日本新聞
東電福島第一原発事故から14年、政府は原発から撤退を
4612号1面記事
東電福島第一原発事故から14年、政府は原発から撤退を
原発事故による福島の子ども達の甲状腺がん400人、因果関係認めず最高裁は東電旧経営陣無罪の不当判決。全ての原発を廃炉にすべき
東日本大震災、東電福島第一原発事故から14年が過ぎ去った。日本だけではなく、世界を震撼させた大事故であり、今も収束していない。廃炉のめどさえ立っていないのが実情である。廃炉作業は今も続けられ、毎日4000人以上の作業員が被ばく作業を続けさせられている。故郷も生業も奪われ、今も故郷に帰れない人も多い。被害者の多大な健康被害の問題も明白である。
このような状況の中、驚くべきことに政府は第7次エネルギー基本政策で、原発を最大限活用する方針を出したのである。
311子ども甲状腺がん裁判で闘い続ける青年達
福島では原発事故が起きてから、小児甲状腺がんを発症した子どもが400人近くいる。通常は100万人に1人くらいの発症なのに、福島では38万人に400人である。原発事故による放射能汚染が原因と考えるのが当然なのに、国も東電も因果関係を認めていない。このような中、6人の青年達が原告となり、自分たちがなぜ甲状腺がんになって苦しまなければならなくなったのか、東電を相手に提訴した。原発事故の被害について話すだけでバッシングを受ける中での勇気ある行動である。“自分たちのあとにたくさんの青年達がいる。その代表として闘う”という決意である。
3月5日、第13回口頭弁論が行われた。当日は底冷えのするとても寒い日だったが、86の傍聴席に対して200人がかけつけた。
裁判では、被ばくと発がん性の因果関係について、原告側から指摘された。被告・東電やUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は、「100ミリシーベルトを超える被ばく量でなければ、がんにならない」と被ばく量を問題にしているが、病気という結果から判断するのが正しいという指摘だ。また、科学的根拠という観点からも、スクリーニング効果(たくさん調べたから多くのがんがみつかった、という被告側の論)と言うが、小児甲状腺がんが数十倍に上昇していることは、スクリーニング効果では説明できない。
裁判の傍聴にかけつけた愛知県立大学の学生の皆さんは「原告の人たちの不安、思いが先延ばしにされるのを知った」
「希望の将来を一度に失った原告さんの思いは大変なものだと思う」「SNSで、甲状腺がんを発症した被害者を攻撃するのはひどいと思った。僕は被爆3世、多くの若い人に考えてほしい」、若者たちの実際から真剣に考えている発言に希望が見える。
最高裁、旧東電幹部に無罪の不当判決
5日、最高裁は東電の旧経営陣を無罪とした一、二審の判断を支持し、検察官役の指定弁護士の上告を棄却した。これによって被告の無罪が確定した。
原発事故の責任を誰も取らない、では被害者はどうすればいいのか。全く不当な判断であり、決して認められないものである。誰も責任を取らないのに、今後も原発を動かすなど、やってはならないことである。
「さようなら原発全国集会」に3000人
3月8日には、代々木公園で「さようなら原発全国集会」が行われ、3000名がかけつけた。この日もとても寒い一日だった。
原発事故被害者団体連絡会の大河原さきさんは「最大の公害事件・原発事故は、誰にも責任はないのか。最高裁の旧経営陣無罪判決は間違っている。福島県、東京都、目黒区でも避難者追出し裁判をやっている。司法が人権に基づいた判断をせず、行政や東電と癒着して、一番弱い立場の人を痛めつけることは断じて許されない!」、新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会の沢居恵美さんは「放射能汚染土を全国の公共事業で再生利用するという政策が進んでいる。その実証事業場所に選ばれたのが、新宿御苑と所沢だ。安全レベルは1キロ当たり100ベクレルなのに、その80倍の8000ベクレルまで安全だという。原子力政策は政府の虚構の積み重ねだ。本来なら東電の敷地で保管されるべきだ」、柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民で決める会の池田千賀子さんは「原発再稼働問題に県民の意思をしっかり反映させる県民投票を行う、この直接請求の署名活動を行い、15万128筆、直接請求に必要な有権者数の4倍を獲得した。新潟県議会が審査・裁決を行うのは4月8日から3日間の臨時会です。新潟県議会が最後の裁決を行うまで、大きな圧力をかけてください!」と訴えた。
全国の状況を見ても、原発は絶対に動かしてはいけない、廃炉以外にないという思いの強まる集会であった。
原発事故から15年目に突入した今、全国で原発からの撤退を政府に突きつけよう。 (沢)