した。
そもそも、行政不服審査とは、行政による違法な、あるいは不当な処分や公権力の行使によって不利益を受けた国民の権利を守るためのものである。
同じく行政庁である防衛省が国交省に請求するものではない。政府内だから、国交相はいつも防衛省の側につく。これは沖縄県が主張するように、全く違法である。
これを正当に裁かなければならない裁判所もまた、防衛省側につき、沖縄県の訴えを却下してしまう。これでは三権分立ではなく、三権忖度であり、権力のある方が常に勝ち、無法が通ることになる。
今回の判決もまた然りである。
敗訴が確定したからと沖縄県が、改良工事を承認することはないだろう。基地建設反対が沖縄の民意だからである。沖縄県が改良工事の設計変更を承認しなければ、国が代執行することが考えられる。
これでは沖縄県の権利は何もなく、政府と沖縄県の関係は最悪状態になる。
基地のない沖縄が沖縄県民の願い
沖縄県は広さから言ったら全国の0.6%にすぎない。その沖縄に今も全国の7割の米軍基地が集中している。政府は「沖縄の負担軽減」を叫ぶが実際はどうか。
宜野湾市にある米軍普天間基地は、住宅地のどまん中にあり、学校などと隣接しており、「世界で一番危険な基地」と言われている。普天間基地の返還は一刻も早く行われなければならない。しかも無条件で返還されるべきものである。
ところが、普天間基地の返還は代替え基地ができなければ行われないというのが、日米両政府の取り決めである。そして「辺野古が唯一の方法」と、辺野古新基地建設工事を強行している。
沖縄県民が、基地建設反対の知事を何度当選させても、政府は「選挙は基地問題だけを問うものではないから、選挙に勝ったことが基地建設反対とイコールにはならない」と強弁した。そのため辺野古移設を問う県民投票を行い、沖縄県民の民意が基地建設反対であることを示した。それでも政府は民意に従おうとせず、基地建設をやめない。
2000年施行の地方分権一括法は、国と地方の関係は上下・主従の関係ではなく、対等・協力の関係に変わったことになっている。しかし、国と沖縄の関係には、全く適用されていない。政府は沖縄の声を全く無視している。黙って国に従えという理不尽を強いている。
沖縄だけではなく、南西諸島をミサイル基地にして、戦争に巻き込もうとしている。豊かな自然をことごとく破壊してしまう戦場にすることは、絶対に許されない。
沖縄を始め、南西諸島に軍事基地はいらない。戦争ではなく平和への道を歩もう。 (沢) -
2023.09.06
日本新聞
日本新聞 4533号記事 関東大震災朝鮮人虐殺から100年、政府は責任認め謝罪を
関東大震災の混乱に乗じて6000余名の朝鮮人、700名以上の中国人虐殺。政府は真相究明し、虐殺を扇動した責任を認め被害者・遺族に謝罪を
9月1日、関東大震災から100年となった。関東大震災は未曾有の大震災であっただけではなく、朝鮮人や日本の社会主義者を大虐殺したむごい歴史がある。はっきりした数がわからない中で、民間の調査で、少なくとも朝鮮人6000人以上、中国人700人以上、朝鮮人と間違われた日本人の犠牲者も多かったという。単なる震災で終わらせられない、この闇を直視し、二度と繰り返してはならないと、全国各地で集会が行われた。
9月1日、銀座ブロッサムでの「関東大震災100年 朝鮮人虐殺犠牲者追悼と責任追及の集会では、朝鮮大学校の学生たちによる朗読劇が行われ、関東大震災時にどのようにして朝鮮人虐殺が展開されたのか、証言に基づいた史実が語られた。朝鮮人虐殺の事実を知ったおじさんが「日本人だって話せばわかるはずだ」と出かけた直後、おじさんの生首を掲げて「エイエイオー!」と叫ぶ自警団の姿を見た子どもの証言は、心に突き刺さった。
集会では、最後に、政府への要請書を読み上げた。要請事項は次の通り。
1、日本政府は、関東大震災時の朝鮮人虐殺犠牲者に対して、その責任を認め謝罪すること
