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2024.11.13
日本新聞
第2回全国オーガニック給食フォーラム
4595号1面記事
第2回全国オーガニック給食フォーラム
JAと市が一緒にオーガニックに取り組んでいる常陸大宮市での開催。全国各地のJAの取り組みも紹介。食を守ることは命を守ること
11月8日、常陸大宮市文化センターで、第2回全国オーガニック給食フォーラムが開催された。会場には800人、オンラインで400人、全国50のサテライトスタジオにもたくさんの方が集まった。
常陸大宮市は、全国に先駆けて市とJAが一緒になってオーガニック給食を推し進めている。JA常陸の秋山会長は「もともと私が子どもの頃は、皆無農薬だった。やれないわけがない」と全国のJAの先頭で、ネオニコチノイド系の農薬削減に取り組んだ。全国オーガニック給食協議会の理事も務めている。鈴木市長もオーガニック給食に意欲的に取り組んでいる。
基調提案は鈴木宣弘・東大大学院農学生命科学研究科特任教授と、国際ジャーナリストの堤未果さん。
給食が拓く子どもたちの未来
鈴木宣弘教授は次のように語った。
――戦後日本は、米国の余剰農産物の最終処分場にされた。自動車の利益のために農と食を差し出す「いけにえ」政策だ。その結果、輸入増加、農業縮小、自給率低下を招いた。
食料自給率の低下は日本人の食生活の変化によって輸入するしかなくなった、これは嘘。1958年に出版された「頭脳」という本には「米食低能論」が記されている。慶応大学医学部・林教授の著書で50版を重ね、日本社会に大きな影響を与えた犯罪的な書だ。
国際紛争などの不測の事態になると、一気に事態が悪化するが、ウクライナ危機で、それが起こってしまった。
食料、種、肥料、飼料などを海外に依存していては、命を守れない。肥料、飼料、種を輸入していることを考慮すれば、日本の自給率は38%どころか9.2%にすぎない。海外に依存しないで、肥料も種も国内で作る。国内の生産力をフル稼働させることだ。
自給率は北海道が228%、茨城が70%、東京は0.4%、ほとんど0だ。農業問題は消費者問題、命の問題だ。
日本の農家は、ひどい政策下でも世界10位の農業生産をあげている。赤字でも頑張ってきた。農家とともに一緒に頑張ろう!——
本質をズバリ突いた講演だった。
いのちの給食が世界を変える
堤未果さんはこう語った。
――米大統領選があったが、ロバート・ケネディJrは無所属で大統領選に出馬していたが、降りて、トランプを支持した。彼は“子ども達の食を変える”と言っていた。医療と食が大企業寄りだと指摘した。
アメリカは毎日8000万人がファストフードを食べている。子ども達の3人に1人は肥満。米軍入隊年齢の7割が太りすぎ、健康に問題があって不適格。子ども達の健康が食から壊れている。
アメリカでは、食生活の7割が超加工品。便利、安い、どこでも手に入る。世界中に輸出している。化学的に作った味で、精神にも影響する。人工甘味料はカロリーゼロ。体がおかしいと思って、代謝ができなくなる。そしてもっと食べる。
「新・大豆バーガー」が2021年に学校給食にデビューした。アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、日本でも。環境にいい、健康にいい、は嘘。子どもの4人に3人が「毎日食べたい」。大量生産で、途中から遺伝子組換え大豆に変えた。ブラジルの木を大量に伐った。添加物だらけで塩分も高い。
日本政府は酪農家には「牛1頭殺せば補助金やる」、一方でコオロギには補助金たっぷり。コオロギはカドミウムを蓄積するから、遺伝子組換えする。「京大バーガー」はゲノム編集のマダイのフィッシュバーガー。
まずは種を守る。地元の災害に強く味もいい種を守る。旬の食材を使ったオーガニック給食を食べられる子ども達は幸せだ。自然の多様性に感謝するようになる―
見通しの出てくる講演だった。
