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2025.07.23

日本新聞

参院選、自公惨敗に見る政治への怒り

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4631号1面記事
参院選、自公惨敗に見る政治への怒り

日本人ファーストなどの差別・排外主義勢力の伸びに警戒を強めよう。食、暮し、平和を保障する政治へと舵を切ることが求められる

 7月20日、参院選の当開票が行われた。
 結果は自民、公明の大敗となった。衆院だけでなく参院も過半数125議席に対して122議席と、過半数割れの少数与党となった。この結果を受けても石破首相は尚、続投を表明している。代わる人材がないということだろう。

 右派勢力宣伝の、マスコミの責任は大きい

 今回、選挙前から「参政党は10議席確実」などと、大新聞が口々に報じた。結果、参政党は14議席、非改選1議席と合わせて15議席となった。
 参政党は前面に食の問題を掲げている。安全な食を望む人は増えている。コメの問題も然り、輸入食品の危険性の問題、農薬、化学肥料の問題などで共感する人は多いかもしれない。
 しかし、今回の選挙で“日本人ファースト”を声高に叫んだ。日本人を豊かに、日本人を守り抜く、日本人を育む、と。日本に住むのは日本人だけではない。たくさんの外国人が日本で暮らしている。日本の植民地政策のために、日本で暮らしている在日朝鮮人の方は50万人近い。“日本人ファースト”の主張は、日本人のためだけの政治であり、外国人を排除する恐ろしい論である。日本人を守るために戦争もする考えだ。事実、東京で当選した参政党のさや候補は「核武装が最も安上がりだ」と主張している。これに対して、排外主義・差別反対を訴えて青年が街頭で声をあげたことが報じられていた。
 参政党の改憲論は、「天皇を中心とした国づくり」であり、現行憲法から消すものは、法の下の平等、奴隷的拘束・苦役からの自由、思想・良心の自由、表現の自由、裁判を受ける権利、拷問の禁止などである。
 どのような国を作ろうとしているか歴然としており、実に恐ろしい。
 これをマスコミが宣伝し、当選させてしまう、そのことが大変なことである。
 確かに自公に政治は任せられない。暮しは苦しくなる一方だし、増やされるのは軍事費ばかり。こうした政治を終わらせたいという、有権者の思いが示されたとは言える。しかし、何を言っているのか、何をやろうとしているのか、しっかり見極めなくてはいけない。
 今回13議席増やした国民民主党は、有権者の思いを受け止めれるのか、そこが問題である。
 予算案が国会で通った時、石破首相は「少数与党とは言っても、今回予算案が成立したように、これからも野党の協力を得てやっていく」と言った。つまり、少数与党とは言っても、すり寄ってくる野党は多いので、与党案は通せる、と言っているのである。
 これでは何のための野党か問われる。今回立憲民主党が議席を増やせなかった原因もそこにある。
 今回の結果を見ても、戦争賛成勢力が伸びている。アメリカが中国を叩きたい、それを日本にやらせるために「台湾有事」を煽り、危機感を募らせる。実際は日米両政府で「有事」をでっち上げようとしているのだ。
 こうした中で、沖縄で「オール沖縄」が支援した沖縄大学教授・高良沙哉候補が見事当選を果たしたのは朗報である。普天間基地の辺野古への移設反対を高々と訴えた。
 日本の未来を拓く道、平和への道は、排除ではなく共存だ。日本に住む日本人と外国人が共に力を合わせて生きることだ。世界に目を向けても同じことが言える。中国などアジアの国々と平和の為に協力していくことが、日本の発展にもつながることである。大前提として、日本の侵略戦争の加害の歴史を認めて謝罪することが第一歩である。
 私達有権者は宣伝や勢いではなく、実際から判断する力をつけなくてはならない。少数与党、ここから政治を変えていく一歩を踏み出すために力を合わせよう。          (沢)