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2025.04.14

日本新聞

大軍拡予算成立、暮しを守るべき

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4616号1面記事
大軍拡予算成立、暮しを守るべき

軍備増強、法人税引き下げの悪政をやめ、消費税撤廃、社会保障充実の政治への転換を求める運動を。高校無償化は朝鮮学校にも適用を

 3月31日、衆院本会議で2025年度予算が可決成立した。「現行憲法下で初めて、異例の2回の修正を経て」と大きく報じられ、いかにも少数与党で苦労しているような宣伝だ。「首相は少数与党から脱却するために、衆参同時選挙を考えてはいませんか」という記者の質問に、石破首相は「少数与党と言っても、皆さまのご協力で年度内に予算を成立させることができました」と余裕しゃくしゃくである。
 今回は維新が自公にすり寄り、予算成立となった。維新のように、「野党」でありながら実質与党がいる中で、少数与党も実は少数ではない。だから衆参同時選挙で更に少数になるよりは今のままがいいということだろう。

 高校無償化からの朝鮮学校除外は許されない

 高校授業料無償化で妥結したというが、朝鮮学校は依然として排除したままである。朝鮮差別に反対している一橋大学の田中宏教授は高校無償化拡大政策から朝鮮学校を排除したことに対して、「過去15年間、当然であるかのように維持されてきた朝鮮学校差別問題が、今回の高校無償化拡大の過程で再議論されるのではないかという期待があったが、政界はこれを切り捨てた」と非難し、「児童差別を禁止した現行の日本の『こども基本法』に反するもの」と指摘した。差別政策を改めるべきである。

 軍備増強、社会保障切り捨ての予算

 2025年度の防衛費は8兆7005億円である。2027年度までにGDP2%に引き上げ、その後も軍備に力を入れるという。アメリカはGDP3%まで引き上げることを要求しており、在日米軍駐留経費も引き上げさせると言っている。
 軍事費を増やす一方で政府は医療など社会保障を削ることばかり考えている。高額療養費は難病で苦しんでいる人たちの命綱なのに、それを引き上げようとして批判が起こり、今夏の引き上げは凍結された。引き上げによって得られるのは160億円である。軍事費を減らせば、すぐさまねん出される額だ。ところが政府が代わりの財源として考えたのは、高齢者の医療・介護サービスの窓口負担割合引き上げや、介護のケアプランの有料化なのである。これも何としても阻止しなければならない。
 予算成立後、首相は「国民生活が安定するよう、予算執行に力を尽くす」と言っている。有言実行してほしい。
 まず、軍事費の大幅削減、これで大方、社会保障の充実は可能である。103万円の壁というが、それ以下の苦しい生活を強いられている人には何の恩恵もない。物価高に苦しむ人々の生活改善のためには、消費税撤廃、100歩譲って、食料など日用品の消費税撤廃を早急に行うべきである。
 大企業は2023年度段階で内部留保金600兆円を超え、増やし続けている。法人税は1989年には40%だったものが、2014年度には25.5%、現在は23.2%である。法人税引き下げ、「みなし税額控除」や「輸出戻し税」などの大企業優遇税制の是正、軍事費大幅削減を行えば財源はある。
 国会で首相の商品券問題にどれだけの時間を費やしたのか。大軍拡予算案を問うことを第一に討論したのか。野党が問われることである。
 「台湾有事」などと中国が襲ってくるかのような論は、アメリカを既にGDPで上回っている中国をたたくための宣伝だ。それに乗って、日本の若者の命を散らさせるようなことがあってはならない。
 日本の加害の歴史を謝罪し、中国を先頭にしたアジアの国々と経済的にも協力し合い平和外交を行うことが、日本の取るべき道である。        (沢)