日本新聞
小中学生の不登校、自殺が過去最多
4646号1面記事
小中学生の不登校、自殺が過去最多
不登校最多の原因を保護者に押し付け、学校の問題に目を向けない文科省。いじめも自殺も過去最多、友情や連帯の心を育てぬ教育現場
文科省の調査によると、2024年度の小中学校で年間30日以上欠席した不登校の児童生徒は35万3970人で、過去最多、12年連続増だった。小学生は5.6%増の13万7704人、44人に1人が不登校だ。中学生は0.1%増の21万6266人、15人に1人が不登校だ。年間30日に満たない不登校予備軍がどれくらいいるのかは発表されていない。学校に行かない子どもは年々増えているのである。
ところが文科省は、不登校が増えている原因を「無理に通学する必要はないといった保護者らの意識変化だ」と発表している。これでは不登校を減らすメドはない。
音楽が鳴ると踊り出す、小学校入学間近の元気な女の子がいた。お母さんは「この子のいいところを受け入れて伸ばしてくれるならいいけど、押しつぶされると学校に行かなくなる」と心配していた。1年後、「あまり学校に行ってない」とお母さんは残念そうに話していた。小学2年生の不登校の男の子のお母さんは「こんなに学校に行かない子が増えているんだから、学校は何が悪いのか考えるべき」と憤っていた。
子ども達は最初から学校に行くことを拒否していたわけではない。一人一人の子どもが、なぜ学校に来なくなったのか、学校側は掘り下げて考えなくてはならない。「親が学校に行くように勧めないから」では、解決することを放棄している。子ども達がどんな問題を抱えているのか、真剣に向き合うことである。
いじめも自殺も過去最多
学校に差別はないのか、いじめられている実際はないのか。2024年度の小中高校のいじめも過去最多で76万9000件と発表された。これは学校から報告された数であり、実際ははるかに多いいじめがあることは推して知るべしである。
いじめる側になるか、いじめられる側になるかが死活問題となり、いじめられている人を助けたり、いじめている人に注意することもできない状況に追い込まれている。差別があふれる中で、心がすさんでしまっている。自分たちがいじめた相手が自殺したことを知った中学生が、「やっと死んだか」とSNSに投稿していたという報道もあった。背筋が凍りつく思いだ。若者らしいヒューマンや正義を愛する心が根こそぎ無くされてしまっていることが無念である。
いじめと共に、2024年度の小中高生の自殺も過去最多である。529人の自殺者である。子どもの自殺だけが増え続けている。特に女子高校生の自殺が増えている。ネットによる様々な情報によって、若い女性が性被害にあうケースも多い。被害にあった生徒に寄り添って話を聞ける大人がいるかどうかは、実に大きな違いである。命を救うことにつながるのである。
子ども達がどんな悩みを抱えているか、どんな悲しみを抱いているか、聞いてあげるべき教師は、管理・統制、過酷な労働の中に置かれている。教師自身も病んでいる実態がある。何らかの精神疾患で通院したり、休職に追い込まれている教師も多い。
今の教育現場の体制を抜本的に変え、教師が子どもと心を通わせられるように改革しなければならない。単に不登校の数字を調べるのではなく、子ども達が来たいと思う学校への改革である。教師と子どものコミュニケーション、子どもと子どものコミュニケーションのある環境を作ることである。共にやり遂げるものがあり、心の通い合いのある学校、差別を許さない教育現場に変えていく以外に、子ども達の居場所にならない。教育の荒廃は社会の崩壊につながる大きな問題であり、早急に取り組まなければならない。
子ども達の命を守るために。 (沢)