日本新聞
農家が生きられる持続可能な農政へ
4625号1面記事
農家が生きられる持続可能な農政へ
「今こそ日本の食と農を守ろう」緊急集会開催。減反を見直せ!食べ物は国産で!
農家に欧米並みの所得補償を!これらは実現可能なこと
コメ問題が一向に解決が見えない中で6月5日、参議院議員会館で「今こそ日本の食と農を守ろう」緊急集会が行われた。
集会に先立ち、令和の百姓一揆実行委員会事務局長の高橋宏通さんから「備蓄米の次はMA米(ミニマムアクセス米)でアメリカから輸入を増やす話が出ている。日本の税金でアメリカの農家に所得補償することでとんでもない。日本の農家に所得補償すべきだ。今日の集会を、日本の農業を守り、日本の食を守り、日本の子ども達の未来を守る集会にしていきたい」と訴えられた。
生産者からの声
日本の種子を守る会会長、JA常陸組合長の秋山豊さんは「私の地元では農家は35%の水田で転作させられている。今年農水省は「転作を1%緩和する」と発表した。それでいいのか。
生産者米価(60キロ)は
令和3年 1万100円
現在 2万4000円
5キロ精米で農家がもらってるのは2300円、約半分。農家にとっては高くない。
異常高温障害で打撃を受けた。1等米は5割、新潟米はゼロに近かった。農水省の作況指数は101で平年並み。これは間違い。適正な生産者米価にすべき」と指摘。
静岡県の米農家の藤松泰通さんは「米農家の廃業、倒産は過去最高。政府は、輸入米を入れる、農業の大規模化を言うが、大規模化は農薬、化学肥料を多大に使用、農村のコミュニティも壊れる。今後10年で農家は半減。農業は国防そのものだ」と主張した。
新潟の米農家の石塚美津夫さんは「農林予算を見ると、スマート農業の予算は農機具メーカーにいき、区画整理事業費は土木業者にいく。安心して翌年もお米が作れる世界、安心して翌年もお米が買える世界にしていきたい」と訴えた。
パルシステム産直事業本部の黒井洋子さんは「日米関税交渉のテーブルに、大豆、トウモロコシをあげたことは残念でならない。大豆の自給率は6~7%、アメリカから65%を輸入。輸入大豆は情報が示されず“国内製造”表示。食料自給率の向上、フード・システムの構築が大事」と指摘した。
各分野から
日本消費者連盟事務局長の纐纈美千世さんは「日本消費者連盟は、緊急声明“食の売り渡しに断固反対します”を出し、27団体から賛同を得ている。農家が置き去りにされ、価格だけ問題とされている現状に怒りを感じる。日本消費者連盟の創設者・竹内直一さんは“食べ物は商品ではない。命を育むものだ”と言っている。農家と消費者が手を結んで、農業をどうしていくか考えていこう」と呼びかけた。
愛知大学農業経済学教授の関根佳恵さんは、「小規模農業は効率が悪い、生産性が低い、というのは実際ではない。EUは大規模農業の補助金を削って、小規模農家に回している。農業予算は、フランスは日本の2倍、米国・韓国は日本の3倍」と日本の農政の問題点を指摘した。
ノンフィクション作家の島村菜津さんは「子どもの心とからだの健康を死守したい。農家の声、消費者の声、本当の声を出していこう」と訴えた。
全国有機農業推進協議会理事長の下山久信さんは「毎年5000ヘクタールの農地がなくなっている。この10年で5万ヘクタール減った。10年後、6割の農地の受け手がない。大問題だ。このままいったら国が終わる。社会のあり方を根本的に転換しなければならない」と警鐘を鳴らした。
農家への所得補償実現のために行動を起こそう
元農水大臣・山田正彦さんは「なぜ今、日本の米が不足しているのか。生産者は米を作ると赤字だ。農家が米を作れるだけの所得補償しなければならない。私が農水大臣時代、4000億円の所得補償をした。今、5000億円あれば所得補償できる。国会や政府に署名を送るなり、行動を起こそう」と力強く呼びかけた。
最後に令和の百姓一揆実行委員会代表の菅野芳秀さんが「農地改革で475万の自作農が生まれた。今、70万を切ろうとしている。米農家の平均年齢は70歳を超えている。米作りのたすきを受け取ってくれる人がいない。命の危機だ。国会議員に命がけでやってほしい。我々も、日本農業、日本の農村を守るために全力を尽くす。一緒にやりましょう!」と熱烈に呼びかけた。
小泉農相に、「農家に所得補償はしないのか。備蓄米を輸入ではなく、日本の農家に作ってもらうというのはないのか」問うたら、「そういう政策はない」という返事が返ってきたという報告もあった。備蓄米を放出したら輸入米、これが政府の方針であり、これでは危機を脱するどころか、日本農業壊滅が避けられない事態になる。
農家と消費者が力を合わせて、亡国に向かう悪政にストップをかけなければならない。 (沢)