日本新聞
日本新聞 4565号記事 首相訪米で日米軍事同盟強化を宣言
中国に対抗する米英豪のオーカスへの日本の参加を示唆。
軍事同盟強化は平和と逆行し戦争への道。アジアの国々との協力が発展への道
岸田首相は米国を訪れバイデン大統領と会談した。
日米共同声明は
・グローバルなパートナーシップ構築
・自衛隊と米軍の「指揮統制」の枠組み向上
・防衛産業の連携へ関係省庁の定期協議
・米英豪の「AUKUS(オーカス)」と日本の協力検討
などで合意したという。
岸田首相は「世界の課題に米国と共に対処する」と強調したというが、一体何をしようというのか。
首相の「世界の課題に米国と共に対処する」という言葉は重要な意味を持つ。これまでは日本は不戦の憲法9条を持つ国として、決して参戦しない、武器も輸出しないことを貫いてきた。
これに対して安倍元首相は「自由で開かれたインド太平洋」を提唱し、アメリカにインド太平洋地域を守ってほしい、そのために日本は軍備増強をして備えると、法を次々改悪した。憲法解釈改憲で、集団的自衛権の行使容認、安保関連法改悪で戦争できる国へと変貌させる、等々である。岸田首相は安倍元首相の方針を継承し、その具体化にまい進している。軍事費をGDP比2%へ増額、敵基地攻撃能力保有、武器輸出解禁などである。
そして今、中国に対抗することを目的とした、アメリカ、イギリス、オーストラリアの軍事同盟AUKUSに日本が協力すると宣言した。また、中国をけん制するためのアメリカ、フィリピンとの海上合同軍事訓練をインド太平洋で1年以内に行うとしている。
対中国を強めるアメリカの戦略下に自衛隊が動くのである。
安倍元首相暗殺に身の危険を感じ、米国の意に沿うように尻尾を振っているのかもしれないが、それは日本の安全とは程遠い戦争への道である。
アジアの国々と共に発展する、それが最大の安全保障
「中国の覇権主義に対する抑止力」「台湾有事に備えて」と言うが、青山学院大学の羽場久美子名誉教授は次のように指摘する。
「中国は、アメリカが煽らない限り攻めてこない。台湾併合にしても、中国は100年待てると言っている。台湾の世論調査では、8割が現状維持、中国との良好な関係維持を求めている。中国が台湾を軍事併合することはない。
2035年には中国のGDPがアメリカを抜くと言われている。アメリカは今のうちに中国の発展を阻止したい。そのために日本を中国と戦わせたいのである。
日本は平和のために中国、韓国、インド、グローバルサウスと連帯することだ」
羽場久美子教授のこの指摘は全く正しい。岸田首相のように、アメリカと共同と言いながら、実際はアメリカに組みしかれ、日本が中国と戦わせられたら、日本の破滅は目に見えている。米軍は南西諸島から中国に向けてミサイルを撃ち込み、グアムに退散し、自衛隊に戦わせるシナリオだ。
戦争は失うものばかりの悲惨なもの、二度と戦争しない、その思いで、日本は憲法9条をつくり、不戦、戦力不保持を明記した。先人が歴史から学んだことを無にしてはならない。
日本の未来はアジアの国々と力を合わせて、平和を築いていくことである。日本がかつての侵略戦争でアジアの国々に行った加害の歴史をみつめ、二度と繰り返さないために謝罪し、友好・連帯を築いていくことである。それがアジアの平和、発展へとつながる唯一の道であり、日本の未来を切り開くことである。
軍備増強、死の商人への道の行きつく先は滅亡以外にない。反戦を訴えよう。 (沢)