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2024.10.16

日本新聞

政府は原発推進ではなく廃止を

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4591号1面記事
政府は原発推進ではなく廃止を

むつ中間貯蔵施設に柏崎刈羽原発から使用済み核燃料搬入。六ヶ所再
処理工場は運転不可能。青森を核のごみ捨て場にするなと怒りの声

 9月26日、むつ市の中間貯蔵施設に、柏崎刈羽原発の使用済み核燃料が入ったキャスク1基が搬入された。
 原発を運転し続けるには、核分裂が終わった使用済み核燃料を原子炉から出し、新しい燃料棒と入れ替えなければならない。使用済み核燃料は1000℃を超える高温なので、30年以上、原発施設内の使用済み核燃料貯蔵プールで200℃~300℃に冷やす。(それでも高温だが)それをキャスクに入れて運ぶ。キャスクの重さは120トン。
 東電は何としても柏崎刈羽原発7号機を動かしたい。しかし柏崎刈羽原発の貯蔵プールの核燃料の割合は81%で満杯に近い。再稼働のために、使用済み核燃料の搬出を急いでいるのである。

最終処分場にされるむつの中間貯蔵施設

 むつ市の中間貯蔵施設は、高速増殖炉もんじゅが事故で廃炉、六ヶ所再処理工場が稼働できない状況の中で、使用済み核燃料の一時的な保管場所として建設された。保管期間は50年、しかし50年後の保管場所は示されていない。
 青森県の地元の人々は、「青森県を核のごみ捨て場にするな!」の一点で統一し、「核のゴミから未来を守る青森県民の会」を結成した。党派を超えた運動体である。
 こうした地元の反対に対して、政府は六ヶ所再処理工場に使用済み核燃料を搬入する方針を出している。ところが六ヶ所再処理工場は一向に稼働できない。1993年に着工し、1997年に完成する予定だったが先日、27回目の延期を宣言した。実質無理である。これまで六ヶ所再処理工場に17.5兆円かかっている。今後ますます経費は膨張すると思われるが、電気料に上乗せするのだから、日本原燃も東電もいたくもかゆくもないというわけだ。
 六ヶ所再処理工場は危険なプルトニウムを取り出すものであり、危険だ。国は、全量再処理という方針を変えない。だから再処理工場をあきらめない。
 火力発電であれば、燃焼をやめれば止まる。しかし原発は、冷却し続けないと事故になる。爆発してメルトダウンする。
 東電福島第一原発事故は、アメリカのGMが作ったマークⅠという原子炉を使っていた。マークⅠは地下に非常用電源があったために、地震で壊れた。アメリカはハリケーンや竜巻が怖いから地下に設置している。それをそのまま地震国日本で使ったのである。こんなことが日本の御用学者はわからないのだろうか。直したら金がかかるから、直さなかったのか。人命軽視もはなはだしい。事故を起こした東電が、柏崎刈羽原発の再稼働のために、むつに使用済み核燃料を搬入した。このようなことを許してはならない。
 日本のプルトニウム保有量は約44.5トン。原爆の材料にもなるプルトニウムをこれほど大量に持っていることが、世界の国々から警戒されるのは当然である。
 これを交わすために、稼働していた高速増殖炉計画は破たん、そして六ヶ所再処理工場での核燃サイクル計画も破たん。今度は、軽水炉でウランとプルトニウムの混合燃料であるMOX燃料を燃やすプルサーマル運転をやろうとしたが、現在稼働しているプルサーマル運転の原発は4基のみ。もともとウラン燃料を燃やす軽水炉でMOX燃料を燃やすことは、実に危険である。
 政府は全量再処理の方針を変え、六ヶ所再処理工場もやめ、原発推進政策をやめるべきである。環境破壊の原発ではなく、再生可能な自然エネルギーの研究を進めるべきである。
 すべての原発を廃炉に。
          (沢)