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2024.01.17

日本新聞

日本新聞 4552号記事  国が地方自治否定の辺野古工事強行

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沖縄の民意無視の工事着工に「乱暴で粗雑な対応」と玉城知事。ガマフヤーの具志堅隆松代表はハンストで抗議。国は建設工事の中止を

 1月10日、政府は辺野古新基地建設で、軟弱地盤のある大浦湾側の工事に着工した。埋め立て工事の設計変更については、沖縄県の玉城知事は不承認とした。それは基地建設反対の沖縄県民を代弁してのものである。しかも、マヨネーズ状の軟弱地盤の改良のための設計変更である。軟弱地盤をどのように改良しても危険はなくならない。不承認は当然である。
 それが不当だと防衛省が訴え、国交相が知事に承認を命ずる。それでも知事が承認しないと、裁判に訴え、裁判所は国が代執行することを認める。暴挙である。これでは、地方自治は全く認めないということだ。地方自治体はつべこべ言わず、国の言うとおりにしろというのだ。
 琉球新報は国の暴挙に対して、この問題は「日本全体の民主主義と地方自治の行方にも関わる」問題だと指摘している。沖縄だけの問題ではない、自分の問題として声をあげないでどうするんだ、と苦言を呈しているのだ。
 沖縄戦戦没者の遺骨収集を続ける市民団体「ガマフヤー」代表の具志堅高松さんら5人が、工事再開が強行された10日午後、工事の中止を求めてハンガーストライキを始めた。次の2点を求めてのハンガーストライキである。
1、防衛局はただちに沖縄県南部地区を土砂採取予定地から外すこと。また、採取地の決定は知事の承認事項であると認めること。
2、知事は県民・国民や全国の遺族のためにも、き然とした態度で人道無視の防衛局による南部地区の土砂調達計画を撤回させるよう全力をあげること。
 沖縄県南部は沖縄戦で県民が多く命を奪われた遺骨の眠る地域である。その遺骨の混じった土砂で米軍基地を建設するなど、余りにも屈辱的なことであり、死者に対する冒とくに他ならない。辺野古新基地建設とともに、断じて許してはならないことだと、具志堅さんらは訴えているのである。

沖縄県との協議にも応じない国の強権ぶり

 あたかも玉城知事が良識がないかのように言うが、合意したことを破っているのは国の方である。2013年に仲井真知事(当時)が埋め立て承認の際に付けた留意事項で、実施設計について事前に県と協議するよう定めているのだ。代執行訴訟の福岡高裁那覇支部の判決は「辺野古が唯一の解決策」とする国を追認するものであったが、付言で「国と県が相互理解に向けて対話を重ねることを通じて、抜本的解決の図られることが強く望まれている」とした。つまり、国は強行するのではなく、県との協議をやるべきだというのである。
 岸田首相はふたこと目には「ていねいな説明を続けていきたい」と言うが、「ていねいな説明」など一度もない。「辺野古が唯一の解決策」と繰り返すだけだ。
 沖縄県は代執行を認めた高裁判決を不服として上告している。最高裁判決を待つこともなく、工事再開を強行することが「ていねいな説明」なのか。国はただちに工事をやめ、沖縄県との協議に望むべきである。
 世界各国の識者ら400人以上が連名で、辺野古移設反対を表明している。その中で「米国市民の圧倒的多数は、自国政府が沖縄で何をしているのかさえ知らない」と指摘している。これはそのまま私達日本市民に置き換えられるのではないだろうか。実際をしっかり認識し、今沖縄に襲いかかっている理不尽を許さない闘いを展開しよう。(沢)