日本新聞
袴田さんの次は狭山、えん罪を晴らそう
4594号1面記事
袴田さんの次は狭山、えん罪を晴らそう
石川さんの無実は明らか、61年ものえん罪を晴らすため、日比谷野音に全国から結集。証拠開示義務化、検察の抗告禁止へ再審法改正を
11月1日、日比谷野外音楽堂で、「袴田さん再審無罪勝利!つぎは狭山だ!東京高裁は事実調べ・再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が開催された。
部落解放同盟中央本部・西島委員長は「いよいよ次は狭山だ!万年筆は被害者のものかどうか。発見万年筆のインクの試料からクロム元素が検出されなかった。検察は非科学的で“水で洗えば出ないこともある”と言っている。鑑定の実施を求めると同時に、11人の鑑定人尋問の実施へ。再審決定後の検察官の抗告禁止、証拠開示と再審法改正を求める」と述べた。
立憲民主、社民、れいわの代表が駆けつけた。狭山の弁護団でもある社民党の福島みずほ党首は「袴田さんは勝利し、選挙権をもった。石川さんは仮出獄なので選挙権もない。袴田事件で証拠ねつ造も明らかになった。狭山事件も証拠ねつ造だ。万年筆、筆跡など。
再審法は証拠開示の規定がない。検察官の抗告などとんでもない。袴田事件では抗告で10年も再審が引き延ばしになった。再審法の改正を求める。死刑は止めるべきだ」と訴えた。
石川さんを激励にかけつけた袴田ひで子さん
石川一雄さんは「今日来るとき、2回ころんだ。足が弱っている。いわさん(袴田巖さん)が元気でよかった。全国から“狭山は勝利する”と自信を持ってかけつけてくれてうれしい。皆さんが頼りです。石川一雄が元気な間に無罪をかち取るために更なるご支援をお願いします」と語った。
早智子さんは「最近マスコミが狭山を大きく取り上げてくれている。昨日、寺尾不当判決から50年、半世紀だ。狭山事件発生から61年、いまだに再審を請求しなくてはならない。検察の不正義に激しい憤りを感じる。
袴田事件では、警察と検察がグルになっていると、裁判所が判断した。再審法の問題点が明らかになってきた。大きな世論を巻き起こしてほしい」と訴えた。
61年もの長い間、殺人犯のえん罪を着せられてきた石川さん。無実は明らかなのに、いまだに再審さえ認められていない。何としても再審無罪をかち取ろうと、部落解放同盟中央本部・片岡副委員長は3つの基調提案をした。
1、9月26日から1か月間、全国統一行動を行ったが、これを各地で継続してほしい
2、再審法改正の取り組み
袴田さんは10年前に再審決定したが、検察が抗告した。
狭山も同じような事態になりかねない。石川さんが元気なうちに再審法を改正し、再審無罪をかち取らなければならない。
3、8月に第60回目の三者協議が行われた。
弁護団は万年筆のインク成分の鑑定実験を要請。これに対して裁判長が協力的。
最後に片岡さんは「狭山事件を知らない人に知らせていく運動が大事」と呼びかけた。明解な基調提案だった。
袴田巖さんを支え続けた91歳の袴田ひで子さんが、石川さんを激励にかけつけた。
ひで子さんは「勝利して一番最初に選挙権が返ってきた。巖はちゃんと候補者の名前を書いた。尊い一票になった。
巖だけが助かればいいとは思っていない。くやしい思いをしている、えん罪で苦しんでいる方のお力になればいいと思っている。幸い私は元気だ。元気な限りは、再審法改正、被害者救済をはりきってやっていきたい。石川さんのご支援をお願いします」と堂々と訴え、集会を大きく励ましてくれた。
足利事件の被害者の菅家さんはじめ、冤罪被害者も次々、警察、検察の非道性を訴えた。
最後に市民の会事務局長の鎌田慧さんが「袴田事件で無罪判決となった。しかし、検事総長は何の反省もない。謝罪もない。
80年代、4人の死刑囚が次々無罪になった。それでも司法は変わらない。何の反省もしていない。どうやって変えるか。民主化闘争だ。無実なものを死刑にする野蛮国家を世論の力で変えていく。次は狭山事件の解決だ。これからは犠牲者を出さないと、取り組んでいこう」と呼びかけた。
石川さんの無実は明らか、再審法を変え、再審無罪をかち取ろう。 (沢)