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2023.12.13

日本新聞

日本新聞 4547号記事 汚染水の海洋投棄中止、原発からの撤退を

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原子力規制委が東電柏崎刈羽原発の運転禁止を解除する方向示す。363名の原告が汚染水の海洋投棄の中止を求め,
国と東電を訴え提訴

 今年8月24日以来、3回にわたって、東電福島第一原発事故炉のデブリに触れた汚染水の海洋投棄が強行されている。年明けに、もう一度投棄する予定だとしている。
 原発事故を起こした原子炉の汚染水を海に流すのは世界でも例のないことで、危険極まりない。トリチウムだけではなく、基準超えの放射性核種が62も含まれているのだから、処理水ではなく汚染水そのものである。
 国も東電も「関係者の理解なしには、どのような処分もしない」と言っていたのに、海洋投棄を強行した。
 漁業関係者、農林業、観光業、生協などが反対を表明した。福島県の自治体の7割近くが反対または慎重の意見書を採択した。また、中国、韓国、太平洋島しょ国など世界の国々も反対した。しかし、国も東電も一向に耳を貸そうともせず、海洋投棄を続けている。まさに暴挙である。

 福島県民、全国の漁業者らが汚染水の海洋投棄中止求め提訴

 このような中、9月8日、「ALPS処理汚染水放出差止訴訟」が福島地裁に提訴された。そして11月9日には1都5県の市民と全国の漁業者、漁業関係者363名の原告で、第2次提訴が行われた。
・海洋投棄は原発事故の被害者に二重の加害を加えるもの
・国は、IAEAの安全基準を順守していると言うが、根拠はない
・東電は「敷地内に汚染水を収容するタンクを新たに建設する土地がない」「海洋放出は、デブリの取り出しのために必  要不可欠」と言うが、建設する土地はある。デブリ取り出しのメドはない
 汚染水の投棄によって、漁業生産物は売れなくなる。政府は損害については補償するというが、海を汚染してしまったら元には戻らない。国や東電の主張は破たんしている。海洋投棄は即刻中止すべきである。
 また、原子力規制委員会は6日の定例会で、運転禁止命令を出している東電柏崎刈羽原発について、東電の再発防止策を妥当とする検査報告書案を議論した。委員から異論が出ず、運転禁止解除の方向性が出されたとし、年内にも解除を判断するという。
 東電は福島第一原発事故を起こし、何の反省もない。それは柏崎刈羽原発の運営姿勢にも明らかである。
 2017年12月に、規制委は柏崎刈羽原発6、7号機の事故対策が新規制基準に適合と決定した。ところが2020年3月以降、侵入検知器が多数故障、代わりの対策も不十分なことが発覚。2021年にもテロ対策不備が相次ぎ発覚、4月14日、規制委が運転中止命令。
 東日本大震災が起きる前に国が15メートルを超える大津波到来を予見しており、それを知りながら東電は、経費がかかるからと何の対策も取らなかった。そのため、事故を引き起こした。その後も安全二の次で儲け第一の東電の体質は何も変わっていない。
 ところが、今回、規制委は運転禁止命令を取り消した。これで東電は柏崎刈羽原発の再稼働へと動く。これを何としても止めなければならない。
 今、東海第二原発をはじめ、老朽原発の再稼働に向けて、政府は大きく舵を切った。原発事故から何の教訓もくみ取らない日本の姿勢に、世界の国々は大きな警戒心を抱いている。
 生き続けられる環境を守らなければ、原発事故に見るように、取り返しのつかない事態を引き起こすことになる。今、日本がやるべきことは原発再稼働ではない。原発からの撤退であり、再生可能エネルギーへの転換である。(沢)