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2024.03.13

日本新聞

日本新聞 4560号記事 原発事故から13年、原発は廃炉に!

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原発事故から何ら教訓を得ようとせず、原発推進、再稼働へ走る政府。311子ども甲状腺がん裁判で、「真実が知りたい」と訴える青年達

 13年前の3月11日、東日本大震災が起こり、1万5900人の方が亡くなり、2520人の方が行方不明となっている。
 亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
 そしてその後、東電福島第一原発の原子炉が次々爆発し、メルトダウンするという大事故となった。放射性物質は空気中へ、海へと流れ、被ばくの被害も拡大した。
 福島県の、当時18歳以下の子どもたちを対象に県民健康調査が行われたが、今日までに、健康調査で327人が甲状腺がんまたは疑いと診断されている。県民健康調査以外でも43人が甲状腺がんと診断されている。計370人が、甲状腺がんまたは疑いと診断されているのである。通常では、子どもの甲状腺がんは100万人に1人か2人の発症だが、原発事故後の福島では38万人に370人という、余りにも高い発症率である。チェルノブイリ原発事故後も子どもの甲状腺がんが多発し、原発事故が原因であることははっきりしている。ところが福島の子どもたちの甲状腺がんと原発事故との因果関係は、いまだに認定されていない。
 このような理不尽の中で、実際に甲状腺がんと診断され、手術を受けた7人の福島県の青年達が裁判を起こして闘っている。真実が知りたい、なぜ自分ががんになったのかを明らかにしたいと。政府と東電は、ごまかしではなく、事実を真正面から直視し、子どもたちの甲状腺がんの原因が原発事故によることを認めるべきである。

 311甲状腺がん裁判
 第9回口頭弁論行わる

 3月6日、311子ども甲状腺がん裁判の第9回口頭弁論が行われた。
 2点の大きな争点が明らかにされた。
原告側弁護団が提出した第19準備書面は、被告東電が、「福島県民健康調査の結果、子どもの甲状腺がんがみつかったのは過剰診断の結果だ。調べなければ一生気がつかないほどの軽微なものだ」と言っている点を論破した。県民健康調査で、甲状腺がんまたは疑いと診断された人以外に、がんだと診断され、がん登録した人は43人いる。もし、スクリーニング(一斉検査)による過剰診断の結果だと言うなら、がん登録された43人より軽い症例であるはずだ。ところが実際は、県民健康調査で診断された人の方が重い症例なのだ。これは被告の「スクリーニングで発見されたものは潜在がん」という主張と矛盾している。
 実際、原告の7人も、再発して何度も手術したり、筆舌に尽くしがたい苦しい治療を受けている。これを潜在がんだというのか。
 第20準備書面は、100ミリシーベルト論の誤りを指摘している。
 被告東電は「100ミリシーベルト以下で発がんリスクの増加は確認されていない」と言っている。被告の根拠は、2007年のICRP勧告であり、その後、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくによる健康被害は明らかにされており、30本もの論文が出されている。被告の根拠は崩されている。原発労働者30万人を対象にしたデータからは、低線量の方が健康への影響が大きい実際が示されている。
 被告の過剰診断論も100ミリシーベルト論も破たんしている。
 裁判官は原告の苦しみを受け止め、事実に沿った判決を出してほしい。夢を次々つぶされていった原告の思いを受け止めてほしいという、弁護団の思いが伝わってきた。
 報告会で原告のお母さんが「一人の手」を歌い、力を合わせていけば未来は切り拓いていけるという思いを切々と訴えた。

 尚も原発推進に走る政府の犯罪性

 2011年3月11日16時36分、政府は原子力緊急事態宣言を発出した。13年経った今も、原子力緊急事態は継続されているのである。事故現場では必死の被ばく労働が行われ、収束には程遠い状況である。
今年1月1日には能登半島地震が起きた。志賀原発は群発地震のすぐそばに位置し、原発の被害状況の発表も二転三転し、真実が明らかにされているとは言い難い。道路は寸断され、家屋は倒壊。屋外退避も屋内退避もできない。原子力規制委は「自然災害による被害は原発が安全かどうかの範ちゅう外」という内容のことを発表した。原発事故は地震と共に起きる可能性が高い。避難できるかどうかを自然災害と別に考えることなどできない。つまり、避難できなくても関係ないという無責任な論であり、見殺しにすると言っているに等しい。このような姿勢で、次々原発を再稼働させるのは、まさに犯罪である。能登半島地震の震源地の近くに建設予定だった、珠洲原発を建てさせなかった住民たちの闘いに私たちは救われた。
原発事故から13年、今も苦しみは続いている。すべての原発を止め、廃炉にする以外に道はない。汚染水を海にばらまき、原発事故の二次被害、三次被害を引き起こすことを阻止しなければならない。勇気をもって裁判を闘っている青年達とともに。             (沢)