日本新聞
東電柏崎刈羽原発再稼働を阻止しよう
4638号1面記事
東電柏崎刈羽原発再稼働を阻止しよう
財政支援対象自治体を拡大するなど再稼働に向けて策動めぐらす国と東電。汚染水の海洋投棄、汚染土の全国へのばらまき等問題山積
8月28日、自民党の新潟県連は国に要望書を出した。中味は柏崎刈羽原発再稼働を巡り、経産相に原発周辺自治体への財政支援の拡充を求めるもので、花角・新潟県知事も要望しているものだ。翌8月29日、政府は「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(原発立地特措法)の対象地域を、原発から半径10キロ圏内から30キロ圏内に広げることを決めた。随分迅速な対応だ。
9月3日、花角知事は東電柏崎刈羽原発の再稼働の是非を10月末以降に判断すると明言した。花角知事の支持基盤は自民党で、参院選の自民大敗の情勢(花角知事が応援した自民候補も落選)から、再稼働について慎重な姿勢を示している。支援対象自治体拡大で再稼働容認の声が強まれば、知事も再稼働容認を表明し、“地元の理解を得た”と再稼働が進められる可能性もある。
財政支援があろうと、原発の危険がなくなるわけではない。福島第一原発事故を引き起こし、今も収束の目途も示せない東電が、事故炉と同じ沸騰水型の柏崎刈羽原発を動かすことは実に危険である。福島県大熊町、双葉町からの避難者815人は今も仮設住宅に暮らしている。県は仮設住宅の無償提供を来年3月で原則打ち切る。果たして国や東電はそうした被害者に支援するのか。住居や生活を保障するのか。これまでの経過を見ると全く望み薄である。再稼働を実現するためには財政支援を強調するが、事故の被害者は、その後の対応の悪さで二次被害、三次被害にあっている。何としても再稼働は阻止しなければならない。
汚染水、汚染土など解決できない問題だらけ
8月25日、東電は福島第一原発にたまっている汚染水の海洋投棄14回目を終えた。今回、トリチウムは過去最高値の1リットル当たり61ベクレルを検出した。14回目は8月7日から25日までで、トリチウム総量は約3兆ベクレルだという。莫大な量だ。その他にも放射性物質が多数含まれている。
先日も福島の漁業関係者の悲痛な声が報じられていた。必死に原発事故から立ち上がろうとしている時に、汚染水の海洋投棄。必死の努力が踏みにじられている。
福島第一原発敷地内のタンク約128万トンの約7割が放射性物質の濃度が基準値より高いことがわかっており、再び浄化処理するという。そもそも汚染水の海洋投棄自体が大問題である。
そして汚染土の問題。政府は最終処分する汚染土を極力減らすために、全国に汚染土をばらまこうとしている。1キロ当たり8000ベクレル以下の汚染土を公共事業に使うというのである。事故前は放射性セシウムで1キロ当たり100ベクレル以下の基準だった。事故が起きたら一挙に8000ベクレルまで、何故引き上げられるのか、はなはだ疑問だ。
原発事故の被害も汚染も過少に宣伝して、政府は「原発の最大限活用」を強行しようとしている。
7月30日には泊原発3号機を新基準「適合」とした。パブリックコメント(意見公募)には地震や津波、周辺火山の噴火対応など不安の声が多数寄せられていたのに、その声は生かされなかった。支笏カルデラと洞爺カルデラは火砕流の被害が想定される。実に危険である。
中国電力は8月29日、山口県上関町に「核燃料中間貯蔵立地は可能」と伝達した。関西電力との共同運用を想定し、関電が再稼働している原発の使用済み核燃料を運び込める施設としたいのだ。
安全な原発などない。政府は「原発の最大限活用」ではなく、原発からの撤退へと方針を変えるべきである。 (沢)