日本新聞
米軍事故・事件多発、日米地位協定見直しを
4598号1面記事
米軍事故・事件多発、日米地位協定見直しを
相次ぐ米軍機不時着は大事故につながる危険。絶えない婦女暴行事件。
「抑止力」ではなく「有事」引き起こす横須賀への米原子力空母入港
11月22日、米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が米海軍横須賀基地に入港した。インド太平洋地域を管轄する第7艦隊隊長は「GWは米国と日本に提供できる最も先進的で最大の海上能力を持つ」と述べた。
原子力空母は「動く原発」とも呼ばれている。原子炉を搭載して、その核分裂反応による熱で運行する航空母艦。原理は原子力発電所の原子炉とほぼ同じ。つまり、ふだんから環境中に放射性物質をまき散らし、事故が起きれば取り返しのつかない大きな被害となる。しかも戦闘機と戦闘員を大量に運べる戦争のための空母である。
このような危険なしろものを日本の海に配置したら、近隣諸国が強い警戒心を示すのは当然である。「抑止力」などではなく、「有事」を引き起こす要因となることは明らかである。
米軍ヘリ不時着、女性暴行、米軍による被害相次ぐ
8月
米軍厚木基地から飛び立った米ヘリが海老名市内の田んぼに不時着
10月10日
神奈川県茅ケ崎市の海岸近くの国道に米軍ヘリ不時着
11月14日
米軍普天間基地所属ヘリが辺戸岬近くに不時着
これほど頻繁に米軍機が民間地に緊急着陸する状況は異常である。いつ大事故が起きるか全くわからない状況である。
そしてもう一つは米兵による犯罪である。特に、女性に対する暴行事件は日常的に引き起こされている。その多くは米軍によって隠され、基地が所在する自治体にも報告されない始末である。声を上げられない女性も多く、日本全国でどれだけの被害があるのか、わからない状況である。日本人の女性がどんな目にあおうが、問題にすらしない、そして日本政府は抗議すらしないのである。
11月20日、横浜地裁で第5次厚木基地爆音訴訟の判決が言い渡された。不当判決である。損害賠償訴訟は一部認められたものの、飛行差し止めは米軍・自衛隊ともに退けられた。爆音を解決するには飛行差し止め以外ない。それが認められなかったのは、基地周辺住民の権利が侵害され続けることであり、決して認められない。
この裁判は、1976年9月に第1次訴訟提訴以来、48年が経過している。住民の願いは「平和で静かな空を取り戻したい」という、当たり前の願いである。
米軍基地があることによって、基地周辺住民の権利は脅かされている。
根源に日米地位協定がある。
米軍基地がある国では、それぞれ地位協定が定められている。下の表から、いかに日本が無権利かよく見えてくる。
ヨーロッパに限ったことではない。フィリピンでも、国内法が原則適用され、訓練・演習にはフィリピンの環境法令の遵守義務が明記され、米軍の有害物質取り扱いにはフィリピン側の許可を必要とする。
相次ぐ事件や事故は、日米地位協定に示されているように、日本が全く無権利であることによるところが大きい。日米地位協定の抜本的見直しなしに、基地問題の解決はない。そして命を守ることもできないのである。 (沢)