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2025.01.22

日本新聞

辺野古基地建設強行、沖縄予算削減の政府

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4604号1面記事
辺野古基地建設強行、沖縄予算削減の政府

沖縄県の抗議を無視して軟弱地盤への基地建設続ける政府。在沖米兵による性暴力事件続発、「事件は小さな一側面」と開き直る米司令官

 沖縄に対する政府のやり方は目に余る。沖縄県民は辺野古新基地反対の意思表示を選挙で、県民投票で繰り返し明確に示してきた。基地反対は沖縄県民の民意である。
 特に、辺野古新基地は極度の軟弱地盤もあり、基地建設は不可能である。マヨネーズ上の地盤に基地を造るなどできないことは、専門家でなくてもわかることだ。
 ところが政府は昨年12月28日から軟弱地盤改良工事を開始した。海面下最大70メートルまで、約7万本のくいを打ち込む計画だ。しかし軟弱地盤は最深で90メートルに達することがわかっており、くいが打てない部分は一体どうするのか。工事完了は2033年4月ごろ、米側への引き渡しは2036年ごろの予定だというが、無理な話である。また、総事業費は今の段階で約9300億円というが、これも膨れ上がるだろう。時間がかかろうが、事業費が膨れ上がって喜ぶのは大手ゼネコンである。大体にして、米軍の基地を造るのに、なぜ日本が金を出すのか。米軍が日本を守ってる?そんな実際は全くない。
 政府は今年度の沖縄予算を2642億円に引き下げた。2024年度当初と比べて36億円もの減額だ。減額は4年連続である。玉城知事は、基地反対を掲げて当選し、その姿勢を貫いている。だから沖縄の予算を減額し続けているのである。これまでも、基地反対の知事の時は常に予算を減らし、基地賛成、容認の知事になると3000億円突破と予算を増やす、露骨なやり方を取ってきた。いわば兵糧攻めである。
 このような中でも、沖縄県民は基地のない平和な沖縄を守りたいと訴えている。玉城知事は軟弱地盤工事強行に「看過できない強硬姿勢が続いている」と批判し、工事中止を訴えている。

 米兵による性暴力に断固抗議する

 米軍は日本を守るどころか、米兵がいることで、事件や事故が多発している。
 昨年は沖縄の米兵の性犯罪の逮捕・書類送検が4件もあった。
 玉城知事は「激しい怒りを覚える。県民に大きな不安を与えるものであり、断固とした対応を求める。女性の人権や尊厳をないがしろにする悪質な犯罪だ。日米両政府に強く抗議する」と語っている。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんも「事件が起きても、米軍は何も対応してこなかったということだ」と事件続発に憤っている。
 一方、米軍嘉手納基地のエバンス准将は「遺憾だ」としながら、「事件は小さな一側面だ」と言っている。被害者の女性にとって、人生を左右する大きな事件である。被害者の女性は「外を歩くのも怖い。命の危険も感じた」と話している。被害者の16歳未満の少女の、傷ついた心は元に戻らない。少女に性暴行を加えた米空軍兵長は懲役5年の有罪判決を受けたが、解決とは言えない。
 この事件が報じられたあとも、性暴力事件が引き起こされている。政府は米軍に対して「綱紀粛正を求める」と繰り返すだけで、断固抗議する姿勢は今回も見られなかった。
 こうした事件は明らかになったものだけであり、もっと多くの女性が被害にあっていると思われる。そして沖縄だけではなく、全国の米軍基地が存在する地域で、事件は起きているのだ。
 事件が起きても、警察は県にも地元自治体にもすぐに知らせることもしない。事件から3カ月、あるいはそれ以上経ってからようやく知らせる、マスコミにも知らせないという実態がある。日米地位協定に見る不平等な日米関係がまかり通っている。
 米軍基地は造るのではなく、撤去すべきである。政府は日本に住む人の人権を守らなければならない。     (沢)