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2026.01.14

日本新聞

米国のベネズエラ侵略に抗議する

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4656号1面記事
米国のベネズエラ侵略に抗議する

主権国家の大統領夫妻拉致、石油の権利を奪い取るねらい。意に沿わない政府転覆・植民地支配の無法許さぬ国際世論を巻き起こそう

 1月3日未明、ベネズエラの首都カラカスに米軍は大規模な攻撃を行った。この攻撃で80名以上が殺された。そして米特殊部隊はマドゥロ大統領夫妻を連れ去った。
 トランプ大統領は麻薬密輸など4つの罪状でマドゥロ大統領を起訴した。5日にニューヨークの連邦地裁にマドゥロ大統領夫妻は囚人服で出廷した。マドゥロ大統領は「私は無実だ。私は善良な人間でベネズエラの大統領だ。米国に拉致された」と訴えた。
 主権国家の大統領を拉致して、アメリカの裁判所で裁くなど、絶対にやってはならないことである。主権尊重、内政不干渉の国際法に明らかに違反している。しかし、トランプ大統領にとって国際法など関係なく、自分が決めたことが何にも優先する法なのである。「今後は米国がベネズエラを運営する」と公言している始末だ。
 今回のベネズエラ攻撃、大統領夫妻拉致については米議会への通告なしで決行され、米国内からも批判が巻き起こっている。ホワイトハウス前でもベネズエラ攻撃に対する抗議行動が展開されている。これに対してトランプ大統領は「議会は秘密が漏れるから作戦が失敗する」と開き直り、批判に耳を貸そうともしない。

 西半球の支配、植民地化ねらう米国

 米国によるベネズエラ武力攻撃は、米国の強さを示すものではない。逆に弱さを示すものである。アメリカ経済は衰退の一途をたどっている。実質的GDPはすでに中国に抜かれている。米国内の産業はすたれ、中国からの輸入が途絶えれば米国民が打撃を受ける。トランプ大統領の関税攻撃も、自国民の生活苦に直結した。米国は“悪人”を作り上げて、戦争を起こし、兵器を消費して儲ける作戦を繰り返してきた。パナマのノリエガ将軍、イラクのフセイン大統領、リビアのカダフィ大佐しかりである。
 ベネズエラは世界一の石油の埋蔵量を誇る。石油だけではなく、金やレアアースなどの資源も豊富だ。アメリカ資本や一部の特権階級がその権益を欲しいままにしてきたところから、1998年チャベスは大統領に就任し、石油の富を国民に平等に分配する政治を実施した。マドゥロ大統領はその後継者である。
 ベネズエラの石油の8割は中国に輸出されていた。「アメリカに石油をよこさず中国には供給する。これは許されない。アメリカ資本が石油の権益を奪い取る」これがトランプ大統領のねらいだ。これはイランに対しても同じだ。ベネズエラやイランからの中国への石油の供給を断つために、両国に襲いかかっているのだ。
 これはアメリカの焦りを示す。今のうちに中国に打撃を与えたい。そうでなければ中国との力の差は歴然とするからである。
 昨年12月、米国家安全保障戦略(NSS)は「米国が世界秩序全体を下支えする時代は終わった」とし、西半球の支配確保を最重視すると宣言した。BRICS、グローバルサウスなど、アメリカのドル支配に屈しない勢力が増えている。その危機感の中で、アメリカは南北アメリカ大陸を支配するという19世紀以来のモンロー主義(第5代米大統領モンローによる)を復活させ、意に沿わない政権は転覆させ、植民地支配しようとしているのだ。
 ベネズエラの暫定政権のロドリゲス大統領は、「ベネズエラは誰の植民地にもならない」と言いながらも、米国に石油の権益を認め、自国民の命を守る道を探っている。トランプ大統領は、「アメリカがベネズエラを運営する」と公言、コロンビアへの攻撃も示唆、「安全保障のためにグリーンランドが我々には必要」とまで言っている。グリーンランドもレアアースなどの天然資源が豊富。メキシコ、キューバへも敵意をむき出しにしている。
 アメリカの無法を許さない国際世論を高め、蛮行を止めなければならない。(沢)