日本新聞
日本新聞 4499号記事 学校給食無償化、有機食材化は緊急課題
子ども達の成長に欠かせない学校給食無償化への動き広まる。全国で完全無償化に必要な額は4386億円。軍事費ではなく給食費に
4日、東京都北区の区長が区立小中学校の給食費の無償化を発表した。昨年、葛飾区で23区で初めて学校給食の無償化を発表した。台東区では制度として無償化するのではないが、物価高対策で1月から当面の間、無償化する。
23区の中で3区が無償化に踏み切る。23区で見ると、検討中が品川区、中央区、江戸川区、足立区、世田谷区、豊島区、中野区、杉並区である。導入する予定がないとしているのは、板橋区、大田区、江東区、墨田区、千代田区、練馬区、文京区、港区、目黒区、荒川区である。江東区は「財政負担が大きすぎる」、練馬区は「継続的な財源の確保が困難」など、財政面から難しいという声があがっている。
すでに小中学校の学校給食の無償化を実施している自治体と決定している自治体を合わせて260近い自治体がある。2023年度からの実施に向けて健闘している自治体も多く、今後ますます増えていく見通しがある。
これまでも、困窮世帯の状況は厳しく、母親が一日一食に切り詰めて子ども達に食べさせている実態などが報告されていた。コロナ禍はそうした状況に更に追い打ちをかけている。給食が唯一の栄養源になっている子どもも増えており、夏休みや冬休みが大変だという声も上がっている。
こうした中で、学校給食の無償化は大切である。
学校給食の無償化、有機食材導入は国策で行うべき優先課題
中野区から「平等に無償化を実現するためには、国や都による広域的な取り組みを検討するべきだ」という意見や、港区から「国の責任において無償化を実施するべきだ」という意見が出されている。これらの意見は全く正論である。
岸田首相は、安倍、菅路線をそのまま継承し、アメリカべったりの政治を行っている。安倍元首相は軍事費のGDP比1%枠も取り払い、アメリカからの兵器爆買いを行った。岸田首相はそれに輪をかけて、軍事費増を決定した。2023年度当初予算案で米政府から武器購入額は過去最高の1兆4768億円にのぼる。2022年度の3797億円から1兆971億円も増えている。これはもはや、異常事態である。今まさに戦争に突入するかのようだ。
岸田政権は憲法9条を全く無視して、違憲行為の連続である。文科省が試算したところによると、全国で学校給食の無償化を実施した場合の費用は、年間4386億円である。2023年度にアメリカから買う武器の額は、実に3年4カ月分の全国の学校給食の額に匹敵する。
岸田政権は福祉の充実や、子ども予算の増額など口にするが、実現させているのは軍事費増だけである。地方議会から国による給食無償化の導入や、自治体への財政支援を求める意見書は100件以上提出されているという。政府はこうした意見を優先して、対応すべきである。兵器などいらない。子ども達の命を守る学校給食の無償化こそ率先して行わなければならない課題である。
そして学校給食の質の問題も問われる。次代を担う子ども達の毎日の大切な食である学校給食が、農薬や化学肥料にまみれた輸入品であってはならない。発達障害児が増えていることと、食の問題の相関性が明らかにされてきている。地産地消で、できれば有機食材にという動きは全国で広がってきている。農家から有機農産物を学校給食で買い取る、そうした保障があれば、農家も有機農業に転換する見通しが生まれる。千葉県いすみ市で有機米を脱穀し、給食で笑顔でほおばる子ども達の姿が、食の未来がどうあるべきか教えてくれている。
学校給食の無償化、有機食材化は子ども達の命を守ることであり、日本の未来を拓くことである。 (沢)