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2023.08.02
日本新聞
日本新聞 4528号記事 最老朽炉・高浜原発1号機再稼働の暴挙
新規制基準審査クリアの11基が再稼働。原子力規制委は独立性なく政府ベッタリ。経産省は原発事故対策費の消費者負担制度新設
7月28日、関電高浜原発1号機が再稼働した。高浜原発1号機は運転開始から48年経過し、国内で最も古い原発である。東電福島第一原発の事故を教訓にすれば、原発は人類がコントロールできない危険な代物であることは明白である。原発を運転すること自体、やめた方がいいことははっきりしている。老朽原発を動かすなど、してはならないことだ。
再稼働して現在動いている原発は11基である。新規制基準の審査をクリアしたことが再稼働の根拠である。この審査をする原子力規制委員会は独立した機関だというが、実際は政府の意向通りに動いている。岸田政権は、原子力の最大限の利用を掲げている。それに呼応して、次々新基準適合のゴーサインを出した規制委。原子力を規制するどころか推進しているのが実際だ。
運転48年の高浜原発1号機、運転46年の美浜原発3号機、あとの9基すべてが25年以上、大方が30年を経過している。
福島の原発事故後、原発の運転は「原則40年、最長60年」とされたが、今年5月に「改正電気事業法」が成立し、60年を超える運転が可能になってしまった。高浜1号機で言えば、12年半の運転停止期間を差し引いて60年までとされる可能性がある。
現在の時点でも、12年半も運転していなかった原発の再稼働は危険を極める。
運転40年を超える美浜原発3号機では、昨年、定期検査中に原子炉補助建屋内で放射性物質を含んだ水が漏れ出すトラブルが起きた。また、高浜4号機では、今年1月、核分裂反応を抑える制御棒が落ちて自動停止した。
経年劣化の問題は避けて通れない重大な問題である。
経産省が原発事故対策費を消費者負担にする新制度導入
7月26日、経産省は来年導入する「長期脱炭素電源オークション」の対象に、再稼働をねらう既存原発を加えることを検討するとした。「長期脱炭素電源オークション」は、新電力も対象である。現在は個別の電力会社が負担している事故対策費を、電気料金を通して全国の消費者から集めることになる。原発事故が起きて、東電との契約をやめ、再生可能エネルギー由来の新電力会社と契約した人も多い。ところがこの新電力会社と契約している人も、原発の事故対策費や再稼働費用を負担させられるのである。
あまりにも理不尽だ。原発事故から学び、原発は良くない、稼働すべきではないと、原発ではないエネルギーを求めて新会社と契約した人たちから集めたお金を、原発も含む発電会社に分配するというのである。
原子力資料情報室の松久保事務局長は「事故対策は電力会社の責任で投資すべきだ。消費者に負担させるべきではない」と苦言を呈している。
東電福島第一原発事故から学び、各電力会社は安全第一へと抜本的な体質改善に取り組むべきである。国はそれを指導する立場だが、事故を起こしても消費者に負担させる制度を導入しようとしている。これでは事故を起こさないように対策を取らなくてはという意識にならない。
東電は15メートル以上の津波が来る可能性を知りながら、経費がかかるからと対策を行わず、原発事故を引き起こした。そこからしっかり教訓を得なければならない。危険な原発ではなく、再生可能エネルギーへの転換を。
原発からの撤退以外に選択の余地はない。(沢) -
2023.07.12
日本新聞
日本新聞 4525号記事 福島第一原発汚染水放出
IAEAが「安全基準適合」と不当判断
トリチウムや基準超えの放射性核種を含む汚染水の海洋放出。国内外からの批判を無視して、海洋放出を強行する政府と原発推進勢力
7月4日、IAEA(国際原子力機関)は東電福島第一原発の汚染水海洋放出計画について、「計画は国際的な安全基準に適合」とする報告書を発表した。これによって政府は、今夏までとしている放出時期を具体化するとしている。政府もIAEAも処理水と言うが、実際には、トリチウムは除去されていないし、放射性核種も基準超えのものが多数あり、その影響は大きい。水産物への影響は計り知れない。
報告書の問題点
IAEAの報告書の骨子は次の通りである。
1、処理水の海洋放出計画は、国際的な安全基準に適合し、人や環境への影響は無視できるほどだ。
※トリチウムは処理されておらず、放射性核種も基準超えのものが多数ある。水産物への影響は十分考えられ、もちろんそれを食した人間への影響も否定できない。このことから全漁連、福島県漁連は反対決議をあげている。
政府は「関係者の理解なしには実施しない」と言っていたが、今では関係者の反対を全く無視している。
