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2023.11.22

日本新聞

日本新聞 4544号記事 東海第二原発再稼働許さない声響く

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老朽原発の再稼働を止めようと日本教育会館に700名が結集。
心を打 つ被害者の叫び。嘘で固めた原発政策を暴き、原発からの撤退を!  

 11月18日、日本教育会館で「東海第二原発の再稼働を許さない!――首都圏大集会――」が開催され、700名が駆けつけた。
 主催者を代表して、「とめよう!東海第二原発首都圏連絡会」の柳田さんからの、「原発を動かさなくても電気は足りてる。原発は事故を起こす。原発は廃止に。原発も戦争もやめよう」という呼びかけでスタートした。

 東海第二原発再稼働 はあまりにも危険

 小出裕章さんは、「嘘で固められた原子力 東海第二原発の再稼働」と題して、講演した。
――原子力に夢を持ち、その研究をした。その結果、“この機械(原子力)はダメだ。これを使うのは人間で、必ず事故が起きる”と考えた。
 原発を一番多く造ったのは米国。しかし地震から逃れられる地域に造った。ヨーロッパも強い岩盤がある。日本は世界の地震の20%以上が起きる地震大国なのに、57基もの原発を造った。大間違いだ。2011年の東電福島第一原発で、心配していた事故は起きた。国も電力会社も“原発事故は起きない”と言いながら、心配だから過疎地に造った。事故が起きたら“想定外”。津波と地震に見舞われた災害弱者は、原発事故で“立ち入り禁止区域”に指定され、救助を待ちながら息絶えていった。15万人が強制避難、転々とさせられ、流浪化してしまう。自殺した人もいる。国は放射線管理区域に100万人を超える人々を棄ててしまった。
 “子どもを守りたい”と自主避難した人は、生活が壊れ、家庭が崩壊し、心がつぶれてしまう。そういう人たちに国は“もう福島に帰れ。わがままを言うな”と公的住宅支援打ち切り。
 国策で原発推進したのだから、国が最大の責任。原子力ムラ、いや原子力マフィアは、原発を造って大儲け。今度は除染で大儲け。今は福島浜通りにイノベーション産業復興だとまたまた儲けようとしている。私が原発事故から得た教訓は、原発は即刻全部やめろ。原子力マフィアが得た教訓は、何も責任を問われず大儲けできる。
 国というものは嘘をつく。原子力緊急事態宣言は今も続いているのに。“電力がひっ迫している。二酸化炭素が地球温暖化の原因。脱炭素エネルギーのために原発が必要”みんな嘘だ。
 東海第二の運転開始から45年。老朽原発の再稼働は特に危険だ。原子炉圧力容器の劣化は、炉内に試験片を設置し、それを取り出して点検する。しかし東海第二では試験片を使い果たし、劣化を評価できない。無数の部品も40年の寿命をもとに施工された。いつ事故が起きるかわからない。
 東海第二は半径30キロ圏内に94万人が居住、150キロ圏内に首都圏がすっぽり入る。防潮堤の工事の欠陥も指摘されている。日本原電は新規制基準に対応する工事費用もない。それを東電が肩代わりする。東電を支援しているのは国。つまり私たちの税金で再稼働が行われる。何としても止めなければならない」――  
避難者の鴨下美和さんは、避難指示が出なかったいわき市からの避難者であったために、ののしられたという。息子さんもひどいいじめにあった。いわき市も当時は毎時23マイクロシーベルトという高い線量だったが、測定されていない。いわき市は34万人の大都市。人口の多い所は測定されていない。そして、新幹線が通るところは測定しなかったのではないかと、鴨下さんは指摘する。「自主避難で支援もないので、夫はいわきに帰って仕事に戻った。子ども達みんなにおやつ代が渡された時、4歳の次男はそのお金を持ってきて、“これでお父さんも一緒に暮らせるね”と言った。4歳の子が生まれて初めて手にしたお金で買おうとしたのは、お父さんとの暮らしだったんです」という言葉は実に重い言葉だった。被ばくについて訴えると“風評加害者”と攻撃されるのもひどい。なぜ被害者が加害者扱いされなければならないのか。怒りがわく。
 参加者は、運転開始から46年にもなる東海第二原発の再稼働を決して許さず、廃炉とすることを求めて、首都圏の市民と共に闘い続けると集会決議を採択し、神保町の街を「原発はいらない!」と声をあげて行進した。
 東海第二原発をはじめ、すべての原発は廃炉に! (沢)