日本新聞
日本新聞 4495号記事 沖縄県民の民意を尊重し辺野古新基地建設中止を
最高裁が辺野古問題で沖縄県を敗訴に。国の意向そのままの司法、三権分立などない。国と地方は対等、民意を踏みにじり基地建設は暴挙
8日、最高裁小法廷は沖縄県の上告を棄却する判決を言い渡した。
沖縄県の上告の内容は、2018年、辺野古新基地の埋め立て海域で軟弱地盤がみつかったことから、県は2013年に出した埋め立て承認を撤回した。マヨネーズ状の軟弱地盤に基地を建設するなど、危険極まりないことを撤回するのはあまりにも当然のことである。ところが防衛省沖縄防衛局は、行政不服審査法に訴え、国交相に県の埋め立て承認撤回を取り消すことを求めた。
行政不服審査法は、国のやり方で損害を被った人が訴える術である。防衛省が沖縄県を訴えるなど、対象外であることははっきりしている。にもかかわらず、国交相は防衛省の訴えを取り上げ、沖縄県の承認撤回を取り消したのである。これに対して沖縄県が、国交相の裁決の取り消しを求めて提訴したのである。
今回の判決の根拠は、「県は原告として認められない」である。これは全く不当である。防衛省が国交相に、沖縄県の決定の取り消しを求めること自体が成り立たない。これでは国の機関が内輪で認め合い、地方自治など成り立たなくなってしまう。
2000年に施行された「地方分権一括法」で国と地方の関係を、上下・主従の関係から、対等・協力関係に転換している。沖縄県に対する国のやり方は、「地方分権一括法」に明らかに反している。沖縄県民は、基地反対、特に辺野古新基地反対の民意を繰り返し、明確に示してきた。選挙で然り、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票で然りである。政府はこの民意を受け止め、辺野古新基地建設を断念しなければならないはずである。
ところが今回の最高裁判決を含め、国と沖縄県の間の訴訟は12件もあり、これまで判決が出されている5件(今回も含め)はすべて、沖縄県の敗訴となっている。日本は立法、行政、司法がそれぞれ独立している三権分立の国だということになっているが、実際は全く違う。裁判所は政府に忖度し、その機能を果たしていない。これは民主主義の崩壊である。
遺骨の眠る土砂を埋め立てに使うな、と怒りの声
具志堅隆松さんはガマフヤーのメンバーと沖縄戦で亡くなった方の遺骨の収容活動を、40年間にわたって続けてきた。3年前に、戦没者の遺骨が混じった沖縄南部の土砂を辺野古埋め立てに使おうとしていることがわかり、防衛省との交渉を続けている。今年8月5日の南部住民との意見交換会で、防衛省は「ご遺族の意見を聴く予定はない」と公言し、強い非難を浴びた。沖縄戦で沖縄の人々がどんな苦しい目にあわされたのか、何も考えようともしない姿勢に、「遺骨は防衛省のものではない!」と怒りの声があげられている。
沖縄の美ら海を沖縄戦の犠牲者の遺骨で埋める、このような非道を沖縄県民も私たちも決して認められない。
今、鹿児島南部の島から沖縄の与那国島までの南西諸島の軍事要塞化が進められている。島々にミサイル基地が造られ、米海兵隊がそこから中国へ向けてミサイルを撃ち込み、島から逃げる。こうして日本は戦争に巻き込まれていく。このような事態が現実のものとならないように、戦争反対の声を全国で高めていかなくてはならない。沖縄が直面している危険は、日本全体の問題である。
新基地を造らせない、軍備増強を許さない反戦の思いを全国でつないでいこう。 (沢)