2、東電は、処理水の放出にあたり放射性物質の濃度を正確に測る能力がある。
※能力があるかどうかが重要ではない。正確に測ることができるかではなく、正しく対処するかが問題。線量の高い地への帰還を問題なしとして、国と一緒になって福島への帰還を進めている不誠実さによって、犠牲にされる人は多い。
3、放出計画を審査した原子力規制委員会は、独立した規制機関として、適切な規制をしている。
※これは全くの大嘘だ。原発事故の収束さえ目途が立っていないのに、次々原発の再稼働を「新基準適合」と認めてきたのが規制委員会である。きわめつけは、1977年運転開始の超老朽炉「常陽」の「適合」判断である。一体どこが独立した規制機関なのか。政府が原発推進に舵を切れば、何でもかんでも「適合」と再稼働ゴーサインを出す。政府の意向通りのお抱え機関である。
4、原子力規制委員会による使用前の検査は、設備が計画通りに設置され、運転できるかを確認するうえで十分。
※3に記した通り、原子力規制委員会の判断はまゆつばものだ。
今回のIAEAの「適合」判断を、政府は「お墨付き」を得たとばかりに、汚染水の海洋投棄を正当化し強行しようとするだろう。これを何としても止めなければならない。IAEAが「適合」と判断しても、海洋投棄が許される根拠はない。
IAEAが「適合」判断した7月4日、韓国では超党派の国民対策委員会が「汚染水の海洋放出に反対する85%の国民を代弁する」と発足し、「日本政府は“海洋テロ”に他ならない無断放出計画を、ただちに取り消すべきだ」と訴えた。中国外交部は「日本が放射性物質汚染リスクを世界に押し付けるのは非道徳で不法」と声明を出した。日本国内でも半数以上が海洋放出に反対である。
IAEAが実際に基づいていないのは、東電福島第一原発事故が起きた時に、「年間100ミリシーベルト被ばくしても、がんの危険性はない」と言い放ったことからもよくわかる。国際原子力機関ではなく、原発推進機関なのである。
事故当時、18歳未満だった福島の子ども達のうち300人以上が甲状腺がんを発症している。これも“原発事故との因果関係は不明”としらを切る。今、甲状腺がんになった若者7人が“原因をはっきりさせてほしい”と裁判を闘っている。勇気ある闘いである。
汚染水の海洋放出は何としてもストップさせなくてはならない。 (沢) -
2023.07.12
日本新聞
日本新聞 4502号記事 福島第一原発汚染水放出
IAEAが「安全基準適合」と不当判断
トリチウムや基準超えの放射性核種を含む汚染水の海洋放出。国内外からの批判を無視して、海洋放出を強行する政府と原発推進勢力
7月4日、IAEA(国際原子力機関)は東電福島第一原発の汚染水海洋放出計画について、「計画は国際的な安全基準に適合」とする報告書を発表した。これによって政府は、今夏までとしている放出時期を具体化するとしている。政府もIAEAも処理水と言うが、実際には、トリチウムは除去されていないし、放射性核種も基準超えのものが多数あり、その影響は大きい。水産物への影響は計り知れない。
報告書の問題点
IAEAの報告書の骨子は次の通りである。
1、処理水の海洋放出計画は、国際的な安全基準に適合し、人や環境への影響は無視できるほどだ。
※トリチウムは処理されておらず、放射性核種も基準超えのものが多数ある。水産物への影響は十分考えられ、もちろんそれを食した人間への影響も否定できない。このことから全漁連、福島県漁連は反対決議をあげている。
政府は「関係者の理解なしには実施しない」と言っていたが、今では関係者の反対を全く無視している。
2、東電は、処理水の放出にあたり放射性物質の濃度を正確に測る能力がある。
※能力があるかどうかが重要ではない。正確に測ることができるかではなく、正しく対処するかが問題。線量の高い地への帰還を問題なしとして、国と一緒になって福島への帰還を進めている不誠実さによって、犠牲にされる人は多い。
3、放出計画を審査した原子力規制委員会は、独立した規制機関として、適切な規制をしている。
※これは全くの大嘘だ。原発事故の収束さえ目途が立っていないのに、次々原発の再稼働を「新基準適合」と認めてきたのが規制委員会である。きわめつけは、1977年運転開始の超老朽炉「常陽」の「適合」判断である。一体どこが独立した規制機関なのか。政府が原発推進に舵を切れば、何でもかんでも「適合」と再稼働ゴーサインを出す。政府の意向通りのお抱え機関である。
4、原子力規制委員会による使用前の検査は、設備が計画通りに設置され、運転できるかを確認するうえで十分。
※3に記した通り、原子力規制委員会の判断はまゆつばものだ。
今回のIAEAの「適合」判断を、政府は「お墨付き」を得たとばかりに、汚染水の海洋投棄を正当化し強行しようとするだろう。これを何としても止めなければならない。IAEAが「適合」と判断しても、海洋投棄が許される根拠はない。
