日本新聞
日本新聞 4548号記事 安保3文書改悪から1年、戦争は断固拒否
「平和構想提言会議」が「“戦争の時代”を拒み、平和の選択を」の声明発表。武器輸出ルール緩和で殺傷兵器の輸出解禁は認められない
安保3文書が改悪されたのは昨年12月16日。日本の防衛を根本から変える大改悪を、閣議決定で決めてしまった。大きな批判が巻き起こったが、こうした世論は無視され、この1年、戦争に向かって岸田政権はひた走っている。
そして今、岸田政権は武器輸出ルールの緩和を決めようとしている。戦後日本は、「武器輸出三原則」によって、武器の輸出は原則行わなかった。ところが、今決めようとしているのは、武器の輸出なのである。他国企業の許可を得て日本国内で生産している「ライセンス生産品」について、ライセンス元の国への輸出を全面的に認めるというもの。ライセンス元の国から第三者への輸出も容認するというのだ。
アメリカはウクライナを支援しているが、アメリカを経由して、戦争の真っただ中にいるウクライナへ、日本の武器が輸出されることもあり得る。これでは日本が参戦しているのと同じことだ。
このようなことを絶対に許してはならない。
何の為に武器輸出を決めようとしているのかというと、日本の軍需産業の儲けのために他ならない。日本の企業が死の商人として、世界で儲けようとしているのである。
安保3文書改定1年で非難声明
11日、憲法や国際政治の専門家でつくる「平和構想提言会議」が、「『戦争の時代』を拒み、平和の選択を」と題した声明を発表した。
・敵基地攻撃能力として使う米国製巡航ミサイル「トマホーク」の最大400発購入決定、軍事費の大幅増、防衛産業強化法の成立などは、「戦争する国家」に突き進むもの
・安保3文書決定の時と同様、武器輸出ルール緩和も自公の「密室協議」。国会での徹底審議を通じ、軍拡政策の見直しを
・東アジアの緊張緩和に向けた国家や市民レベルでの対話促進
などを訴えた。
安保3文書の改定では反撃能力について記述された点が大きい。反撃能力の保有の理由としては、「日本へのミサイル攻撃が現実の脅威となっている中で、迎撃による今のミサイル防衛だけで対応することは難しくなっている。その上で、ミサイル防衛を強化して、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、反撃能力が必要だ」としている。
専守防衛のこれまでの立場と変わらないというが、果たしてそうだろうか。相手からの更なる攻撃を防ぐ、つまり、相手が撃つ前に攻撃すると言っているのだ。これを反撃というのは無理がある。明らかに先制攻撃である。これまでの日本の専守防衛をかなぐり棄てるものだ。
一体、日本がミサイル攻撃される根拠はあるのか。これまでどおり、専守防衛に徹していれば攻撃されることはない。しかし、南西諸島にミサイル基地を次々造り、中国や朝鮮共和国に砲台を向けて挑発していれば、攻撃される可能性はある。アメリカの戦略は、日本の自衛隊や韓国兵を戦わせて、米軍は痛手を被らない手口だ。「アジアの戦いはアジア人同士でやらせる」これがアメリカの作戦だ。
不戦の憲法9条を持つ日本は戦争しない国として、一目置かれていた。今は軍事費倍増、武器輸出へと動く危険な国として警戒されている。
戦争ではなく平和への道を、武器ではなく対話での平和外交を。今、パレスチナの子ども達が日々、命を奪われている。即時停戦を求めるとともに、日本が戦争する国になることを阻止しよう。(沢)