各地のJAの取り組みを聞いたり、パネルディスカッションでの農家の方の「子ども達に農家の話を聞かせたい」という発言や、お母さんの立場から「なるべく受け入れられるように考えて、激しく主張しすぎないようにしている」という発言に学ぶところが多かった。
「子ども達に安全な食を!」オーガニック給食の実現に向けた展望の持てる集会だった。 (沢)
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2024.11.06
日本新聞
袴田さんの次は狭山、えん罪を晴らそう
4594号1面記事
袴田さんの次は狭山、えん罪を晴らそう
石川さんの無実は明らか、61年ものえん罪を晴らすため、日比谷野音に全国から結集。証拠開示義務化、検察の抗告禁止へ再審法改正を
11月1日、日比谷野外音楽堂で、「袴田さん再審無罪勝利!つぎは狭山だ!東京高裁は事実調べ・再審開始を!」狭山事件の再審を求める市民集会が開催された。
部落解放同盟中央本部・西島委員長は「いよいよ次は狭山だ!万年筆は被害者のものかどうか。発見万年筆のインクの試料からクロム元素が検出されなかった。検察は非科学的で“水で洗えば出ないこともある”と言っている。鑑定の実施を求めると同時に、11人の鑑定人尋問の実施へ。再審決定後の検察官の抗告禁止、証拠開示と再審法改正を求める」と述べた。
立憲民主、社民、れいわの代表が駆けつけた。狭山の弁護団でもある社民党の福島みずほ党首は「袴田さんは勝利し、選挙権をもった。石川さんは仮出獄なので選挙権もない。袴田事件で証拠ねつ造も明らかになった。狭山事件も証拠ねつ造だ。万年筆、筆跡など。
再審法は証拠開示の規定がない。検察官の抗告などとんでもない。袴田事件では抗告で10年も再審が引き延ばしになった。再審法の改正を求める。死刑は止めるべきだ」と訴えた。
石川さんを激励にかけつけた袴田ひで子さん
石川一雄さんは「今日来るとき、2回ころんだ。足が弱っている。いわさん(袴田巖さん)が元気でよかった。全国から“狭山は勝利する”と自信を持ってかけつけてくれてうれしい。皆さんが頼りです。石川一雄が元気な間に無罪をかち取るために更なるご支援をお願いします」と語った。
早智子さんは「最近マスコミが狭山を大きく取り上げてくれている。昨日、寺尾不当判決から50年、半世紀だ。狭山事件発生から61年、いまだに再審を請求しなくてはならない。検察の不正義に激しい憤りを感じる。
袴田事件では、警察と検察がグルになっていると、裁判所が判断した。再審法の問題点が明らかになってきた。大きな世論を巻き起こしてほしい」と訴えた。
61年もの長い間、殺人犯のえん罪を着せられてきた石川さん。無実は明らかなのに、いまだに再審さえ認められていない。何としても再審無罪をかち取ろうと、部落解放同盟中央本部・片岡副委員長は3つの基調提案をした。
1、9月26日から1か月間、全国統一行動を行ったが、これを各地で継続してほしい
2、再審法改正の取り組み
袴田さんは10年前に再審決定したが、検察が抗告した。
狭山も同じような事態になりかねない。石川さんが元気なうちに再審法を改正し、再審無罪をかち取らなければならない。
3、8月に第60回目の三者協議が行われた。
弁護団は万年筆のインク成分の鑑定実験を要請。これに対して裁判長が協力的。
最後に片岡さんは「狭山事件を知らない人に知らせていく運動が大事」と呼びかけた。明解な基調提案だった。
袴田巖さんを支え続けた91歳の袴田ひで子さんが、石川さんを激励にかけつけた。
ひで子さんは「勝利して一番最初に選挙権が返ってきた。巖はちゃんと候補者の名前を書いた。尊い一票になった。
巖だけが助かればいいとは思っていない。くやしい思いをしている、えん罪で苦しんでいる方のお力になればいいと思っている。幸い私は元気だ。元気な限りは、再審法改正、被害者救済をはりきってやっていきたい。石川さんのご支援をお願いします」と堂々と訴え、集会を大きく励ましてくれた。
足利事件の被害者の菅家さんはじめ、冤罪被害者も次々、警察、検察の非道性を訴えた。
