-
2025.06.04
日本新聞
狭山事件の再審を求める市民集会に全国から結集
4623号1面記事
狭山事件の再審を求める市民集会に全国から結集
「石川一雄さん追悼!第4次再審闘争勝利!東京高裁は再審開始を!」
狭山差別裁判闘争はすべての差別反対、すべてのえん罪晴らす闘い
5月23日、「狭山事件の再審を求める市民集会」が開催され、日比谷野音に全国から差別反対の思いでかけつけた。去る3月11日、石川一雄さんは急逝された。殺人犯のえん罪を着せられ62年、人生を奪われたといっても過言ではない。しかし、石川さんは屈せずに差別反対を闘い抜いた。
石川さんの遺志を継いで、早智子さんがすぐさま第4次再審請求した。今集会は第4次再審のスタートとなる集会だ。
開会のあいさつで西島・部落解放同盟中央本部委員長は「いよいよ証人尋問が始まるのではという強い思いをもって望んでいた中での石川さんの死は、残念無念だ。これを乗り越え、第4次再審勝利を一刻も早く石川さんに届けたい。新100万人署名を全国的に強化し、できるだけ短期間に100万人署名を達成し、世論を動かす原動力にしたい。同時に今国会で再審法の改正をかち取っていかなければならない」と訴えた。
作家の落合恵子さんは「私は敗戦の年に生まれた。これを必然として生きてきた。そしてこの国で差別される側の母の娘だ。誰かが自分の努力でどうにもならないことで差別されているのを見たら、それは私の痛みだと生きてきた。石川さんの苦しみを一人の苦しみ、一人の悔しさにしてはならない。ボブ・ディランが“罪人とは、間違ったものを目にして、それが間違っていることに気づいたにもかかわらず、それから目をそらしてしまうことだ”と言った。本当にそうだと思う」と語った。
社民党の福島みずほ参議院議員は「今国会で再審法改正を何としても実現したい。一つは証拠開示、もう一つは検察官不服申し立ての禁止。今国会で何としても再審法の改正をしたい」と決意を述べた。
「生き抜いて無罪判決をかち取る」と早智子さん
早智子さんは悲しみを胸に、それを乗り越え闘う思いを語った。最初に石川さんが書き残した短歌を詠んだ。
● 権力にごまする司法聞こえるか/絶叫するわれの声が
● 真相は心の目では見えずとも/科学の進歩を重視されたし
● うぐいすが四季を問わずに泣き続け/無罪明白再審しろと
そしてこう語った。
「私は今、78歳です。なんとしても生き抜いて無罪判決をかち取りたい。一雄に今もかかっている見えない手錠をはずしたい。今の再審法では再審開始決定をかち取っても、再審もない。検察の上訴でいつまでかかるかわからない。検察は無実な人をどこまでも追いかけ、無罪判決を否定する。石川の無念と苦しみを二度と繰り返させないでください。苦しい人生の中でも一雄は「生まれ変わったらまたこの村に」と詠んでいる。
次の世もうまれしわれはこの村に/兄弟姉妹と差別根絶
彼は苦しい人生ではあったけれど、皆さんからこんなに支援され、愛され続けてきた。彼の人生は決して不幸ではなかった」と心に迫る言葉だった。
1972年から人生をかけて狭山事件の弁護を続けてきた中山弁護士が、車いすでかけつけた。
「1972年10月に石川さんから手紙をもらった。“自分は部落差別の中で教育を受けられなかったことに対しては恨まないが、教育を受けれなかった者に対する国家権力の冷酷さが許せない”と書いてあった。この言葉が私の弁護士としての原点となり、狭山弁護団で活動してきた。石川さんの無罪を求める闘いの根底には、部落差別にたいする人間的怒りと仲間への連帯の心情があった。狭山事件は部落差別に基づくえん罪事件であることを何としても認めさせなければならない」と力強く訴えた。
足利事件の菅家さんをはじめ、えん罪事件の被害者の方々から「狭山再審をともに闘う」と連帯のあいさつが続いた。
日弁連再審法改正推進室長の鴨志田祐美さんから、経過報告があった。
「再審法改正は今、手が届くところにきている。昨年3月、全部の政党がメンバーとなった超党派の再審法改正をめざす国会議員連盟が立ち上がった。今年5月8日現在で議連のメンバーは386名、国会議員は約700名なので過半数を超えている。去年の秋ぐらいから法案作りを始めて、いよいよ国会に上程する改正法案を作る最終段階に差し掛かっている。証拠開示についての命令、再審開始決定が出たら検察官の不服申し立ては一切認めない、有罪判決をした裁判官はその後の再審には関われない等々盛り込まれている。
ところが、議連の法案を出すためには、各議連のメンバーが所属している政党が承認しなければならない。問題なのは自民党。“法制審議会にきちんと諮問して、内閣提出法案で出さなければダメ”という自民党議員も出てきている。法制審に任せていたら、何年経っても法改正は実現しない。国会がんばれと応援しよう」と呼びかけた。