IAEAが「適合」判断した7月4日、韓国では超党派の国民対策委員会が「汚染水の海洋放出に反対する85%の国民を代弁する」と発足し、「日本政府は“海洋テロ”に他ならない無断放出計画を、ただちに取り消すべきだ」と訴えた。中国外交部は「日本が放射性物質汚染リスクを世界に押し付けるのは非道徳で不法」と声明を出した。日本国内でも半数以上が海洋放出に反対である。
IAEAが実際に基づいていないのは、東電福島第一原発事故が起きた時に、「年間100ミリシーベルト被ばくしても、がんの危険性はない」と言い放ったことからもよくわかる。国際原子力機関ではなく、原発推進機関なのである。
事故当時、18歳未満だった福島の子ども達のうち300人以上が甲状腺がんを発症している。これも“原発事故との因果関係は不明”としらを切る。今、甲状腺がんになった若者7人が“原因をはっきりさせてほしい”と裁判を闘っている。勇気ある闘いである。
汚染水の海洋放出は何としてもストップさせなくてはならない。 (沢) -
2023.02.08
日本新聞
日本新聞 4502号記事 311子ども甲状腺がん
第4回口頭弁論 被曝の事実を明らかにと訴えた原告達
2人の原告が意見陳述。「病気が被曝の影響と認められるのか確認したい」300人を超える被害者を代表しての闘い。若者達を支え闘おう
1月25日、東京地裁で「311子ども甲状腺がん裁判」の第4回口頭弁論が行われた。
裁判の前の地裁前アピールには、寒風吹きすさぶ中、たくさんの方がかけつけた。
福島からかけつけた福島原発告訴団団長の武藤類子さんが福島で原発事故について訴えてビラをまいていたら、高校生くらいの青年がじっと見ていた。話しかけると、「どうしてこんなことやってるんですか。もっと夢や希望のあることをやったらいいんじゃないですか。こんなことをいつまでもやってるから、福島はまだ汚れていると思われるんですよ」と言った。若い人へのプロパガンダ(宣伝)はすごいと感じた、その中で7人の若者が裁判を闘うのは、どれほど大変なことか、と話していた。
本当に大変な闘いだと思う。自分が甲状腺がんになったのは、原発事故による放射線被ばくによるものだと認めてほしい、これは当然の訴えだ。しかし「いつまでもそんなことで騒いで!」と、被害者なのに非難される。それでも闘いに立ったのである。 24の傍聴席に156人がかけつけた。
「病気は被曝の影響だと認めて」と訴える原告達
今回は原告4の男性と原告7の女性が意見陳述した。
原告4は26歳の男性だ。がんと共に生きる生活は7年になると話す。大学生の時に甲状腺がんと診断され手術して、半年も経たずに2回目の手術、そして1年後に3回目の手術。就職して入社2年目で4回目の手術。再発のたびに、どれほど落胆したことか。最後に「がんの再発は覚悟しているが、前だけを見たい。自分の病気が放射線による被曝の影響と認められるのか。この裁判を通じて、最後までしっかり事実を確認したい」と訴えている。将来が見えない不安を抱えながらも、真実を知りたいと闘っている。
原告7の女性はお父さんから裁判の記事を見せられ、自分と同じ年代の、自分と同じ境遇の人たちが裁判を起こしたことを知り、裁判に参加した。
福島県の5回目の甲状腺検査でがんが見つかった。手術の後、体調も悪く頭痛もしてイライラしてお母さんに八つ当たりの日々。裁判のことを知って、自分と同じような人がいることを知って勇気をもらった。甲状腺がんになった人が福島県だけでも300人以上いて苦しんでいる。今、立ち上がらないといけないと思ったという。
最後に裁判官をじっと見つめて、一人一人の名前を呼んで、「私たちがなぜこのように立たざるを得なかったのか、それだけでも理解してほしい」と訴えた。
裁判官は原告の青年たちの訴えを、しっかりと受け止めてほしい。
報告会で井戸弁護団長は、「原告に寄り添ってきた若い弁護士の皆さんにも拍手を送りたい」と語った。
「被告は、UNSCARE(アンスケア・原子放射線の影響に関する国連科学委員会)の“福島の子ども達は年間10mSv以下だから被ばくにならない”というのを根拠に 反論している。しかし客観的なデータがある。第一原発から60キロ以上離れた福島市紅葉山のモニタリングポストに計測記録があった。2011年3月15日昼過ぎから16日の朝にかけて、強烈なプルーム(放射性雲)が覆い、子ども達は半日ちょっとでヨウ素131だけで60mSv被曝。他の放射性ヨウ素も取り込んだし、外部被曝もある。これからUNSCAREのデータのいい加減さを立証する。見通しは十分ある」
7人の原告の若者達を支えるため、裁判にかけつける、福島の子ども達の実際を広く知らせる運動を進めよう。 (沢)