最後に市民の会事務局長の鎌田慧さんが「袴田事件で無罪判決となった。しかし、検事総長は何の反省もない。謝罪もない。
80年代、4人の死刑囚が次々無罪になった。それでも司法は変わらない。何の反省もしていない。どうやって変えるか。民主化闘争だ。無実なものを死刑にする野蛮国家を世論の力で変えていく。次は狭山事件の解決だ。これからは犠牲者を出さないと、取り組んでいこう」と呼びかけた。
石川さんの無実は明らか、再審法を変え、再審無罪をかち取ろう。 (沢)
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2024.10.30
日本新聞
衆院選 与党過半数割れ、自公政治にノー
4593号1面記事
衆院選 与党過半数割れ、自公政治にノー
与党215議席、公示前より64議席減。裏金、軍事優先・福祉切り捨て政治
拒否の有権者の意思表示。野党も託された票に応え政治転換に全力を
10月27日衆議院議員選挙の投開票が行われた。投票率は53%台と前回55.93%より低い。これも政治不信の表れである。衆院の過半数は233議席。公示前、自民247議席、公明24議席で自民は単独過半数であった。選挙結果は自民191議席、公明24議席で合わせても215議席と過半数に及ばなかった。
立憲民主党は公示前98議席から148議席まで大幅に議席を増やした。今回の選挙は、自民党の裏金問題(政治資金パーティーのパーティー券の収入を収支報告書に記載していなかった)問題で、石破首相が“国民に信を問う”と行ったもの。石破首相は就任から8日後に衆院を解散した。戦後最短の解散である。
石破内閣は支持率28.0%の「危険水域」から始まった。これまでの例を見ると、少なくとも発足当初は支持率が上がり、そこから低下していくというケースが多く、発足当初から支持率が28.0%では見通しは暗い。それが総選挙を急いだ要因だろう。石破首相は「日本を守る。政治を変える」と息巻いて全国を遊説したが、結果は大惨敗である。口先だけで有権者はだまされない。
有権者が与党を見限ったのは、裏金問題だけではない。政策自体が問題だらけである。
石破首相は就任早々、解散総選挙に突入したが、今年1月に大地震に見舞われた能登半島は、9月には大雨に見舞われ、大きな打撃を受けていた。そのさなか、岸田首相(当時)は訪米していたのである。すぐさま帰国して、緊急対策を講じるべきだろう。最優先は被災者を守ることだ。1月の大地震の復興も置き去りにされた状態に、追い打ちをかけるように大雨が襲った。その救済に全力を注ぐべき時に訪米し、アメリカのご機嫌伺いが最優先。そして引き継いだ石破首相も、被災地支援より総選挙。能登では自民候補ではなく立憲民主の候補を選んだ。
今、光熱費も物価もどんどん高騰し、生活は苦しい。賃上げと言われても、一部の大企業に限られ、それも実質賃上げからは程遠い。零細企業は倒産の憂き目にあっている。無権利の非正規労働者が増える一方である。このような中、政府は生きていけるように福祉に予算を回すのではなく、軍事費倍増を強行している。琉球弧にミサイル基地を造ることは、抑止力ではなく「有事」を引き起こすことである。さらに、福島第一原発事故で危険性が明らかになった原発を利権のために再稼働する政策。命をないがしろにする政治だ。
自民党大惨敗は有権者が突きつけた、現行の政治へのノーである。
野党は有権者に応える政治改革の努力を
自公政治ノーの思いは立憲民主党の大幅議席増の結果となった。公示前98議席から148議席へ50議席も増やした。問題はここからである。
公示前3議席から9議席へと増やした「れいわ」の山本代表が「立憲民主との共闘は考えているか」と問われて、「今のままでは、ないです。だって自民と同じだ」と答えた。自公に対する不信の思いで投じられた立憲民主への有権者の1票を生かすには、立憲は今のままではダメだ。改憲についても野田代表は反対を明示せず「是々非々」と言っている。
有権者の多くの支持を得た立憲がこれから示すべきは、自公政治との違いである。軍事優先ではなく社会保障の充実、原発ではなく再生可能エネルギーへの転換を明確に打ち出すべきである。自公政権ノーの1票1票に応えることが、これから求められる。
