日本新聞
防衛省、辺野古・軟弱地盤に今夏土砂投入
4630号1面記事
防衛省、辺野古・軟弱地盤に今夏土砂投入
米軍普天間基地は無条件即時返還を。代替え基地はいらない。マヨネーズ状の軟弱地盤に基地建設は不可能。沖縄を再び戦場にするな
辺野古への米軍基地建設が強行されている。辺野古・大浦湾にはマヨネーズ状の軟弱地盤が広がっている。軟弱地盤は海面下70メートルに広がり、深いところでは90メートルにまで及ぶという。日本国内には海面下70メートルまでの地盤改良工事に対応できる作業船しかなく、90メートルの改良工事は不可能である。
政府はこのことを知りながら、工事を強行してきた。
そして今、防衛省は、今夏に大浦湾への土砂投入を開始する方針を発表したのである。何が何でも辺野古に米軍基地を建設するという暴挙である。
2023年12月
政府は軟弱地盤改良に伴う設計変更を、県に代わって行う「代執行」を強行
2025年1月
砂杭打ち開始(7万1000本の砂杭を打ち込む)
2025年夏
土砂投入予定
2030年代半ば
移設完成
普天間基地返還
これが防衛省発表の予定である。いくつもの大きな問題がある。
気の遠くなるような長い工期、莫大な金をかけて「難工事に取り組む」などと言っているが、軟弱地盤の存在がわかった時点で工事は即刻取りやめが当然である。軟弱地盤があることは1997年の調査でわかっていた。1996年のSACO合意(沖縄に関する特別行動委員会・日米両政府が設置)で普天間基地など米軍施設の返還、基地負担軽減が叫ばれた。しかしこの実態は、基地強化に他ならなかった。普天間基地に関しては、移設が条件となっており、最新の装備を備えた基地が完成して初めて、返還するというもの。基地負担軽減ではなく、老朽化した基地や、不要になった施設を返すかわりに、新たな役に立つ施設と取り換えるというものだ。高江のヘリパッド建設も然りである。
基地反対の沖縄の民意無視
一番の問題は、基地建設に反対している沖縄の民意を無視して、建設を強行していることである。
国政選挙でも県知事選でも、沖縄県民は基地反対候補に票を投じ、民意を明らかにしてきた。「選挙は基地問題だけが争点ではないから、基地反対の民意が示されたとは言えない」という暴論に対して、2019年、沖縄の青年が立ち上がって、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票を行い、有効投票の7割が埋め立て反対の意思表示をした。沖縄の民意が基地反対であることが明示された。
にもかかわらず、政府は沖縄の民意を全く無視して、辺野古新基地建設を強行している。沖縄県が認めない設計変更を、国が代執行という強硬手段をとって。
そして今、「台湾有事」を煽り立て、中国に対して日本が矢面になって戦うというアメリカの戦略にのり、沖縄を含む南西諸島の軍事要塞化が行われている。ものものしいミサイル基地が建設され、中国を挑発している。有事が迫っているのではなく、日米両政府によって危機が煽られているのである。南西諸島の島々では軍事訓練が行われ、住民の避難先まで決められている。シェルターが造られ、住民は避難訓練にかり出されている。今にも戦争が起こるのだと、住民への刷り込みが日常的に行われている。
今、考えなければならないのは、南西諸島を、日本を決して戦場にしないことである。中国やアジアの国々と平和外交で、経済的に共に発展できる道を歩むことである。そのために日本に住む人々(外国人を含めて)が平和のために行動する時である。「沖縄にもどこにも基地はいらない!」と声をあげていこう。 (沢)