日本新聞
敗戦後80年、平和への道に踏み出そう
4634号1面記事
敗戦後80年、平和への道に踏み出そう
アメリカの戦略下で「台湾有事」を作り出そうと軍事基地化を進める政府。
軍備増強ではなく平和外交で世界の平和を築く日本への転換を
8月15日、日本は敗戦から80年を迎える。80年前、二度と戦争をしないという思いで、日本国憲法が作られた。人間らしい生活を保障しようと基本的人権の尊重、不戦、戦力不保持を明記した憲法9条。
日本はここから平和への道を歩むと思われたが、今日の日本の状況は全く違う。憲法は守るべきものではなく、掲げる看板に過ぎないものと化している。
「台湾有事」は作られたもの
戦力を持たないと憲法に明記されているが、自衛隊があり、軍備増強が行われている。専守防衛の原則が、解釈改憲で「敵基地攻撃能力」まで有することが閣議決定された。2015年の安保関連法案強行可決に至って、戦争法が制定されてしまった。
もともと「台湾有事」はアメリカが喧伝したものである。台湾は中国の一部であり、台湾の人々の8割以上が「独立」ではなく現状を望んでいる。それをアメリカがあたかも台湾の人々が独立を望んでいるのを中国政府が弾圧していると、大宣伝した。「台湾有事」が起こり、日本にも危険が及ぶという宣伝である。
中国はすでにGDPで実質アメリカを抜いている。だからアメリカは今のうちに中国を抑えつけておきたい、そのために日本と戦わせようとしているのである。日本はまんまとアメリカの戦略に乗り、日本の若者の命を奪う愚策を再び繰り返そうとしている。
南西諸島は次々ミサイル基地化されている。避難の為だとシェルターが造られ、避難訓練まで行われている。実際に戦闘になれば、全く意味を為さないシェルターである。そして島民がどこの自治体に避難するかの計画まで発表している。
中国が台湾と戦争になって日本も攻撃される、その想定自体が間違っている。日本が軍備増強し、ミサイル基地を造り、中国に届く射程距離のミサイルを配備する、それが危険を作り出し、「有事」を引き起こすのである。
アジアの国々と力を合わせ世界の平和構築へ
日本は侵略戦争で中国や朝鮮をはじめアジアの国々に、残虐の限りを尽くした。そしてそうした加害の歴史に対して、日本政府は謝罪するどころか、認めることさえしない。
南京大虐殺、「慰安婦」、強制連行、強制労働などの史実を無かったことにしようとしている。
被害を受けた中国やスリランカなどは、日本が戦争の惨禍から立ち上がって、世界の平和の為に共に協力し合える国になるようにと、賠償請求権を放棄してくれた。(3面参照)ところが日本はそうした願いに応えるどころか、逆に、アメリカの要求に応え、アメリカの戦略の中で戦争に向かっているのである。
敗戦後80年、戦争を体験した世代が少なくなってきている。語り部も減っている。今私たちは戦争の加害の事実をしっかりと学び、認識し、二度と戦争しないという決意を新たにする時である。
80年前、沖縄では本土決戦を避けるために沖縄戦を強いられた。4人に一人が犠牲になるという悲惨な戦いであった。日本軍は沖縄の住民に「集団自決」を強い、肉親を殺す地獄絵が繰り広げられた。それさえ、軍の関与を否定し、「集団自決」の軍の関与を教科書から消すという暴挙に出た。今、再び沖縄が戦場にされようとしていることに、沖縄の人々は強い憤りを持ち、“沖縄を再び戦場にしない!”と声をあげている。
日本はアジアの国々と力を合わせて、発展していくように舵を切るべきである。そして平和への道は、加害の事実を認め、謝罪することから始まる。共に平和な世界を築くことが日本の唯一の活路である。 (沢)