日本新聞
原発再稼働反対!代々木公園に4500人
4641号1面記事
原発再稼働反対!代々木公園に4500人
さようなら原発9・23全国集会開催。原発の緊急事態宣言中に最大限原発活用方針の政府。原発再稼働許さない!人権守れの訴え続く
9月23日、代々木公園で「さようなら原発9.23全国集会」が開催された。4500人がかけつけた。
呼びかけ人の鎌田慧さんは「今もまだ緊急事態宣言中で、故郷に帰れない避難民も多く、子ども達の甲状腺がんも心配だ。政府は事故直後“原発の依存度を限りなく低減する”と言っていたのに、岸田内閣になってから“原発を最大限活用する”と180度転換した。何の反省もなく、ただ金儲け。今日は若い人も発言する。来年15周年の3月集会は1万人も2万人も全国から結集しよう」と訴えた。
落合恵子さんは「総理大臣の選挙に出ている5人、誰が子ども達の未来を考えているか。若者の未来を考えているか。考えているのは自分たちのことだけ。そんな政治をひっくり返せないできたけど、ここからもう一度やろう。侮辱されない、命と尊厳のある私達になろう」と呼びかけた。
「ワタシのミライ」の川﨑彩子さんは「大学生の時に気候変動のタイムリミットに危機感を抱き社会運動に加わり、今は一刻も早い脱原発のためにも活動している。私たちは今、大きな不正義を目の当たりにしている。パレスチナ、ガザの人々は今日も殺され続けている。占領された土地にも、原発事故で汚染され奪われた土地にも、気候危機という暴力が弱い者いじめする世界にも正義はない。世代を超えて、この不公正な社会の仕組みを変えていかなくてはならない。手を取り合って、知恵を出し合って、輪を広げて連帯していきたい」と訴えた。
東京大学名誉教授の高橋哲哉さんは原発は典型的な犠牲のシステムで4つの犠牲があると語った。「第一の犠牲は過酷事故がもたらす犠牲。福島第一原発事故が示したが、政府も東電も責任を果たさない。
第二の犠牲は原発労働者の被ばく労働。平時でも被ばくしている。
第三の犠牲は先住民たちの犠牲。企業によるウラン鉱山開発で先住民たちが追い出される。核の人種差別だ。日本も差別する側。
第四の犠牲は潜在的な犠牲。日本のような地震大国で安全をどう確保するのか。
政府が原発に固執する理由は核武装能力の保持。私は原発は自爆用の核兵器ではないかと思っている。日本を戦争で崩壊させるには、原発にミサイル1発打ち込めばそれでいいこと。危険な原発を日本中に造ってしまった。今からでも遅くない。さようなら原発、そして地球沸騰化を食い止めるために力を合わせていこう」と訴えた。
差別助長の排外主義
パネルトークでは若い世代がそれぞれの思いを語ってくれた。その中から、反貧困ネットワークの加藤美和さんのお話を紹介する。
「私が関わっている親が仮放免(在留資格ではなく一時的なもの。労働は禁止されている)の外国人の高校生たちは、日本で生まれたり、幼少期に日本に連れてこられたりして、日本の学校に通って生活している。親は働けないし、どうやって生活していくのか。専門学校や大学受けたくても、“ビザがないから受験してはいけない”と言われる。どの子ども達にも教育を受ける権利はある。それが通らない。入管(出入国在留管理庁)に行くと、“日本にいたって意味ないよ”“絶対帰らせてやる”と言われる。今、入管でゼロプランというのをやっていて、入管に行ったその日に収容、夜には飛行機で強制送還。日本で生まれた子にとって知らない国に帰される。みんな不安と恐怖の中で生きている。
精神疾患のある若い女性の貧困問題もある。暴力から逃げてきたり、体を売らざるを得なくなったりで、精神的に追い詰められてしまっている。希望が見えなくなっている。他にも苦しんでいる人たちがいる。どう向き合っていくか、一緒に考えていきたい」
日本の政治のひどさを痛感させられる。
台湾の環境団体「緑色公民行動連盟」の方もかけつけ、今年の5月17日に台湾が原発ゼロに突入したことが報告された。福島原発告訴団、柏崎刈羽原発再稼働を止める会からも闘いの報告があった。
亡くなった作業員の被ばく線量を隠す東電
おしどりマコケンさんは、「東電の記者会見に1500回かけつけている。9月3日に亡くなった40代の男性作業員の方がいる。福島第一原発に入って3カ月目の方で、1号機大型カバー設置工事をしていて、2時間の作業が終わって、出入り口の方に歩いていく時に倒れて、そのまま救急車で搬送されて亡くなった。東電は心臓突然死と公表した。その方の累積被ばく線量を質問していた。9月18日の東電の回答は“お尋ねの件ですが、当該の作業員はもうお亡くなりになったため、個人情報ですから、了解が得られたら出すけど、もう死亡したから了解得られない”あまりにひどい。それが当たり前のようになっていくのが大変だ」
そして最後にマコさんは、「原発事故から1年後の2012年、毎週金曜日、国会の周りに全国から集まっていた。たくさんの人が何とかしなくちゃと集まった。今はどうだろう。テレビや新聞、インターネットでの宣伝もひどい。でも世の中を変えるのはそういうものではなく、半径5メートル、隣の人とどういうことを話し合って考えて動いていくかだと思う。だからこの集会を続けていこう」と力強い訴えだった。
原発事故は何も終わっていない。「もう終わった、福島は復興してるじゃないか」と思っている人たちに、本当のことを知らせていかなくてはならない。今も避難している人たちがいること、被ばくによる甲状腺がんで苦しんでいる若者たちがいること、そして今、収束作業の中で作業員の方が亡くなっていることを。原発は再稼働させてはならない。廃炉にするしかないのである。 (沢)