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2024.10.23

日本新聞

原子力規制委  高浜1号機を60年まで運転認可

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4592号1面記事
原子力規制委
高浜1号機を60年まで運転認可

来年6月には60年を超える運転を認める新制度が。老朽原発の稼働はあまりにも無謀、安全無視の暴挙。
原発は廃炉に、原発から撤退を

 9月16日、原子力規制委員会は関西電力高浜原発1号機の今後10年間の管理方針を定めた保安規定を認可した。高浜1号機は今年11月に運転開始50年となる。50年を超える運転の初の認可だ。
 もともと原発の寿命は40年が目途であった。ところが、2011年3月11日の東日本大震災で、東電福島第一原発が事故を起こし、次々爆発する大事故となった。そのため、原発の新規建設は地元の合意が得られないため、既存の原発を動かすというのが政府の方針だ。しかし、日本の原発は多くが40年を超えようとしている。だから老朽原発でも動かせるように、寿命を伸ばして、40年を超えても稼働できるようにした。30年を超えたら10年ごとに、原子力規制委が確認して認可するというのだ。
 その上、来年6月には、60年を超える運転を可能にする新制度を始めるというのだ。規制委の山中委員長は「60年以上運転する原発も出てくると考えられるが、10年ごとに確認するのがわれわれの役割だ」と言い放っている。10年ごとにお墨付きを与え、60年、70年、80年と老朽原発を稼働させるのだから、原子力規制委の犯罪性は大きい。高浜2号機は11月に運転開始から49年、関電美浜原発3号機は12月に48年となる。原子力規制委はこれらに次々ゴーサインを出すのであろうか。
 関電は原子炉内に入れてある金属試験片で炉の劣化状況を調べるというが、金属試験片は原発の寿命の40年分しか入れていない。試験片が無くなったからと言って、新たに入れるのでは劣化状況はわからない。50年60年と劣化状況を調べる術もなく、運転し続けるのか。はなはだ疑問だ。また、炉内構造物を交換すると言うが、一体どうやって、原子炉内のものを交換するのだろうか。安全確認もなく、動かし続けるのは非常に危険なことで、第二、第三の福島原発事故は避けられない。
 このような無謀を許す原子力規制委に、チェック能力は期待できない。政府の方針を追認するのみで、安全性をチェックしようとする姿勢はない。
 地元民からは「何かあってからじゃ遅い」と廃炉を求める声があげられている。

 福島の現状を直視しよう

 9月15日、東電福島第一原発の核燃料デブリに触れた汚染水の10回目の海洋投棄が始められた。今年度は6回目となり、11月4日までに約7800トンを投棄する予定。
 事故から13年以上経っても、事故の収束の目途もなく、東電の廃炉計画はどんどん先延ばしになる一方。汚染水も毎日増え続けている状況を何も変えられない。
 現在も毎日4000人もの作業員が、被ばく作業に従事している。このような状況なのに、政府はまだ原発推進方針を変えようとしない。
 今も故郷である福島に帰ることができずに、全国各地で避難生活を続けざるを得ない母子がいる。甲状腺がんを発症し、転移して苦しい思いをしている青年達が、「自分たちの病気の原因が原発事故だと認めてほしい」と裁判を闘っている。バッシングを受けながらの苦しい闘いを、300人を超える被害者を代表して頑張っているのだ。
 原発について語る時、福島の事故を抜きにしては語れない。避難するかどうかを巡って、一家離散の憂き目にあった人も多い。作業員の被ばく状況については、明らかにされていない。追跡調査も徹底されていない。
 今、原発の再稼働を論じる時ではない。すべての原発を廃炉に!命を守れと訴える時である    (沢)