日本新聞
日本新聞 4496号記事 安保3文書閣議決定の暴挙に抗議する
敵基地攻撃能力の明記を閣議決定!憲法9条を葬り去る戦争への道を国会での審議もなく決める暴挙。戦争反対の運動の前進を!
政府は16日、「国家安全保障戦略」などの安保3文書を閣議決定した。3文書は外交・防衛の基本方針である「国家安全保障戦略」、10年間の「防衛目標」を実現するための方法と手段を示す「国家防衛戦略」、防衛費の総額や装備品の整備規模を定める「防衛力整備計画」の3つである。
これらの柱は、敵基地攻撃能力の保有の明記であり、不戦の憲法9条を掲げ専守防衛を原則としてきた日本の在り方を大きく変貌させるものとなる。つまり、日本は「戦争する国」と世界に宣言することになるのだ。
これほどの大転換を、主権者である国民に信を問うこともなく、国会での審議もなく閣議決定で決めてしまったのだ。民主主義国家とは無縁の姿である。
岸田政権は軍事費をGDP(国内総生産)比2%にする、つまり年間11兆円へと増額するとしている。2023年度から5年間の軍事費の総額は約43兆円にものぼる。非常に危険な軍事大国への道である。
「戦争ではなく平和の準備を」と憲法学者らが対案公表
閣議決定を前にした15日、憲法学者らによる「平和構想提言会議」が安保3文書に対する対案として「戦争ではなく平和の準備を―“抑止力”で戦争は防げない―」を公表した。 提言は、「安保3文書改定は、日本の安保政策の大転換になり、日本が自ら戦争する国家に代わる」と指摘し、「国会の徹底的な審議もないままに憲法の実質が勝手に上書きされようとしている」と懸念を示した。政府・与党の「軍事力の増強が抑止力を強め、平和を担保する」という論を、「きわめて短絡的で危険」とし、「防衛力強化がかえって周辺国との軍拡競争を招いて戦争のリスクを高める」と警鐘を鳴らした。提言は「今こそ憲法9条が定める平和主義の原則に立ち返るべき」と訴えている。 具体的には、
・朝鮮半島の非核化に向けた外交交渉の再開
・中国を「脅威」と認定しないこ
・アジア諸国との対話の 強化を提唱
・専守防衛の堅持
・米国製巡航ミサイル「ト マホーク」など敵基地攻撃能力につながる兵器の購入や開発の中止 を求める
基本的に国会審議もなく決めたものを認めるわけにはいかないと、はっきり言っていこうと呼びかけている。
自民公明両党は16日、2023年度与党税制改正大綱を決定した。この中で、軍事費増額の財源は、法人税、所得税、たばこ税で賄うとした。増税時期は2024年以降とした。
法人税は、税率は変えず、本来の税額に4~4.5%を上乗せ、所得税は税額に1%上乗せして軍事費に充てる目的税を新設するという。復興特別税の税率を2.1%から1%引き下げる。つまり、東日本大震災の復興税を軍事費に当面流用するというわけだ。そして復興税としての上乗せ時期を延長する。たばこ税は1本あたり3円から引き上げていく。
日本は世界第3位の軍事大国になる。不戦の憲法9条のある日本で、敵基地攻撃能力保有、軍備増強、アメリカからの兵器爆買い、南西諸島の軍事要塞化などあってはならないことである。戦争をしないためには戦争しない道を歩むことである。中国などアジアの国々を敵対視するのではなく、平和外交を徹底することである。
今後5年間で軍事に約43兆円もの予算を使うのではなく、苦しい生活の中で途方に暮れている人たちがいる今、命綱として使うべきお金である。戦争への道を突き進むための安保3文書閣議決定に抗議する。 (沢)