日本新聞
日本新聞 4568号記事 憲法変えるなと有明に3万2000人集う
2024憲法大集会開催。改憲発議許さず、憲法を生かし、平和・いのち・くらし・人権を守ろう。
戦争への動きに歯止めをかけよう
日本には不戦を明記した憲法9条がある。世界でも日本の憲法9条をお手本にして、不戦を貫くコスタリカのような国もある。
しかし、憲法9条のある日本が今、アメリカの戦争に加担するような動きをしている。これに対して世界の国々、特にアジアの国々が警戒を強めている。
このような中、5月3日の憲法記念日に、有明防災公園で「2024憲法大集会」が開催された。有明防災公園には色とりどりの旗がなびき、3万2000人がかけつけた。
オープニングは古謝美佐子さんのステージ。平和を願う歌声が響く。「小さな沖縄に日本全体の米軍基地の70%以上が押し付けられている。平和な琉球は無くなってしまった。みなさんも考えてください」という言葉が突き刺さってくる。古謝さんの歌は沖縄の人々の悲しみ、無念さを訴えている。
主催者あいさつでは、「今回が10回目の憲法集会。戦争させない、9条壊すなの一点で一致してきた。安保関連法、安保3文書、軍事費43兆円に、他国と共同して武器開発。日米首脳会談では、自衛隊が米軍の指揮下で戦うこと、オーカスとの協力強化を約束してきた。明文改憲の論議の強まりに歯止めをかけ、運動を大きくしていこう」と訴えられた。
伊藤塾塾長で弁護士の伊藤真さんは「変えてはいけないことは、憲法への愛。その思いで、憲法に自衛隊明記という改悪を阻止してきた。憲法に明記されている、不戦の9条、政教分離、これを守り、戦争しないでこれた。しかし、軍需産業強化、戦闘機輸出など憲法無視の政治が行われている。自公が43%の得票で67%の議席を得ている、これも理不尽だ。77年前の戦争する国に戻してはならない。憲法を生かす政治を取り戻そう」と語った。
新外交イニシアチブ(ND)代表で弁護士の猿田佐世さんは、「岸田首相はアメリカに行って“アメリカのそばに日本はいますよ。だから自信を持ってください”と米議会でアピールしてきた。軍事大国の道を突き進み、抑止力の強化で他の国が日本に攻撃してこないと言っている。そうではない。外交によって緊張を緩和することだ。来年の今日、ここに一人一人が30代、20代、それ以下の人を連れてこよう」と呼びかけた。
真実を訴え運動の輪を広げよう
原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)共同代表の武藤類子さんは、「元旦の能登半島地震は、志賀原発が止まっていたこと、珠洲原発が住民の反対運動でできなかったことが幸いしたが、大惨事になるところだった。ところが原子力規制委は“原子力災害対策指針の見直しはしない”と言った。世界の原発を止め、少しでも安全を確保する時だ。福島の事故を忘れないでほしい。海洋投棄は人為的環境破壊で、何としても止めたい。東電幹部の責任を問う刑事訴訟は、不当極まりないひどい判決だ。6月17日、ヒューマンチェーンで最高裁を取り囲む。あきらめずに進んでいこう」と訴えた。
オール沖縄共同代表の高里鈴代さんは、「0.6%の小さな沖縄に日本の米軍基地の70.3%がある。いくらか返還されたが、それがそのまま、自衛隊基地として機能強化され、今はミサイル基地となっている。新たな戦争の準備のようだ。本当に復帰して良かったのか、この憲法は沖縄を守っているか問いたい。2月29日、最高裁は沖縄県の上告を完全に無視して、代執行を行った。最高裁が国の代執行を認めるのは沖縄県が初めて。沖縄は憲法の下に平等に守られてはいない。
2014年から3回にわたっての沖縄県知事選、そして県民投票の結果、沖縄県民は基地建設反対の声をあげ続けている。それを全く一顧だにしない国。工事が強行されている。軟弱地盤の問題も大きい。こんな税金の使い方でいいのか。
今も辺野古で座り込みをしている。代執行を許さない、新たな基地建設を許さない。沖縄を戦場にさせない。沖縄を戦争のための準備の基地にさせないという思いで頑張っている。辺野古に来てください!」と力強く呼びかけた。
山岸素子さんは難民問題について、大内由紀子さんは核兵器課題について、猫塚義夫さんはパレスチナ問題について、熱く訴えた。
不戦、基本的人権の尊重を訴える憲法が守られていないことで、様々な理不尽が存在する。それを今、9条を葬り去り、人権を踏みにじる悪法へと、明文改憲しようとしている。ファシズム社会の完成へと向かう危険な動きを阻止しなければならない。
憲法が実現され、一人一人の人権が守られ、そして命が守られる社会を築いていこう。 (沢)