2、日本政府は、関東大震災時の朝鮮人虐殺の根本的原因が朝鮮半島の植民地支配にあったことを認め、確固たる姿勢を以てその清算を行うこと
3、日本政府は、関東大震災時の朝鮮人虐殺に関して、その実態を明らかにすること
4、日本政府は、政府内に止まらず公的機関に存在する関係書類の調査を行うこと
5、日本政府は、これまで聞き取り調査を行った市民および研究者を入れて真相究明のためのプロジェクトチームを立ち上げること
要請書を真摯に受け止め、政府は真相究明とともに、虐殺の責任を認め、犠牲者と遺族に謝罪すべきである。
虐殺を認め、北東アジアの未来へと向かおう
2日には、荒川河川敷で追悼イベントが行われ、600人の方がかけつけた。
また、連合会館では、「国際シンポジウム 関東大震災朝鮮人虐殺の責任と課題」が開催された。
主催者を代表して、元法務相の平岡秀夫弁護士は、「松野官房長官は“政府内において、虐殺の事実関係を記録する資料はみつからない”と言った。全くひどい。22歳で広島で被爆し、13年前に亡くなった父は大震災の翌日に生まれた。今、朝鮮人虐殺に直接関わった日本人はいない。しかし日本人として責任がある。責任を果たせない、日本が北東アジアに対する将来の展望が示せないのは、政治の貧困だ。苦悩と怒りは、虐殺された人、その遺族、そして今の朝鮮の若者たちに続いている。過去の清算をきちんと行わなければならない」と訴えた。
明治学院大学講師の鄭栄桓さんは、小池都知事の追悼文拒否を批判した。工藤美代子著作「関東大震災『朝鮮人虐殺』の真実」これが虐殺否定論の根拠になっている。
“朝鮮人は摂政宮を暗殺しようとまで画策”したから、“虐殺ではなく、国家の自衛権行使だ”と、朝鮮人暴動はあったという主張であり、事実に基づかない。「虐殺否定論の最大の問題は、被害者を加害者に変えてしまうこと。被害者の名誉が何重にも侵害されている。
朝鮮大学校講師の鄭永寿さんは、次の事実を指摘した。
1923年12月5日付の「独立新聞」には犠牲者数は6661名だと公表された。その後の「在日本東京朝鮮人大会」では、流言蜚語の出所は日本政府当局であり、伝播者も日本政府当局だと声明書を決議している。
鄭永寿さんは、「100年間の無責任を終わらせるためには、真相を調査・発表すること。そして今も無償化から朝鮮学校を排除するなど差別を行っていることで、排外主義が跋扈している。関東大震災時の虐殺主導の構図の繰り返しだ。日本社会における多民族排外主義の克服を」と訴えた。
最後に、鄭栄桓さんの「日本政府は世論を甘く見ている。日本社会の問題だ」という言葉が突き刺さってくる思いがした。
今も続く朝鮮差別、その中で苦しむ在日朝鮮人の人々。この問題を解決しない限り、私達日本人も解放されないし、前に進めない。
大虐殺から100年を機に、排外主義に反対し、アジアの平和・友好・連帯を克ち取る運動を展開しよう。 (沢) -
2023.08.30
日本新聞
日本新聞 4532号記事 民意無視の汚染水海洋放出に抗議
事故炉の汚染水海洋放出は世界初の無謀な行為。全漁連会長が反対を明言した翌日、放出を決定。中国、日本産水産物の輸入全面停止決定
岸田政権は19日に日米韓首脳会談から帰国し、20日には東電福島第一原発を訪れ、24日から汚染水の海洋放出を強行した。全国漁業協同組合連合会会長は改めて、反対を明言していた。「関係者の合意なしにはいかなる処置もしない」という文書にも明記した約束を踏みにじっての強行である。
23日、緑の党は海洋放出の中止を求める声明を出した。
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放射能汚染水の海洋放出の中止を求める声明
