News

お知らせ

2025.10.15

日本新聞

日本政府はパレスチナ国家承認を

SHARE

4642号1面記事
日本政府はパレスチナ国家承認を

国連加盟国の159カ国がパレスチナ国家を承認。日本はアメリカに追随して承認せず。早急に国家承認し
イスラエルの虐殺をやめさせよ

 イスラエルによるガザ虐殺は、国際的な非難が高まっているにもかかわらず強行されている。これまでガザの住民6万6000人以上が虐殺された。今も、いつ命が奪われるか知れない恐怖の中にいるのである。食料もなく、配給所にたどり着いた人々をめがけて、イスラエルが爆撃する。それでも命がけで配給所に向かうのだ。命をかけて。
 イスラエルのネタニヤフ大統領は「パレスチナ民族などない。パレスチナ人を全滅させる」と公言している。ガザへの攻撃は、まさにパレスチナ人抹殺の蛮行である。
 国際社会は「イスラエルとパレスチナの二国家共存」を訴えている。現在、国連加盟国193カ国のうち159カ国がパレスチナ国家を承認している。
 ところが日本は数少ない未承認国なのである。岩屋外相は「承認するかしないかではなく、いつ承認するかだ。日本は二国家解決の立場を堅持しており、二国家解決が一貫した立場だ。二国家解決の土台が完全に崩されるような事態に発展すれば考える」と言っている。では今の事態をどうとらえているのか。これでも土台が崩されていないというのか。

 市民団体との交渉に不誠実な外務省

 このような中、10月1日、「ジェノサイドをとめろ!イスラエルに制裁を!10.1外務省交渉」が「パレスチナに平和を!緊急行動」と「ガザ緊急アクションなごや」の共催で行われた。これに先立って、防衛省、経産省、厚労省との交渉が行われたが、外務省は「外相の国連出席などで忙しく、一人も交渉に出せない」とドタキャンし、10月1日に引き延ばしになったという。
 質問は、
1、これほど事態が悪化した今となっても、国家承認や制裁に踏み切らない理由は何か
2、岩屋外相が会見で話した二国家解決の土台が完全に崩される事態とはどのような事態を指すのか
3、あらゆる選択肢を検討すると言ったが、どのようなものを想定しているのか
1の答え
国家承認するかしないかではなくいつするか。最も効果的かつ実効的なタイミングを総合的に検討している。
2の答え
具体的にどのような事態と答えるのは難しい。二国家解決の実現や中東地域の平和、安定は重要なので外交努力を続けていく。
3の答え
今の時点で具体的な措置内容について判断するのは難しい。
 何も答えていないと言っても過言ではない。
 イスラエルのネタニヤフ首相やガラント前国防相は、国際刑事裁判所(ICC)から「人道に対する罪と戦争犯罪」の容疑で逮捕状が出されている。日本は2007年からICC加盟国である。ICCで有罪とされたイスラエルのガザ虐殺に断固とした姿勢を取るのが当然である。国際社会が足並みをそろえて、イスラエルの蛮行をやめさせるためのパレスチナ国家承認にも背を向ける。イスラエルを後押しするアメリカの言いなりである。
 トランプ大統領は「イスラエルと和平案に合意した」と発表した。しかしその中味はガザの平和を約束したものではない。
 ハマスに対して降伏、武装解除、人質の即時引き渡し、ガザ統治からの排除、つまり無条件降伏を突きつけた。一方でイスラエルに対しては、軍事行動停止の期限付きの約束はなく、ガザに軍隊駐留を続けられるとネタニヤフは解釈している。トランプ大統領は「ハマスがこの和平計画を拒否すれば、アメリカはイスラエルの攻撃を全面的に支持する」とまで発言している。
 ガザの平和は即時停戦以外にはかち取れない。(沢)