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2025.04.07

日本新聞

「令和百姓一揆」に4500人が結集

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4615号1面記事
「令和百姓一揆」に4500人が結集

「日本の食と農を守ろう」「農家に所得補償を」と訴え、30台のトラク
ターもかけつけデモ行進。食を守らない国は亡ぶ。声をあげよう

 都心の青山公園に百姓一揆の旗が立ち並ぶ。左手にはトラクターが何十台も並んでいる。普段のこの地とは全く違う様相。すごい迫力だ。
 思い思いのプラカードやむしろ旗を掲げる人々。“百姓滅びて民飢える”そうならないように百姓を守ろうという思いが伝わってくる。“減反して米不足 ふざけるな!”いつも政治に翻弄されてきた農家の怒りがわかる。
 故郷が福島だという埼玉に住む看護師さんは、「原発事故は本当に無念です。親戚で農家をやめてしまった人もいます。線量を測っても、福島だから受け入れてもらえない。親と兄弟が福島にいるけど、福島に帰るたびとてもつらい。農業を守らなきゃ」と話していた。
 トラクターでデモをすると言う若者は、会社を立ち上げて、農業をしていると言っていた。「農業をやりたい若者は結構いるけど、農業で食えないからあきらめる人も多い」と話すと、「ホントにそういう人が多いです」と話していた。
 米どころ新潟から来た人は「猛暑でコシヒカリも大変だ。おととしはひどいものだった」と話していた。農家の苦境を知りながら、政府が何の補償もしない、それが苦境に追い打ちをかけている。
 いろんな無念な思いを抱きながら、全国から駆けつけてきたのだ。令和百姓一揆は実に全国14カ所で行われた。農家も消費者も、日本の農を食を守ろうという同じ思いで青山公園にかけつけたのである。

 東京の街をトラクターが走る。農民の思いを乗せて

 今日の主役のトラクター行進者が紹介され、一言ずつ話したのが、エネルギーに満ちていて、元気が出てきた。広島から来た女性は、この日の為にトラクターの免許を取ってかけつけたという。五島列島や沖縄からはるばるかけつけた人もいた。茨城から来た若者が「日本の食の未来は私達が作る!」と誇らしく訴えた。「農家と食べる人、もっとつながろう!」という訴えもあった。
 令和の百姓一揆代表の菅野芳秀さんは「今日で終わりではなく、これから闘いが始まっていく。日本の農業は崩壊局面に入ってきた。村から農民が消え、農民が作る作物が消え、村自体が消えようとしている。滅びゆく農業だ。それを何とかしなくちゃならない。困るのは我々農民ではなく、皆さんだ。だから、農業を滅ぼす政治を変えていかなければならない。今日はそのための第一歩だ。墓じまいという言葉があるが、農村では今、農じまいという言葉が交わされている。こんなことを農家に言わせちゃならない。今残っている農民を守りながら、消費者・市民と連携して、食と農と命を大事にする日本に変えていかなければならない。今日はそのための第一歩だ」
 福島からの参加者は「年明けにこの百姓一揆を知り、すごくポジティブな気を感じて、絶対参加したいと思った。福島の仲間に話したら、みんなで力を合わせて、お金を集め人を集め、大型バスを確保してくれ、大人数でこの場に参加できた。人は土から離れられない。土は命の源。日本の国土を守ろう。農民を守ろう」と力強く訴えた。
 山田正彦・元農相は「EUは国から農家への所得補償が8割、アメリカは4割が国からの補償だ。日本ではそれがない。農家はこれまで、先祖の農地を守り、国民の食料を守ってきた。日本の農家が食べれるように、私が農水大臣の時に所得補償をやった。4000億円の予算で。その年、農家所得が17%上がった。日本も欧米並みに所得補償が必要だ。みんなで所得補償を求める声をあげていこう。がんばろう!」と呼びかけた。今年の軍事費は8兆円を超える。軍事ではなく、食と農と命を守る政治を!
 デモ行進は、最初にトラクターと軽トラックが出発した。東京の街をトラクターが走るのは、見ていてワクワクしてくる。希望を感じさせる。
 そして、農民、市民のデモ行進。デモの隊列に入ってきた若い夫婦がいた。4歳の男の子が持っているプラカードには“お米大好き!”と書かれていた。本当にお米が大好きで、パンより好きだと言っていた。よく通る声で“お米大好き!”と叫んでいた。
 1時間半のデモ行進を山田・元農相も先頭で、最後まで歩き抜いた。何としても「令和の百姓一揆」を成功させるんだという気迫が伝わる。
 デモ行進の後の「次に向けた寄り合い」では、新潟から参加した方が「今日のデモで感動した。沿道から声援も多かった。戦後70軒もあった山村が2軒しかない。村が消えていっている。がんばろう」と訴えた。
 「令和の百姓一揆の会」を作り、代表 菅野さん、顧問 山田さんと決めた。今日が出発点、農家が農業で生きられる政治を求める「令和の百姓一揆」がスタートした。      (沢)