袴田事件では、再審決定に対して検察が抗告、その後、再審開始まで9年もかかったのである。人権侵害もはなはだしい。
石川早智子さんと連帯して、狭山第4次再審請求を闘い、再審をかち取り、石川さんの無罪をかち取ろう。狭山の闘いは石川さん一人の闘いではない。すべてのえん罪を晴らす闘いであり、すべての差別反対の闘いである。 (沢)
-
2025.05.28
日本新聞
4622号1面記事 国が横田基地PFAS調査、地下水汚染の解決を
4622号1面記事
国が横田基地PFAS調査、地下水汚染の解決を
立ち入り調査で幕を引こうとする国と東京都。「周辺の土壌や地下水
の汚染調査が必要」と市民団体。日米両基地や企業の責任を問うべき
昨年8月、豪雨の影響で横田基地の貯水池から約4万7000リットルのPFAS汚染水が基地外に流出した。米軍は10月に日本側に伝達。12月に国や都、周辺自治体が基地内に入り、現場で説明を受けた。そして5月14日、国や都が横田基地に立ち入り調査した。
PFASは自然界では生成も分解もできない「永遠の化学物質」と言われ、蓄積されやすい。発がん性も指摘される有害物質である。
昨年8月に漏出が起きてから9カ月も経って初めて、立ち入り調査し、サンプル採取。このサンプルは米軍のPFAS浄化装置を通過させて浄化された水である。それが日本の目標値1リットル当たり50ナノグラム未満であれば排出を許可するという。結果が出るまで2週間かかるという。
漏出したのは浄化した水ではなく、貯水池の汚染水である。米軍によると、貯水池には約150万リットルの汚染水が貯まり、PFAS濃度は1リットル当たり約1240ナノグラムである。これが流出したのだから、環境への影響は大きい。住民の命を守ることを第一に対策が講じられなければならない。
横田基地によるPFAS汚染は今に始まったことではない。
2003年
多摩地区の下水処理場から高濃度のPFOSが検出。その後、横田基地の排水から高濃度のPFOSが検出。
2012年
横田基地で推定約3000リットルの泡消火剤を漏出。米軍は事故を隠ぺい。
立川市西砂町の井戸から1340ナノグラムのPFOS検出。
2019年
同じく西砂町で最大525ナノグラム検出。
2021年
都が立川市、府中市など7市で11浄化施設と34本の井戸からの取水停止。住民の血液からPFAS検出。
これでも都知事は米軍に抗議すらしない。横田基地だけではない。沖縄でも嘉手納基地近くの北谷浄水場の水源の河川などから高濃度のPFOS、PFOAが検出されている。日本全国の米軍基地が汚染源となっている。ドイツでは米軍基地周辺の浄化費用は米軍が出しているが、日本では政府と地方自治体が負担している。全く理不尽である。
ダイキンなど企業の責任は明らか
日本の企業ではダイキン工業とAGC(旧旭硝子)が世界主要有機フッ素メーカー8社に入っている。これらの企業の排水垂れ流しによる河川や地下水汚染、大気汚染は深刻だ。
2012年6月
環境省のPFOS・PFOA汚染調査で第1位が摂津のダイキン工業淀川製作所近くで、1リットル当たり5500ナノグラム。ダイキンは少なくとも1960年代後半から2015年までの45年間以上、PFOAを製造・使用し、排水を地域の用水路に流していた。住民は用水路から水を引いて農作物を作ってきたのだ。
1953~55年
東淀川区と摂津市の一部で、農牛47頭が怪死。ダイキンは4台の耕運機を配った。
1955年6月
1963年6月
1973年6月
無水フッ素ガス漏れで、農作物被害、340世帯避難、用水路には死んだ魚が浮いた。
当時の府知事はダイキンの責任をあいまいにし、事態を放置。府知事の後援会長がダイキンの会長だった事実がある。ここにも政治と企業の癒着があり、住民が犠牲にされてきたのだ。
PFASの危険性も知らされず、便利なペットボトル、こげつかないフライパンなどと生活全般にPFASを取り入れさせられてきた。企業は危険を承知で儲けるだけ儲けるというのが本質だ。問題になったら、それをやめて、次の儲けの手段を考えるだけである。
汚染源をはっきりさせ、汚染の根源を断たない限り解決はない。米軍も企業も、住民の命や健康など二の次三の次である。私達市民が力を合わせて、米軍や企業の責任を問うように政府に求めていかなければならない。 (沢)
-
2025.05.21
日本新聞
沖縄県議会が米兵性暴力に抗議決議
4621号1面記事
沖縄県議会が米兵性暴力に抗議決議
沖縄だけでなく日本全国の米軍基地周辺で、繰り返されている性暴力、事件、事故。日米地位協定の抜本改定で屈辱外交を終わらせる時
