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2025.10.08
日本新聞
原発再稼働反対!代々木公園に4500人
4641号1面記事
原発再稼働反対!代々木公園に4500人
さようなら原発9・23全国集会開催。原発の緊急事態宣言中に最大限原発活用方針の政府。原発再稼働許さない!人権守れの訴え続く
9月23日、代々木公園で「さようなら原発9.23全国集会」が開催された。4500人がかけつけた。
呼びかけ人の鎌田慧さんは「今もまだ緊急事態宣言中で、故郷に帰れない避難民も多く、子ども達の甲状腺がんも心配だ。政府は事故直後“原発の依存度を限りなく低減する”と言っていたのに、岸田内閣になってから“原発を最大限活用する”と180度転換した。何の反省もなく、ただ金儲け。今日は若い人も発言する。来年15周年の3月集会は1万人も2万人も全国から結集しよう」と訴えた。
落合恵子さんは「総理大臣の選挙に出ている5人、誰が子ども達の未来を考えているか。若者の未来を考えているか。考えているのは自分たちのことだけ。そんな政治をひっくり返せないできたけど、ここからもう一度やろう。侮辱されない、命と尊厳のある私達になろう」と呼びかけた。
「ワタシのミライ」の川﨑彩子さんは「大学生の時に気候変動のタイムリミットに危機感を抱き社会運動に加わり、今は一刻も早い脱原発のためにも活動している。私たちは今、大きな不正義を目の当たりにしている。パレスチナ、ガザの人々は今日も殺され続けている。占領された土地にも、原発事故で汚染され奪われた土地にも、気候危機という暴力が弱い者いじめする世界にも正義はない。世代を超えて、この不公正な社会の仕組みを変えていかなくてはならない。手を取り合って、知恵を出し合って、輪を広げて連帯していきたい」と訴えた。
東京大学名誉教授の高橋哲哉さんは原発は典型的な犠牲のシステムで4つの犠牲があると語った。「第一の犠牲は過酷事故がもたらす犠牲。福島第一原発事故が示したが、政府も東電も責任を果たさない。
第二の犠牲は原発労働者の被ばく労働。平時でも被ばくしている。
第三の犠牲は先住民たちの犠牲。企業によるウラン鉱山開発で先住民たちが追い出される。核の人種差別だ。日本も差別する側。
第四の犠牲は潜在的な犠牲。日本のような地震大国で安全をどう確保するのか。
政府が原発に固執する理由は核武装能力の保持。私は原発は自爆用の核兵器ではないかと思っている。日本を戦争で崩壊させるには、原発にミサイル1発打ち込めばそれでいいこと。危険な原発を日本中に造ってしまった。今からでも遅くない。さようなら原発、そして地球沸騰化を食い止めるために力を合わせていこう」と訴えた。
差別助長の排外主義
パネルトークでは若い世代がそれぞれの思いを語ってくれた。その中から、反貧困ネットワークの加藤美和さんのお話を紹介する。
「私が関わっている親が仮放免(在留資格ではなく一時的なもの。労働は禁止されている)の外国人の高校生たちは、日本で生まれたり、幼少期に日本に連れてこられたりして、日本の学校に通って生活している。親は働けないし、どうやって生活していくのか。専門学校や大学受けたくても、“ビザがないから受験してはいけない”と言われる。どの子ども達にも教育を受ける権利はある。それが通らない。入管(出入国在留管理庁)に行くと、“日本にいたって意味ないよ”“絶対帰らせてやる”と言われる。今、入管でゼロプランというのをやっていて、入管に行ったその日に収容、夜には飛行機で強制送還。日本で生まれた子にとって知らない国に帰される。みんな不安と恐怖の中で生きている。
精神疾患のある若い女性の貧困問題もある。暴力から逃げてきたり、体を売らざるを得なくなったりで、精神的に追い詰められてしまっている。希望が見えなくなっている。他にも苦しんでいる人たちがいる。どう向き合っていくか、一緒に考えていきたい」
日本の政治のひどさを痛感させられる。
台湾の環境団体「緑色公民行動連盟」の方もかけつけ、今年の5月17日に台湾が原発ゼロに突入したことが報告された。福島原発告訴団、柏崎刈羽原発再稼働を止める会からも闘いの報告があった。
亡くなった作業員の被ばく線量を隠す東電
