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2026.01.21

日本新聞

浜岡原発不正で規制委が審査中止決定

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4657号1面記事
浜岡原発不正で規制委が審査中止決定

南海トラフ巨大地震の震源域・浜岡原発で「基準地震動」データ不正。「安全二の次儲け第一」の電力会社、福島の事故後も変わらず

 中部電力が浜岡原発3、4号機の再稼働に向けての安全審査で、「基準地震動」のデータに不正(過小評価)があったことを発表したのが1月5日。これを受けて、原子力規制委は1月14日、審査の中止を決定した。
 中部電力の林社長は7日に浜岡原発を訪れ、社員に問題の状況を説明した。ところが周辺自治体には立ち寄らず帰っていたのだ。誠意を持って、地元に経過報告する姿勢は全くない。その後、住民からの非難を受けて、14日にようやく牧之原市を訪れた。杉本市長は「これまで築いてきた信頼関係を覆す事態。我々の方から説明を要請しなければ来ない。何の報告もなく、市民も非常に不安に感じている」と抗議した。
 今回の不正の中味には重大な問題が含まれている。浜岡原発は南海トラフ巨大地震のまさに震源地に存在する。マグニチュード9クラスの地震が想定されている。他の原発よりはるかに厳しい地震・津波対策でなければならない。にもかかわらず、実際より低くデータをごまかしていたのである。再稼働自体、審査するまでもなく、やってはならないことである。ましてや、これを動かそうとしている中部電力がデータをごまかし、安全二の次で再稼働に前のめりでは、実に危険極まりない。
 そしてこれは中部電力に限ったことではない。基準地震動の設定は、東電福島第一原発事故以前はほとんどの原発で1000ガルを下回るものだった。実際の地震では2000ガル、あるいはそれ以上が観測されている。民間の住宅でも4000〜5000ガルが基準である。
 今回の不正は、電力会社が住民の安全など全く考えていないことを露呈したものである。

 浜岡原発データ不正は第二の原発事故を予告

 16日、中部電力の林社長は電事連会長を辞任した。辞任すれば事足りる問題ではない。
 電事連は大手電力10社からなる。その会長の会社で、地震を過小評価し都合の良いデータを採用するという卑劣なやり方だ。住民の安全など眼中になく、とにかく早く再稼働して利潤を上げたい、その一心なのだ。それが中部電力に限らず、電力会社の体質であることは否めない。
 今、柏崎刈羽原発、東海第二原発、泊原発と再稼働に向けての作業が進められている。
 柏崎刈羽原発は事故を起こした東電福島第一原発と同じ沸騰水型である。しかも電力会社も同じ東電である。大津波の予測に備えて防潮堤など整備していれば、事故は防がれた可能性がある。経費がかかるからとそれをやらなかった責任は大きい。その後も数々の不正があり、東電の体質が変わった根拠はない。それなのに再稼働を認めた原子力規制委も問われる。17日には、制御棒の警報装置が鳴らない不具合が起きている。
 東海第二原発も福島第一原発と同じ沸騰水型。しかも首都圏の原発で、30キロ圏内に92万人が住む、40年以上の老朽原発。どう考えても、再稼働ではなく廃炉のしろもの。
 泊原発は沖合にプレート境界があり、大地震、大津波の可能性が指摘されている。また、巨大噴火を起こした洞爺カルデラも近くにあり、火砕流が到達する恐れもある。
 このように、いずれを見ても再稼働などやってはならない。福島の事故の被害は今も続いている。収束作業に終わりはなく、今も毎日4000人以上が被ばく作業に従事している。故郷も生業も失った人々の苦しみは今も続いている。
 最も問われるべきは政府である。原発事故後、「原発に頼らないエネルギー」の方針から「最大限原発を活用」へと変節した政府。これが原発再稼働に拍車をかけたのだ。原発を動かさなくてもエネルギーは足りている。環境を守り、人々の命を守るために、原発は再稼働ではなく廃炉にすべきである。      (沢)