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2024.05.29

日本新聞

4571号 すべての冤罪を晴らす世論を高めよう

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4571号1面記事
すべての冤罪を晴らす世論を高めよう

袴田裁判再審結審、判決は9月26日、無罪判決を。5月23日、日比谷野音で狭山集会。石川さんが元気なうちに再審無罪を!と切実な訴え

 5月22日、袴田巌さんの裁判をやり直す再審公判が静岡地裁で結審した。拘禁症で裁判に出れない巌さんに代わって、姉のひで子さんが出廷した。ひで子さんは「どうぞ弟巌に、心の自由をお与え下さいますよう、お願い申し上げます」と訴えた。
 1966年、静岡県清水市で味噌会社専務一家4人強盗殺人事件が起き、焼け跡から4人の他殺体が発見された。味噌会社の従業員の袴田さんが犯人にでっち上げられた。死刑囚として長期拘留された袴田さんは、恐怖のため拘禁症を患っている。
 検察側は「『5点の衣類』は袴田さんの犯行時の着衣と認められる」として死刑を求刑した。弁護側は「捜査機関が証拠をねつ造した」として、無罪を訴えた。
 袴田さんの無実は明らかである。「5点の衣類」は事件から1年2か月後に事件現場近くの味噌工場の味噌タンクから「発見」されたもの。ステテコは大きすぎ、ズボンは小さすぎて入らない。しかも1年2か月経っているというのに、血痕は赤いまま、上着より下着が血の色が濃いなど、不自然な点が多い。「5点の衣類」は捜査機関のねつ造だという、弁護側の訴えは妥当なものだ。
 事件から58年、袴田さんは88歳、ひで子さんは91歳、一刻も早く冤罪を晴らし、一日でも長く、真に自由な日々を過ごしてほしい。
 9月26日には無罪判決を!

 袴田裁判の次は狭山
 裁判の再審無罪を!

 5月23日、日比谷野音で、「狭山事件の再審を求める市民集会 無実を叫び61年!東京高裁は事実調べ・再審開始を!」が開催された。石川さんの再審無罪を求める人たちが全国からかけつけた。
 社民党の福島みずほ党首は「石川さんの無実は明らか。袴田裁判は9月26日に結論が出る。狭山裁判でも再審無罪をかち取ろう。冤罪被害者のための再審請求が認められることを求める超党派の議員連盟が260名で発足した。いたずらに時間を費やす検察官の抗告を廃止すべきだ」と訴えた。
 石川一雄さんは「新しい弁護士さんたちは、活気ある、期待が持てる弁護士さんだ。元気な間に無罪をかち取ることを強く強く望む。仮出獄して30年も経って、まだ解決できない。皆さん、よろしくお願いします」と訴えた。石川さんの無念な思いが伝わってきた。
 早智子さんは「今朝、両親の墓前に“集会に行ってくるよ”と言ってきた。昨日、袴田裁判再審が結審した。9月26日の無罪判決は明らかだ。次は狭山だ。検察は渋々、証拠調べを行ってきた。前進している。裁判所は一雄の声を聞いてほしい。様々に体調の衰えはあるが、気力は衰えていない。たくさんの方が狭山に来てくれている。生あるうちに再審開始、無罪を獲得したい」と力強く訴えた。
 基調提案で部落解放同盟中央本部副委員長の片岡さんは、明確に次の3点を提示した。
1、昨年12月、裁判長が定年退職。退官前に鑑定人尋問を認めてほしいと52万の署名を裁判所に提出したが、かなわなかった。新しい裁判長は「どの点が争点か説明してほしい」と言ってきた。検察は反対したが。前向きだ。
2、裁判のこれからの闘い方だが、鑑定人尋問をやるかどうか判断してもらう。闘いの焦点は万年筆の鑑定実験を裁判所にやらせること。兄の六蔵さんは、3回目の捜査に刑事が来た時、「2回も調べたんだから、あるわけがない」と言った。万年筆が出てきたとき「誰か置きやがった」と刑事に言った。60年経って、万年筆がでっち上げだと100%証明できた。
3、再審法の改正が必要。袴田事件は2014年に静岡地裁が再審開始を決定した。ところが検察が抗告し、10年経って、ようやく再審、結審。石川さんは85歳、時間をかけていられない。昨年、日弁連が再審法改正を提案した。いよいよ決戦だ、がんばろう!

 同じく冤罪で苦しめられた足利事件の菅家さんは「袴田さんの再審決定は自分のことのように嬉しかった。次は石川さんだ。私が無罪になってから15年、警察も検察も何も謝っていない。裁判所の前で謝らせたい。事件のことを何も知らない私を連れていって取調べ。やっていないと言っても、“犯人はお前しかいない”と追い詰める。石川さんの再審をかち取ろう」と怒りを込めて語った。
 まだまだたくさんの冤罪事件がある。死刑執行の後に、冤罪が明らかになった人もいる。
 再審が決定されてから更に10年、袴田さんの再審は引き延ばされた。その10年は実に貴重な10年であったのに。検察は不服なら、再審で論議すればいい。いたずらに時間稼ぎの抗告は許されない。早急に、検察の抗告廃止を求める。
 すべての冤罪を晴らす再審法へと変えなければならない。       (沢)