おしどりマコケンさんは、「東電の記者会見に1500回かけつけている。9月3日に亡くなった40代の男性作業員の方がいる。福島第一原発に入って3カ月目の方で、1号機大型カバー設置工事をしていて、2時間の作業が終わって、出入り口の方に歩いていく時に倒れて、そのまま救急車で搬送されて亡くなった。東電は心臓突然死と公表した。その方の累積被ばく線量を質問していた。9月18日の東電の回答は“お尋ねの件ですが、当該の作業員はもうお亡くなりになったため、個人情報ですから、了解が得られたら出すけど、もう死亡したから了解得られない”あまりにひどい。それが当たり前のようになっていくのが大変だ」
そして最後にマコさんは、「原発事故から1年後の2012年、毎週金曜日、国会の周りに全国から集まっていた。たくさんの人が何とかしなくちゃと集まった。今はどうだろう。テレビや新聞、インターネットでの宣伝もひどい。でも世の中を変えるのはそういうものではなく、半径5メートル、隣の人とどういうことを話し合って考えて動いていくかだと思う。だからこの集会を続けていこう」と力強い訴えだった。
原発事故は何も終わっていない。「もう終わった、福島は復興してるじゃないか」と思っている人たちに、本当のことを知らせていかなくてはならない。今も避難している人たちがいること、被ばくによる甲状腺がんで苦しんでいる若者たちがいること、そして今、収束作業の中で作業員の方が亡くなっていることを。原発は再稼働させてはならない。廃炉にするしかないのである。 (沢)
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2025.10.01
日本新聞
戦争法制定から10年、戦争への道止めよう
4640号1面記事
戦争法制定から10年、戦争への道止めよう
安保法制を根拠に南西諸島の軍事要塞化、軍事費倍増、武器輸出解禁
と憲法違反に拍車をかける大軍拡。
武器ではなく平和外交が生きる道
防衛省設置の有識者会議は9月19日、防衛費を現在のGDP比2%からの引き上げと、武器輸出に関して現行ルールの緩和を提唱した。現行ルールでは、「武器輸出は原則、救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型の目的に限定(防衛装備移転3原則)している。それを緩和する、つまり、戦争当事国に殺傷兵器を提供することにつながる。国際紛争を助長するものだ。そもそも有識者とは何か。政府の意図することを、あたかも正当であるかのようにこじつけて、まことしやかに論ずる者とでも言うべきか。結局は政府の軍拡路線を助けている。
今年は安保法制制定から10年の年である。安保法制制定の前年2014年7月の閣議で、安倍内閣(当時)は、憲法を変えずに解釈の変更で、集団的自衛権を認めることを決めた。いわゆる「解釈改憲」という姑息なやり方で、国会審議も国民投票も行わず、場合によっては集団的自衛権が認められることにした。こんなことが許されたら、憲法は何の意味もなさないことになってしまう。
そして翌年9月19日、連日国会前で安保法制強行採決反対の声が響く中、強行可決したのである。それから10年、日本は大きな変貌を遂げた。
不戦堅持の憲法に反し、軍拡、武器輸出
安保法制は世界中での自衛隊の武力行使を認めるもの、そして日本が攻撃されなくても、先に攻撃することも可能というもので、戦争に直結する。2020年に安倍首相(当時)は敵基地攻撃能力の保有を示す談話を発表している。2022年12月には岸田内閣(当時)が敵基地攻撃能力保有を明記した安保関連3文書を閣議決定。それまでは防衛費はGDP比1%枠とされていたものを、GDP比2%に拡大、2023年度から2027年度の5年間で43兆円とされ、大軍拡路線が具体化された。武器の輸出も解禁された。
憲法9条には不戦、戦力不保持が明記されている。かつての日本軍による侵略戦争は、アジアの人々の命を奪い、日本人をも不幸のどん底に突き落とした。そんな戦争を二度と繰り返さないという思いが込められた日本国憲法である。日本各地に9条の碑があり、外国にもある。コスタリカでは日本の9条を模範とし、軍隊を持たない国を実現した。ところが当の日本が9条とは真逆の軍拡、武器輸出に走っているのだ。
「台湾有事」はアメリカが宣伝したものだ。経済的にもすでに中国はアメリカを越えている。それを叩くために「台湾有事」を声高に叫び、日本と中国を戦わせようという戦略である。
