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2025.05.28

日本新聞

4622号1面記事 国が横田基地PFAS調査、地下水汚染の解決を

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4622号1面記事
国が横田基地PFAS調査、地下水汚染の解決を

立ち入り調査で幕を引こうとする国と東京都。「周辺の土壌や地下水
の汚染調査が必要」と市民団体。日米両基地や企業の責任を問うべき

 昨年8月、豪雨の影響で横田基地の貯水池から約4万7000リットルのPFAS汚染水が基地外に流出した。米軍は10月に日本側に伝達。12月に国や都、周辺自治体が基地内に入り、現場で説明を受けた。そして5月14日、国や都が横田基地に立ち入り調査した。
 PFASは自然界では生成も分解もできない「永遠の化学物質」と言われ、蓄積されやすい。発がん性も指摘される有害物質である。
 昨年8月に漏出が起きてから9カ月も経って初めて、立ち入り調査し、サンプル採取。このサンプルは米軍のPFAS浄化装置を通過させて浄化された水である。それが日本の目標値1リットル当たり50ナノグラム未満であれば排出を許可するという。結果が出るまで2週間かかるという。
 漏出したのは浄化した水ではなく、貯水池の汚染水である。米軍によると、貯水池には約150万リットルの汚染水が貯まり、PFAS濃度は1リットル当たり約1240ナノグラムである。これが流出したのだから、環境への影響は大きい。住民の命を守ることを第一に対策が講じられなければならない。
 横田基地によるPFAS汚染は今に始まったことではない。
2003年
 多摩地区の下水処理場から高濃度のPFOSが検出。その後、横田基地の排水から高濃度のPFOSが検出。
2012年
 横田基地で推定約3000リットルの泡消火剤を漏出。米軍は事故を隠ぺい。
 立川市西砂町の井戸から1340ナノグラムのPFOS検出。
2019年
 同じく西砂町で最大525ナノグラム検出。
2021年
 都が立川市、府中市など7市で11浄化施設と34本の井戸からの取水停止。住民の血液からPFAS検出。
 これでも都知事は米軍に抗議すらしない。横田基地だけではない。沖縄でも嘉手納基地近くの北谷浄水場の水源の河川などから高濃度のPFOS、PFOAが検出されている。日本全国の米軍基地が汚染源となっている。ドイツでは米軍基地周辺の浄化費用は米軍が出しているが、日本では政府と地方自治体が負担している。全く理不尽である。

 ダイキンなど企業の責任は明らか

 日本の企業ではダイキン工業とAGC(旧旭硝子)が世界主要有機フッ素メーカー8社に入っている。これらの企業の排水垂れ流しによる河川や地下水汚染、大気汚染は深刻だ。
2012年6月
 環境省のPFOS・PFOA汚染調査で第1位が摂津のダイキン工業淀川製作所近くで、1リットル当たり5500ナノグラム。ダイキンは少なくとも1960年代後半から2015年までの45年間以上、PFOAを製造・使用し、排水を地域の用水路に流していた。住民は用水路から水を引いて農作物を作ってきたのだ。
1953~55年
 東淀川区と摂津市の一部で、農牛47頭が怪死。ダイキンは4台の耕運機を配った。
1955年6月
1963年6月
1973年6月
 無水フッ素ガス漏れで、農作物被害、340世帯避難、用水路には死んだ魚が浮いた。
 当時の府知事はダイキンの責任をあいまいにし、事態を放置。府知事の後援会長がダイキンの会長だった事実がある。ここにも政治と企業の癒着があり、住民が犠牲にされてきたのだ。
 PFASの危険性も知らされず、便利なペットボトル、こげつかないフライパンなどと生活全般にPFASを取り入れさせられてきた。企業は危険を承知で儲けるだけ儲けるというのが本質だ。問題になったら、それをやめて、次の儲けの手段を考えるだけである。
 汚染源をはっきりさせ、汚染の根源を断たない限り解決はない。米軍も企業も、住民の命や健康など二の次三の次である。私達市民が力を合わせて、米軍や企業の責任を問うように政府に求めていかなければならない。        (沢)