岸田首相は、「福島県復興の前提に福島第一原発の廃炉があり、廃炉の前提に処理水の処分がある」として、その汚染水の海洋放出を8月24日に行うことを関係閣僚会議で決定した。しかし、30年以上に及ぶ汚染水の放出は世界の海を汚し、二次災害を生み出すものだ。反対の声があるにもかかわらず強行する海洋放出は即刻中止することを求める。
①政府は、国際原子力機関(IAEA)の「国際的な安全基準に合致する」「人および環境に与える放射線の影響は無視できる」という報告書をお墨付きとして、海洋放出を強行している。しかし、原発事故で溶け落ちた核燃料を冷やした高濃度汚染水は、「多核種除去設備ALPS」で処理してもトリチウムなど除去できない放射性物質を含む。またトリチムのほかにもセシウム・ストロンチウムなど62核種の基準値超えの放射性物質を含む汚染水が大量にある。放射性物質がある限り、被ばくを伴う。海洋放出はどんなに薄めても放射性物質を海に垂れ流すことであり、食物連鎖を通じて健康に被害をもたらす明らかな環境汚染である。世界最悪の原発事故を起こした汚染水を海洋に放出するのは世界初であり、全く無謀なことである。断じて認めるわけにいかない。これは風評被害ではなく、放射能の二次災害である。
②事故前は、年間2兆ベクレルのトリチウムを海洋放出していた。現存の汚染水のトリチウムは860兆ベクレルである。年間22兆ベクレルを放出する予定である。しかし、海洋放出はコスト削減になるからと言って行うべきではない。二次災害を防ぐために、放射性物質を閉じ込めるべきである。政府は、石油備蓄で使われている大型タンクの増設やトリチウムのモルタル固化などの代替え案を採用すべきである。
③現在の汚染水の総量134万トンは、タンク約1000基に保管されている。東電によると、2023年に放出する汚染水は、3万1200トン、約30基分であるが、毎日約100トンの汚染水が新たに発生しているので、実質減るのは約1万2200トン、約10基分、全体の1%に過ぎない。東電は、「放出量を徐々に増やして、2051年までに、保管タンクゼロにできる」としているが、石棺や地下水などを遮蔽する措置を抜本的に取らない限り、汚染水の終わりが見えない。50年もかかると推測する専門家もいる。345億円をかけ、現在も毎年の電気代が十数億円かかる凍土壁は、地下水をゼロにはできなかった。したがって石棺や新たな広域遮水壁対策を検討するべきである。
④2015年、政府と東電は、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。ところが、政府は約束を破って海洋放出を強行した。全漁連会長らと面会し、漁業者に必要な支援などの基金を800億円出すことによって一定の理解を得たと強弁している。しかし、関係者の理解を得られたとは到底言えないものである。世界の海を放射能で汚染することは取り返しのつかないことであり、被災地の人々を一層苦しめるものである。海洋放出の中止以外、安心は得られない。そして国内だけでなく、汚染された海によって世界の人々の生業もまた奪われる。政府は、国内や世界の人々の反対の声に耳を傾けるべきである。
⑤政府は原発回帰に舵を切った。福島原発事故の1~3号機で生じたトリチウムは年間200トンにのぼる。再処理工場が稼働すれば、使用済み核燃料を年間800トン処理し、大量のトリチウムが取り出され、海洋放出する計画になっている。原発のない社会を実現しない限り、更なる危険が待ち受けることを危惧する。環境を破壊する放射能汚染水の海洋放出は即刻中止することを要求する。
2023年8月23日
緑の党 党首 對馬テツ子
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中国は日本の水産物の輸入の全面停止を決定した。福島沖の底引き網漁は9月1日に解禁される。現在の水揚げ量は震災前の2割、漁師たちはここからだと期待していた矢先である。これは風評被害ではなく、環境汚染であり実害である。ここまで何とか生業をつないできた漁業関係者たちの努力を水の泡にするのか。