なんとアメリカは、中国とアメリカが戦うシミュレーションを8回も行い、全敗したという。だから痛手を負う中国との戦いは日本にやらせるというわけだ。台湾の人々はその8割が「現状維持」を望んでいるという。つまり、中国の一部であり続けることだ。現状維持が戦争にならない道である。
日本はアメリカの戦略下で、軍備拡大、日本中に対中国戦のための軍事基地を建設している。南西諸島の住民には疎開先を決め、疎開の実施を始めた。日本は軍事力でも経済力でも、中国の足元にも及ばない。そして何より中国と戦う理由も必要もない。
戦後80年、日本の侵略戦争の加害の事実を認め、中国や朝鮮、韓国などアジアの国々に謝罪し、そこから友好・連帯の道へと歩むべきである。アメリカの一極支配に与するのではなく、アジアの一員として、アジア経済圏を発展させる政治へと舵を切ることが、平和への道であり、日本の唯一の活路なのである。
(沢)
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2025.09.24
日本新聞
袴田巖さん、名誉棄損で国を提訴
4639号1面記事
袴田巖さん、名誉棄損で国を提訴
「控訴しない」としながら「犯人視」
する畝本検事総長談話。えん罪で58年も殺人犯として死刑囚にされ
た袴田さんに誠意ある謝罪を求む
1966年の静岡県一家4人殺害事件で、昨年9月26日、静岡地裁は袴田巖さんに再審無罪判決を言い渡した。しかも検察側が「証拠」として事件後1年以上経ってから、味噌樽から「発見」した5点の衣類や「自白」を検察の「ねつ造」と断じた。事実、味噌樽に1年以上浸かっていた「5点の衣類」の血痕が鮮やかに残っていたり、検察が返り血だと言う衣類が、下着の方が上着より血痕が多いこと、ズボンが袴田さんには小さくて履けないなど、不自然なことが多かった。まさに「ねつ造」としか言えない。
検察はこれに対して控訴しなかったため、袴田さんの無罪は確定した。ところが畝本検事総長は「控訴しない」としながら「被告人が犯人であることの立証は可能」「判決が『5点の衣類』をねつ造と断じたことに強い不満」などと、実に矛盾した内容の談話であった。そして58年という長い間、死刑囚の汚名を着せられた袴田さんへの謝罪の言葉は一言もない。
9月11日、袴田巖さんは「談話で犯人視され名誉が傷つけられた」として、国に計550万円の損害賠償を求めて静岡地裁に提訴した。訴状では「談話が名誉回復や社会復帰を著しく阻害した」「原告の名誉を棄損する違法なものであり、速やかに取り消すべきだ」と主張。小川英世弁護団長は「袴田さんの名誉を傷つけ、無罪判決を出した裁判所を侮辱する行為だ」と指摘した。
人生を奪ったことに何の反省もない検察側、再審法改正急務
58年と言ったら人生そのものと言っていい年月である。その年月を、えん罪を着せられ、死刑囚として生きらされた袴田さん。いつ死刑執行の日を迎えるかわからない、耐えられない恐怖の中で袴田さんは拘禁症を患ってしまった。姉のひで子さんが面会に行っても「姉などいない」と面会を拒否した日々もあった。その中、ひで子さんは巖さんを支え続けた。そして迎えた再審無罪判決。それでも尚「犯人であることの立証は可能」と犯人視をやめない検事総長談話。提訴は当然である。
ひで子さんは「巌が無罪になってそれで終わりじゃない。再審法改正を求める」と言っている。実にき然とした生き方である。
冤罪の温床となっているのは「人質司法」にある、それを変えなければならない、と言われている。日本の刑事司法制度は、逮捕された被疑者を自白するまで釈放しないのが当たり前に行われている。警察の留置場で身柄を拘束され、留置場が「代用監獄」化している。密室の留置場に入れられ、自白を強要される。人権無視も甚だしい。また「司法取引」も合法化されている。自分の罪を軽減してもらうために、「目撃証人」になるのだ。「福井女子中学生殺人事件」で犯人にされ再審無罪となった前川さんの場合、「目撃証人」が現れ、その供述が次々変わっているのに、検察がその指摘を無視して、とにかく前川さんを犯人にでっち上げたのである。
えん罪に苦しむ人がこれ以上増えないためには、代用監獄をやめさせ、取り調べ可視化、録音録画の徹底、そして再審法改正を急がなければならない。証拠開示の規定を明らかにし、すみやかに証拠開示が行われるようにする、検察官の不服申し立ての禁止、再審請求審の期日の指定を明らかにするなどで、いたずらに再審を引き延ばす現在の状況を変える再審法改正を早急に決定しなければならない。