野党と言っても、改憲、軍備増強で自公と歩調を合わせる勢力もあることから、私たちは一層警戒感を強め、戦争への道に歯止めをかけなければならない。 (沢)
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2024.10.23
日本新聞
原子力規制委 高浜1号機を60年まで運転認可
4592号1面記事
原子力規制委
高浜1号機を60年まで運転認可
来年6月には60年を超える運転を認める新制度が。老朽原発の稼働はあまりにも無謀、安全無視の暴挙。
原発は廃炉に、原発から撤退を
9月16日、原子力規制委員会は関西電力高浜原発1号機の今後10年間の管理方針を定めた保安規定を認可した。高浜1号機は今年11月に運転開始50年となる。50年を超える運転の初の認可だ。
もともと原発の寿命は40年が目途であった。ところが、2011年3月11日の東日本大震災で、東電福島第一原発が事故を起こし、次々爆発する大事故となった。そのため、原発の新規建設は地元の合意が得られないため、既存の原発を動かすというのが政府の方針だ。しかし、日本の原発は多くが40年を超えようとしている。だから老朽原発でも動かせるように、寿命を伸ばして、40年を超えても稼働できるようにした。30年を超えたら10年ごとに、原子力規制委が確認して認可するというのだ。
その上、来年6月には、60年を超える運転を可能にする新制度を始めるというのだ。規制委の山中委員長は「60年以上運転する原発も出てくると考えられるが、10年ごとに確認するのがわれわれの役割だ」と言い放っている。10年ごとにお墨付きを与え、60年、70年、80年と老朽原発を稼働させるのだから、原子力規制委の犯罪性は大きい。高浜2号機は11月に運転開始から49年、関電美浜原発3号機は12月に48年となる。原子力規制委はこれらに次々ゴーサインを出すのであろうか。
関電は原子炉内に入れてある金属試験片で炉の劣化状況を調べるというが、金属試験片は原発の寿命の40年分しか入れていない。試験片が無くなったからと言って、新たに入れるのでは劣化状況はわからない。50年60年と劣化状況を調べる術もなく、運転し続けるのか。はなはだ疑問だ。また、炉内構造物を交換すると言うが、一体どうやって、原子炉内のものを交換するのだろうか。安全確認もなく、動かし続けるのは非常に危険なことで、第二、第三の福島原発事故は避けられない。
このような無謀を許す原子力規制委に、チェック能力は期待できない。政府の方針を追認するのみで、安全性をチェックしようとする姿勢はない。
地元民からは「何かあってからじゃ遅い」と廃炉を求める声があげられている。
福島の現状を直視しよう
9月15日、東電福島第一原発の核燃料デブリに触れた汚染水の10回目の海洋投棄が始められた。今年度は6回目となり、11月4日までに約7800トンを投棄する予定。
事故から13年以上経っても、事故の収束の目途もなく、東電の廃炉計画はどんどん先延ばしになる一方。汚染水も毎日増え続けている状況を何も変えられない。
現在も毎日4000人もの作業員が、被ばく作業に従事している。このような状況なのに、政府はまだ原発推進方針を変えようとしない。
今も故郷である福島に帰ることができずに、全国各地で避難生活を続けざるを得ない母子がいる。甲状腺がんを発症し、転移して苦しい思いをしている青年達が、「自分たちの病気の原因が原発事故だと認めてほしい」と裁判を闘っている。バッシングを受けながらの苦しい闘いを、300人を超える被害者を代表して頑張っているのだ。
原発について語る時、福島の事故を抜きにしては語れない。避難するかどうかを巡って、一家離散の憂き目にあった人も多い。作業員の被ばく状況については、明らかにされていない。追跡調査も徹底されていない。
今、原発の再稼働を論じる時ではない。すべての原発を廃炉に!命を守れと訴える時である (沢)