日本新聞
憲法大集会に3万8000人結集
4620号1面記事
憲法大集会に3万8000人結集
「未来は変えられる!戦争ではなく平和なくらし!」
軍拡ではなく、不戦・基本的人権保障の憲法守ろう。沖縄からも理不尽に対する怒りの声
5月3日、「2025憲法大集会」が開催され、3万8000人が有明防災公園につどった。
実行委員の菱山南帆子さんの「幾度も訪れた改憲の危機を乗り越えてきたのは、この憲法集会を中心とした粘り強い市民運動があったからだ。ミサイルで戦争を作り出すのではなく、憲法をもって平和を作り出す時」という元気な訴えで開会した。
日本原水爆被害者団体協議会・代表委員の田中煕巳さんは「13歳の時に長崎で被爆した。核兵器は絶対に使ってはならない。今、1万2000発の核兵器が地球上にある。なぜ日本被団協がノーベル平和賞を受賞したのか。それは今日の世界情勢にある。核戦争が起きる危険性が高まってきたからだ。私たちのこれまでの70年、80年にわたる努力を引き継いで、みなさんが日本中に世界中に広めてほしい」と訴えた。
今、政治を変え平和への道へ
政治経済評論家の古賀茂明さんは「日本はアメリカと戦って原爆を落とされたのに、アメリカは一番大事な同盟国だ、友達だと、日本人は思わされてきた。日本国憲法は市民のつながりで世界の平和を守っていこう、と前文にはっきり書いている。そこに立ち返ることだ。アメリカとの関係を問い直すのは、中国との関係を問い直すことと表裏一体だ。中国が怖いという人がいるが、中国の人と話をしてみればいい。誰一人、日本と戦争しようなんて思っていない。日本は中国に向けてミサイル基地を造り、射程距離を伸ばして北京に届くようにしている。そんなことをしたら相手も心配になる。中国との関係を安定させなければならない。今、ヨーロッパもアジア諸国もアメリカから少し離れていっている。日本だけがアメリカにしがみつこうとしている。今、大きな分かれ道だ。今がチャンス。去年の衆院選で私たちは結果を出した。自公に勝てた。この夏、参院選がある。衆議院も解散してほしい。そのために躊躇なく不信任案を出してほしい。そして衆議院でも参議院でも勝って政治を変える。戦争に向かっている流れを変え、憲法を復活させよう」と明解に呼びかけた。
アメリカは友達、中国怖いという宣伝に乗せられるのではなく、話をしよう、それが日本国憲法の精神、本当にそうだと思う。自分の頭で判断することが大事だと感じた。
社民党副党首の大椿ゆうこさんの訴えが心に響いた。「憲法は私達が生きていく方法を示してくれている、と実感した体験がある。30代半ば、長年非正規労働者として勤めていた私立大学を雇い止め解雇された。1年ごとの更新で最長4年までしか働けない。仕事はあるのに、なぜ数年で首を切られなきゃいけないんだ。そういう思いでたどり着いたのが労働組合。そこで“大椿さん、あなたが有期雇用をおかしいと思っているその直感は間違っていないよ”と初めて、そう言ってもらえた。3年9か月、継続雇用を求めて闘った。職場に戻ることは出来なかったが、憲法28条の労働三権、これがなければ私達非正規労働者は生き延びられないんだ、そう実感した。憲法とは、私たちが使い、生かしていくものだと実感した。
私の父は91歳、最近会うたびに私に言う。“戦争はしちゃいけないよ。この国は憲法9条がある。戦争しないと誓ったんだろ”と、時に泣きながら伝える。子どもの時に遠くの岡山大空襲の炎を見て、花火だと思った経験がある父は、今、戦争に向かう政治に強い危機感を持っている。父の思い、みなさんの思いをしっかり受け止め、戦争は絶対させない」
全国で進められている戦争準備に歯止めを
沖縄の風・代表の伊波洋一さんから、沖縄の状況が報告され、「沖縄や日本全国を戦場にしないために、憲法9条を守り、日本の未来を閉ざす安保3文書を一日も早く廃棄させよう」と訴えられた。
慶応大学法学部4年・沖縄出身の崎浜空音さんは「日本国憲法の規定する国民に、私達うちなんちゅは含まれているのでしょうか。沖縄には米軍基地が70%も押し付けられ、私の生まれた北谷町も面積の50%以上が米軍基地。米兵による性暴力、爆音、PFASなど様々な問題が起きている。
4月28日は沖縄では屈辱の日と呼ばれている。サンフランシスコ条約によって、日本から切り離され、主権が及ばなくなった日。27年もの間、私たちが求める憲法に私たちは入っていなかった。そして復帰後も何も変わらなかった。沖縄には憲法の上に日米地位協定があると言われている。
東京の、日本の平和は沖縄の犠牲の上に成り立っているのではないかと問いたい。東京で、基地をなくそう、地位協定を改定しようという世論が高まっていると言えるのか。沖縄の犠牲の上に成り立つ平和を、もう終わりにしたい。沖縄の現状は日本が変らないと決して変わらない。沖縄に憲法が適用されない現状を、日本で、この東京で変えたいと強く願う。共に頑張りましょう」と、訴えた。
“沖縄の犠牲の上に成り立つ平和”この言葉は私達にとって実に重く痛い言葉だ。そして、憲法が適用されていないのは、沖縄だけではない。私達一人一人が憲法が生かされる社会を作っていかなければならない。平和、人権が守られる政治に変えていかなければならないと、強く思わされた憲法大集会だった。
集会後、お台場海浜公園駅まで、「戦争反対」「政治を変えよう」と思いを込めて訴えながらデモ行進した。 (桐)