政府・東電は海洋放出をただちに中止すべきである。 -
2023.08.23
党の主張・声明
放射能汚染水の海洋放出の中止を求める声明
岸田首相は、「福島県復興の前提に福島第一原発の廃炉があり、廃炉の前提に処理水の処分がある」として、その汚染水の海洋放出を8月24日に行うことを関係閣僚会議で決定した。しかし、30年以上に及ぶ汚染水の放出は世界の海を汚し、二次災害を生み出すものだ。反対の声があるにもかかわらず強行する海洋放出は即刻中止することを求める。
政府は、国際原子力機関(IAEA)の「国際的な安全基準に合致する」「人および環境に与える放射線の影響は無視できる」という報告書をお墨付きとして、海洋放出を強行している。しかし、原発事故で溶け落ちた核燃料を冷やした高濃度汚染水は、「多核種除去設備ALPS」で処理してもトリチウムなど除去できない放射性物質を含む。またトリチムのほかにもセシウム・ストロンチウムなど62核種の基準値越えの放射性物質を含む汚染水が大量にある。放射性物質がある限り、被ばくを伴う。海洋放出はどんなに薄めても放射性物質を海に垂れ流すことであり、食物連鎖を通じて健康に被害をもたらす明らかな環境汚染である。世界最悪の原発事故を起こした汚染水を海洋に放出するのは世界初であり、全く無謀なことである。断じて認めるわけにいかない。これは風評被害ではなく、放射能の二次災害である。
事故前は、年間2兆ベクレルのトリチウムを海洋放出していた。現存の汚染水のトリチウムは860兆ベクレルである。年間22兆ベクレルを放出する予定である。しかし、海洋放出はコスト削減になるからと言って行うべきではない。二次災害を防ぐために、放射性物質を閉じ込めるべきである。政府は、石油備蓄で使われている大型タンクの増設やトリチウムのモルタル固化などの代替え案を採用すべきである。
現在の汚染水の総量134万トンは、タンク約1000基に保管されている。東電によると、2023年に放出する汚染水は、3万1200トン、約30基分であるが、毎日約100トンの汚染水が新たに発生しているので、実質減るのは約1万2200トン、約10基分、全体の1%に過ぎない。東電は、「放出量を徐々に増やして、2051年までに、保管タンクゼロにできる」としているが、石棺や地下水などを遮蔽する措置を抜本的に取らない限り、汚染水の終わりが見えない。50年もかかると推測する専門家もいる。345億円をかけ、現在も毎年の電気代が十数億円かかる凍土壁は、地下水をゼロにはできなかった。したがって石棺や新たな広域遮水壁対策を検討するべきである。
2015年、政府と東電は、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束した。ところが、政府は約束を破って海洋放出を強行した。全漁連会長らと面会し、漁業者に必要な支援などの基金を800億円出すことによって一定の理解を得たと強弁している。しかし、関係者の理解を得られたとは到底言えるものではない。世界の海を放射能で汚染することは取り返しのつかないことであり、被災地の人々を一層苦しめるものである。海洋放出の中止以外、安心は得られない。そして国内だけでなく、汚染された海によって世界の人々の生業もまた奪われる。政府は、国内や世界の人々の反対の声に耳を傾けるべきである。
政府は原発回帰に舵を切った。福島原発事故の1~3号機で生じたトリチウムは年間200トンにのぼる。再処理工場が稼働すれば、使用済み核燃料を年間800トン処理し、大量のトリチウムが取り出され、海洋放出する計画になっている。原発のない社会を実現しない限り、更なる危険が待ち受けることを危惧する。環境を破壊する放射能汚染水の海洋放出は即刻中止することを要求する。
2023年8月23日
緑の党 党首 對馬テツ子