多くのえん罪事件がある。狭山事件の石川さんは、えん罪を晴らす前に、3月11日、無念のうちに亡くなられた。えん罪でありながら死刑が執行された人もいる。
えん罪で人生を奪われることのないように、再審法の早期改正を求める。検察は袴田さんに人生を奪ったことを謝罪すべきである。 (沢)
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2025.09.17
日本新聞
東電柏崎刈羽原発再稼働を阻止しよう
4638号1面記事
東電柏崎刈羽原発再稼働を阻止しよう
財政支援対象自治体を拡大するなど再稼働に向けて策動めぐらす国と東電。汚染水の海洋投棄、汚染土の全国へのばらまき等問題山積
8月28日、自民党の新潟県連は国に要望書を出した。中味は柏崎刈羽原発再稼働を巡り、経産相に原発周辺自治体への財政支援の拡充を求めるもので、花角・新潟県知事も要望しているものだ。翌8月29日、政府は「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」(原発立地特措法)の対象地域を、原発から半径10キロ圏内から30キロ圏内に広げることを決めた。随分迅速な対応だ。
9月3日、花角知事は東電柏崎刈羽原発の再稼働の是非を10月末以降に判断すると明言した。花角知事の支持基盤は自民党で、参院選の自民大敗の情勢(花角知事が応援した自民候補も落選)から、再稼働について慎重な姿勢を示している。支援対象自治体拡大で再稼働容認の声が強まれば、知事も再稼働容認を表明し、“地元の理解を得た”と再稼働が進められる可能性もある。
財政支援があろうと、原発の危険がなくなるわけではない。福島第一原発事故を引き起こし、今も収束の目途も示せない東電が、事故炉と同じ沸騰水型の柏崎刈羽原発を動かすことは実に危険である。福島県大熊町、双葉町からの避難者815人は今も仮設住宅に暮らしている。県は仮設住宅の無償提供を来年3月で原則打ち切る。果たして国や東電はそうした被害者に支援するのか。住居や生活を保障するのか。これまでの経過を見ると全く望み薄である。再稼働を実現するためには財政支援を強調するが、事故の被害者は、その後の対応の悪さで二次被害、三次被害にあっている。何としても再稼働は阻止しなければならない。
汚染水、汚染土など解決できない問題だらけ
8月25日、東電は福島第一原発にたまっている汚染水の海洋投棄14回目を終えた。今回、トリチウムは過去最高値の1リットル当たり61ベクレルを検出した。14回目は8月7日から25日までで、トリチウム総量は約3兆ベクレルだという。莫大な量だ。その他にも放射性物質が多数含まれている。
先日も福島の漁業関係者の悲痛な声が報じられていた。必死に原発事故から立ち上がろうとしている時に、汚染水の海洋投棄。必死の努力が踏みにじられている。
福島第一原発敷地内のタンク約128万トンの約7割が放射性物質の濃度が基準値より高いことがわかっており、再び浄化処理するという。そもそも汚染水の海洋投棄自体が大問題である。
そして汚染土の問題。政府は最終処分する汚染土を極力減らすために、全国に汚染土をばらまこうとしている。1キロ当たり8000ベクレル以下の汚染土を公共事業に使うというのである。事故前は放射性セシウムで1キロ当たり100ベクレル以下の基準だった。事故が起きたら一挙に8000ベクレルまで、何故引き上げられるのか、はなはだ疑問だ。
原発事故の被害も汚染も過少に宣伝して、政府は「原発の最大限活用」を強行しようとしている。
7月30日には泊原発3号機を新基準「適合」とした。パブリックコメント(意見公募)には地震や津波、周辺火山の噴火対応など不安の声が多数寄せられていたのに、その声は生かされなかった。支笏カルデラと洞爺カルデラは火砕流の被害が想定される。実に危険である。
中国電力は8月29日、山口県上関町に「核燃料中間貯蔵立地は可能」と伝達した。関西電力との共同運用を想定し、関電が再稼働している原発の使用済み核燃料を運び込める施設としたいのだ。
安全な原発などない。政府は「原発の最大限活用」ではなく、原発からの撤退へと方針を変えるべきである。 (沢)