日本新聞
日本新聞 4534号記事 沖縄の民意踏みにじる沖縄県敗訴判決
辺野古・軟弱地盤の埋め立て認めぬ県の判断は正当。政府は沖縄の負担軽減を口先ではなく実現すべき。基地のない自然豊かな沖縄に
4日、最高裁は、沖縄県への国交相の「是正の指示」を違法として取り消しを求めた沖縄県の訴訟で、沖縄県の上告を棄却した。これによって沖縄県の敗訴が確定した。
沖縄県の玉城知事は軟弱地盤改良工事を不承認とした。これに対して国土交通相が「是正の指示」を出した。それを違法として、沖縄県が取り消しを求めて訴訟を起こした。
仲井真・元知事が埋め立てを承認したというが、その後、埋め立て予定地の軟弱地盤が発見されたのである。マヨネーズ上の軟弱地盤に軍事基地を建設するなど、余りにも無謀なことであり、玉城知事が承認しないのは当然である。ところが防衛省はいつものやり方で、国交相に行政不服審査法に基づいて不服審査請求した。国交相はそれを受けて、沖縄県に「是正の指示」つまり、埋め立てを認めるよう指示した。
そもそも、行政不服審査とは、行政による違法な、あるいは不当な処分や公権力の行使によって不利益を受けた国民の権利を守るためのものである。
同じく行政庁である防衛省が国交省に請求するものではない。政府内だから、国交相はいつも防衛省の側につく。これは沖縄県が主張するように、全く違法である。
これを正当に裁かなければならない裁判所もまた、防衛省側につき、沖縄県の訴えを却下してしまう。これでは三権分立ではなく、三権忖度であり、権力のある方が常に勝ち、無法が通ることになる。
今回の判決もまた然りである。
敗訴が確定したからと沖縄県が、改良工事を承認することはないだろう。基地建設反対が沖縄の民意だからである。沖縄県が改良工事の設計変更を承認しなければ、国が代執行することが考えられる。
これでは沖縄県の権利は何もなく、政府と沖縄県の関係は最悪状態になる。
基地のない沖縄が沖縄県民の願い
沖縄県は広さから言ったら全国の0.6%にすぎない。その沖縄に今も全国の7割の米軍基地が集中している。政府は「沖縄の負担軽減」を叫ぶが実際はどうか。
宜野湾市にある米軍普天間基地は、住宅地のどまん中にあり、学校などと隣接しており、「世界で一番危険な基地」と言われている。普天間基地の返還は一刻も早く行われなければならない。しかも無条件で返還されるべきものである。
ところが、普天間基地の返還は代替え基地ができなければ行われないというのが、日米両政府の取り決めである。そして「辺野古が唯一の方法」と、辺野古新基地建設工事を強行している。
沖縄県民が、基地建設反対の知事を何度当選させても、政府は「選挙は基地問題だけを問うものではないから、選挙に勝ったことが基地建設反対とイコールにはならない」と強弁した。そのため辺野古移設を問う県民投票を行い、沖縄県民の民意が基地建設反対であることを示した。それでも政府は民意に従おうとせず、基地建設をやめない。
2000年施行の地方分権一括法は、国と地方の関係は上下・主従の関係ではなく、対等・協力の関係に変わったことになっている。しかし、国と沖縄の関係には、全く適用されていない。政府は沖縄の声を全く無視している。黙って国に従えという理不尽を強いている。
沖縄だけではなく、南西諸島をミサイル基地にして、戦争に巻き込もうとしている。豊かな自然をことごとく破壊してしまう戦場にすることは、絶対に許されない。
沖縄を始め、南西諸島に軍事基地はいらない。戦争ではなく平和への道を歩もう。 (沢)