News

お知らせ

2025.03.05

日本新聞

政府は現行保険証の発行存続を!

SHARE

4611号1面記事
政府は現行保険証の発行存続を!

マイナ保険証一本化ねらう政府。個人情報の提供で公的医療費抑制、民間企業が医療情報利活用の危険。医療機関は事務手続き煩雑で混乱

 マイナンバーカードの取得は義務ではない、任意だとされてきた。しかし、マイナンバーと保険証を一体化させてマイナ保険証を作るに至って、事実上、強制となってきた。政府はマイナ保険証の原則一本化をねらっている。
 政府はマイナンバーカードの普及のために、取得すれば2万円プラス5000円のプレミアムをサービスした。そしてマイナ保険証の利用を申し込んだ人に7500円分のポイントを付与した。このように、マイナポイント付与に2兆円も税金を投入している。その他にマイナンバーシステムに1兆1700億円もかけている。
 ところが、マイナ保険証の普及は進まず、2024年10月28日~12月31日までにマイナ保険証をやめた人が4万5214件に及んだのである。他人の医療情報が間違って入り込んでいたり、あるいは自分の情報が他の人のマイナ保険証に組み入れられたりするケースがあったのだから、当然である。その結果、マイナ保険証の利用率は25%にとどまっている。

 デメリットだらけのマイナ保険証

・マイナカードは任意だと言われながら、公務員のカード一斉取得推進施策が行われた。家族も含めて、カード取得の事実上の強制である。それは公務員に限らず、民間企業にも及んだ。カードを取得しない自由が保障されるべきである。
・マイナカードの裏側にマイナンバーが記載されている。このため第三者に番号を知られ、不正利用される可能性がある。
・マイナ保険証の利用者の医療費を安くするというのは差別であり、認められない。
・マイナ保険証は申請しないと取得できない。さらに5年に一度は更新手続きが必要。介護施設入居者、独居の高齢者、障がい者で申請手続きや管理ができない人を置き去りにした制度だ。
・紛失すると再発行に時間と手間がかかる。
・システムに対応できない医師は廃業に追い込まれる。
・医療現場に過度の負担が強いられる。機械は1台なので受付が並んでしまう。朝の読み込みエラー、タッチパネルの動作エラーで現場は混乱。患者さんへの説明、クレーム対応に追われる。
・小さなクリニックは発熱外来病棟を設けられず、車で待機してもらって対応する。マイナ保険証対応の機械は持っていけず、受付もできない。
・基本、機械でデータを確認しなくとも、医療情報は患者さんに聞けばいいし、薬の情報はお薬手帳を見ればいい、これが現場の見解である。

 政府は何のためにマイナ保険証の普及拡大をねらうのか

 政府は、なぜこれほどまでにマイナ保険証をごり押しするのか。
 ひとつには、個人情報が網羅されることで、その情報をもとに公共サービスや社会保障からの排除や制限にもっていこうというねらいがある。ますます不利益を被ることになる。
 また、民間企業にも情報提供が可能。たとえば検診結果や人間ドッグの結果などを保険会社が入手して、保険の勧誘などに使うなど起こり得ることである。
 高齢者や病気で気が弱くなっている人が儲けの対象にされかねない。
 政府は昨年12月2日から、従来の保険証の発行をやめた。現行の保険証は12月2日から1年間は有効だという。当分の間、マイナ保険証を持っていない人には資格確認書を発行するというが、今後、いつどうなるかわからない。
 マイナカードは、あらゆる個人情報の国家による一元管理であり、監視社会日本をますます強化するものに他ならない。
 政府に、マイナ保険証一本化の方針を撤回し、現行の健康保険証を存続させることを求める。   (沢)