日本新聞
軍事費拡大の巨額補正予算案衆院通過
4652号1面記事
軍事費拡大の巨額補正予算案衆院通過
国民民主も公明も賛成、野党とは名ばかりの実態。物価対策かたるが限定的な一時しのぎ。米軍需産業潤す軍事費増で暮しは守れない
11日、衆院本会議で2025年度補正予算案が可決された。
高市首相は補正予算案を物価高に対する対策としているが、物価高対策としても問題大ありである。そして何より、今年度中に軍事費をGDP比2%達成という、トランプ米大統領との約束を果たすために防衛費1.7兆円を盛り込んでいる。
そもそも補正予算とは、本予算を組んだ後の不測の事態(大規模な自然災害、ウイルス拡大など)のための予算だ。18兆3034億円もの補正予算など、そもそもあり得ない。これでは予算などではなく、余りにもいい加減だ。
野党はこのような補正予算を許してはならない。一致して阻止すべく、審議しなければならない。ところが、この補正予算案に国民民主党も連立を離脱したばかりの公明党も、賛成しているのだ。公明党は政府案に反対して、立憲民主党と組み替え動議を提出した。それが否決されると、政府案に賛成と、実に矛盾している。これに対して立憲の野田代表は「公明党と組み替え動議を共同提出できたのは大きな一歩」と手放しで喜んでいる。全く奇妙な構図だ。自民・維新対立憲・公明の二大政党制を予測する論もある。国民民主は自民・維新と組みたいのだが、連合の吉野会長に反対されたので、次は立憲・公明と組むか。いずれにせよ、野党が一丸となって自民・維新連立政権の打ち出す納得できない政策を阻止するという構図とは程遠い。
国会審議は、この物価高で苦しんでいる状況を変える実効あるものでなければならない。
一時しのぎのアリバイ対策
補正予算案の物価高対策は、
・高校生以下の子ども一人
あたり2万円給付
・来年1月から3月の3カ
月間、電気・ガス支援
・おこめ券活用などの重点
支援地方交付金
子育て支援は確かに大切なことである。この物価高で子どもを育てるのは実に大変なことだ。次代の日本を担う子どもを大切にすることは大賛成だ。しかし、子どものいない低所得世帯は対象外である。高齢者は医療費値上げなどで、ますます生活苦に追い込まれる。また、3カ月限定の電気・ガス支援は全くの一時しのぎで、その後どうなるか不安だという声も聞く。米高騰の解決は、おこめ券でも備蓄米放出でも輸入米増でもなく、日本の農家に米を増産させ、所得補償すべきである。同時に、消費者が安心して買える米の価格を政府は保障すべきだ。
消費税をやめてほしい、せめて食料品や日用品はまずは5%に引き下げしてほしいという訴えは全く無視されている。
物価高対策になっていないというのが実際である。
最大の問題は軍備拡大
補正予算案の最大の問題は、防衛力・外交力の強化に1.7兆円も組んでいることだ。トランプ米大統領に、防衛費のGDP比2%達成を2年前倒しで今年度中に達成すると言った約束を果たすための予算だ。緊急でもなければ必要でもない。補正予算に組む妥当性は全くない。物価高に苦しむ自国民より米軍需産業の利益優先の高市政権に期待はできない。
造船業再生基金1200億円、人工知能(AI)や半導体にかける1895億円、これらも軍事目的への転用の可能性は否めない。本予算で使い残している「宇宙戦略基金」にまで補正予算で積み増そうとしている。
歳入の6割にあたる11兆6960億円が新規国債という。それが命と暮しを守るために使われるのならわかるが、軍備増強のため、戦争に向かうことは認められない。
審議は参院に移された。戦争まっしぐらの今補正予算案を阻止するために、真剣に審議を重ね、生きていける予算案を引き出すことが野党のやるべきことである。
(沢)