News

お知らせ

2025.10.22

日本新聞

新潟県に1000億円拠出で柏崎刈羽原発再稼働ねらう東電

SHARE

4643号1面記事
新潟県に1000億円拠出で柏崎刈羽原発再稼働ねらう東電

新潟県知事は県民投票で県民の意思を確認すべき。福島第一原発事故も未収束、地震帯真只中の柏崎刈羽原発再稼働へと動く無謀な東電

 東電が新潟県に対し、地域貢献策として計1000億円規模で資金を拠出する方針を発表した。新潟県がつくる基金に積み立てるという。東電は、柏崎刈羽原発再稼働への地元の理解を得るための拠出だとしている。
 1000億円の金をやるから再稼働に賛成しろ、というのである。1000億円と再稼働への理解とは全く関係ない。金をもらったからといって、安全になるわけではない。
 10日、柏崎刈羽原発から5〜30キロ圏内の7市町関係者が、原子力規制委員会、財務省、経産省、内閣府に、避難路整備などを求める要望書を提出した。磯田・長岡市長は「県の意識調査で東電に不信感をもっている県民が多かった。1000億円の基金で事態が変わることはない」と言っている。
 避難路整備の要望の実現はほぼ不可能である。東電は原発事故の際には原発から5キロ圏内は屋外に避難する、5〜30キロ圏内は屋内退避としている。これも、能登半島地震の際に全く無理だと証明された。屋外に避難するにも道路が寸断された箇所が何か所もあり、車も通れない。屋内退避と言っても、家は崩れてそこにいられる状態ではない。ましてや新潟では冬の豪雪と原発事故が重なった場合、どうすればいいのか。東電は、5キロ圏内も、5〜30キロ圏内も屋内退避だと言っている。5キロ圏内は放射線量が高いからすぐさまそこを離れなければならないのに、屋内にいろと言うのである。そして5〜30キロ圏内は雪かきの時は屋外に出てもいいと。その場しのぎの論で話にならない。
 解決策は一つしかない。再稼働しなければいいのだ。
 8月末に政府は、原発立地自治体への財政支援を手厚くする「原発立地特措法」の対象地域を広げることを決めている。政府も東電も金で言うことを聞かせようとしているのである。

 柏崎刈羽原発再稼働は不可能

 柏崎刈羽原発は福島第一原発と同じ沸騰水型の原発である。東電は福島第一原発事故の収束の見通しも立っていないのに、柏崎刈羽原発の再稼働に踏み出そうとしている。全く不誠実な企業である。
 花角新潟県知事は再稼働について、「県民に信を問う」と言うが、具体的な手立ては明らかにしていない。このため、2024年10月から「再稼働の是非を県民投票によって決めることを求める署名運動」が行われた。県民投票条例の直接請求に必要な約3万6000筆に対して、14万3196筆の署名が集まり、県議会に提出されたが、否決されたのである。
 また、柏崎刈羽原発は信州・北陸に至る地震帯の真只中に位置しており、昔からマグニチュード7クラスの地震が頻発している地域だ。東電は原発設置時は海底活断層を活断層と認定していなかった。2003年に原子力安全保安院の指示で長さ20キロの活断層だと評価しなおしていたが、公表はしていなかった。2007年にマグニチュード6.8の中越沖地震が起き、設計上の想定を超える揺れに見舞われた。中越沖地震後、海底活断層を34キロの活断層と再評価した。
 この海底活断層は50〜60キロの巨大な活断層から枝分かれしたもので、活断層全体が動いた場合はマグニチュード7.5クラスの地震を想定すべきだと指摘する専門家もいる。このような場所に原発を立地したこと自体、無謀極まりない。それに加えて東電の隠ぺい体質。福島第一原発事故も、15メートルを超える大津波を知りながら、それを隠して何の対策も取らなかったことが事故につながった。
 二度と福島第一原発事故のような大惨事を引き起こしてはならない。原発を稼働させなくても電気は足りているのである。原発は再稼働ではなく、すべての原発廃炉が日本の取るべき道である。 (沢)