日本新聞
日本新聞 4542号記事 狭山再審求め、日比谷野音に3000名結集
無実を叫び60年の闘い。「無罪を克ち取るまで死なない」と語る石川一雄さんは84歳。裁判所は再審を早急に開始し、冤罪を晴らすべき
10月31日、日比谷野外音楽堂で「狭山事件の再審を求める市民集会」が開催され、全国から約3000名がかけつけた。
狭山市で1963年に女子高校生が誘拐・殺害され、被差別部落の24歳の青年・石川一雄さんが犯人にでっち上げられ、60年経った今も、強盗殺人犯の冤罪を着せられている、これが狭山事件である。数々の証拠から、石川さんの無実は明らかであるのに、再審請求はことごとく却下され、今、第三次再審請求を行っている。裁判所は一刻も早く、石川さんの再審を決定すべきである。
10月31日、日比谷野音には、石川さんの再審を求める訴えが続いた。
大野裁判長が今年12月で退官する。何としても大野裁判長のもとで再審を克ち取ろうと、闘いが展開されている。
社民党の福島みずほ党首は「大学生の時に“石川青年は無実だ!”というゼッケンをつけて集会に参加したことを、よく覚えている。逮捕されて石川さんが書いた“私はやってません”という文体は、脅迫状と似ても似つかない。万年筆のインクも被害者の物ではない。刑事訴訟における再審の部門を改正し、再審法を作るべきだ。証拠調べが条文化されるべき。検察官の抗告を許さない法を作るべき。死刑をなくしたい」と訴えた。
すべての冤罪を晴らす闘い
石川さんは「再審で無罪を克ち取るまでは、石川一雄は死にません。残念なのは、桜井さんが逝ってしまったことです。千葉刑務所で15年間、一緒にやってきた。お互いに頑張ろうとやってきた。狭山事件はなかなか勝利することができない。大野裁判長に、最低でも事実調べをやるように求めたい。長年、三者協議に出て、証拠もわかっている。再審を決めてもらいたい。皆さんも、要請行動を起こしてほしい」と訴えた。
石川早智子さんは「狭山事件発生から60年、寺尾不当判決から49年になる。49年前の10月31日の寺尾判決は、石川一雄84年の人生で一番悔しい日だ、と本人から聞いた。2009年12月、門野裁判長は、8項目の証拠開示勧告を出した。本当にうれしかった、大きく動くと思った。しかしなかなか動かない。大野裁判長退官まで、まだ時間がある。大野裁判長の決断、正義を信じたい。袴田さんは10月27日、裁判が始まった。もうこれ以上、袴田さんの人生を翻弄するのはやめてほしい。次は狭山だ。石川が元気なうちに無罪を克ち取り、両親の墓にも手を合わせたいと願っています」と語った。
袴田巌さんのお姉さんのひで子さんもかけつけ、「袴田事件は弟が30歳、私が33歳の時の事件。57年経って私は、90歳になって初めて、裁判というものに出た。大勢の方が冤罪で泣いている。巌だけ助かればいいとは思っていない。皆さん、早く再審開始になってほしい。来年の3月か4月には結審になり、遅くとも夏には無罪になると思っている。今度は石川さんの番だ。これからも共に頑張っていく」と、き然と訴えた。
人生の57年、60年を奪われるとは、人生そのものを奪われてしまったことである。無実が明らかなのに、いたずらに時間を引き延ばし、冤罪を着せるなど、あってはならないことである。足利事件の菅家さんが「私を取り調べた警察や検察に謝ってほしい!」と怒りをもって訴えたように、人権侵害も甚だしい取り調べ(暴言、暴力)が行われている。
取り調べの可視化、再審法の改正は緊急である。狭山事件の再審開始、鑑定尋問の実施を求める。一刻も早く、冤罪を晴らさなければならない。 (沢)