9日、沖縄県議会は県内で米兵による性暴力事件が繰り返されていることで、米軍や日本政府に具体的で実効性のある再発防止策を求める抗議決議案と意見書案を全会一致で可決した。沖縄県議会は昨年7月にも米兵事件への早急な対策を求め、抗議決議をしたが、「再発防止の取り組みは不十分、真摯な対応がなされていない」と非難した。今回改めて、再発防止策と共に、被害者へのケア、日米地位協定の抜本的改定などを求めた。
沖縄で米兵による性暴力事件が相次いでいる。1月には女性が知人の米海兵隊員に暴行を受け、2月に被害申告をしたが、4月24日に不起訴になった。暴力を受けた実際があるのに不起訴は不当だ。3月には米海兵隊員がトイレで待ち伏せして女性を襲い、助けに入った女性の顔面を踏みつけるなどしてけがを負わせた。昨年5月、6月にも米海兵隊による性暴力事件が2件相次いで引き起こされ、起訴された。一昨年12月には米空軍兵長が16歳未満の少女を誘拐して性暴力を加え、わいせつ誘拐、不同意性交の罪で実刑判決を受けた。
こうした事件に対して、ジョージ・グラス駐日米大使は「米兵が容疑者となった事件の報道を深く憂慮している」と語った。謝罪はしていない。事件を起こした米海兵隊員同様、日本女性の人権を認めていないと言わざるを得ない。
こうした事件は今始まったことではない。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(高里鈴代、糸数慶子共同代表)は、「1945年4月に米軍が沖縄本島に上陸した直後から、各地で米兵による性暴力が起きている。1972年の施政権返還後も性暴力による人権侵害が繰り返されてきた。戦後80年、沖縄の女性の人権は侵害され続けてきたのである」と指摘している。そしてそれは沖縄だけの問題ではなく、日本全国の米軍基地周辺に共通した深刻な問題である。
不平等極まりない日米地位協定の抜本的な改定を
米兵が事件を起こしても、基地内に逃げ込んでしまえば日本の法が適用されず、いつのまにか米国へ帰国していた、というケースも多い。日本の法は米軍基地には適用されない、捜査権も及ばないという不平等な日米地位協定の存在は大きい。
第二次世界大戦での敗戦国である日本、ドイツ、イタリアにはそれぞれ米軍基地が存在する。それぞれの地位協定を比較すると、日本の無権利さに驚く。
駐留米軍に対して、
日本では適用されない
ドイツ・イタリアは適用
日本は基地への立ち入り権の明記がない
ドイツは立ち入り権の明記あり
イタリアは、駐留米軍がイタリア軍司令部の下に置かれる
日本では規制できない
ドイツ側の承認必要
イタリア側の承認必要
日本は捜索権を行う権利を行使しない
ドイツは現場を規制、調査に主体的に関与
イタリア検察が証拠品を押収
無権利な日本の姿が浮き彫りにされている。駐留米軍は日本で好き勝手に蛮行を働いても、地位協定で特権的に守られている。日本政府はこれまで一度も米政府に対してき然とした態度を取らず、奴隷外交と言うほかない屈辱的な対応をしてきた。その結果が、今日の理不尽な状況を引き起こし、多くの犠牲を生みだした。
この不平等な地位協定の抜本的改定なしに、問題の解決はない。政府はこの問題に真剣に取り組むべきである。 (沢)
-
2025.05.14
日本新聞
憲法大集会に3万8000人結集
4620号1面記事
憲法大集会に3万8000人結集
「未来は変えられる!戦争ではなく平和なくらし!」
軍拡ではなく、不戦・基本的人権保障の憲法守ろう。沖縄からも理不尽に対する怒りの声
5月3日、「2025憲法大集会」が開催され、3万8000人が有明防災公園につどった。
実行委員の菱山南帆子さんの「幾度も訪れた改憲の危機を乗り越えてきたのは、この憲法集会を中心とした粘り強い市民運動があったからだ。ミサイルで戦争を作り出すのではなく、憲法をもって平和を作り出す時」という元気な訴えで開会した。
日本原水爆被害者団体協議会・代表委員の田中煕巳さんは「13歳の時に長崎で被爆した。核兵器は絶対に使ってはならない。今、1万2000発の核兵器が地球上にある。なぜ日本被団協がノーベル平和賞を受賞したのか。それは今日の世界情勢にある。核戦争が起きる危険性が高まってきたからだ。私たちのこれまでの70年、80年にわたる努力を引き継いで、みなさんが日本中に世界中に広めてほしい」と訴えた。
今、政治を変え平和への道へ
政治経済評論家の古賀茂明さんは「日本はアメリカと戦って原爆を落とされたのに、アメリカは一番大事な同盟国だ、友達だと、日本人は思わされてきた。日本国憲法は市民のつながりで世界の平和を守っていこう、と前文にはっきり書いている。そこに立ち返ることだ。アメリカとの関係を問い直すのは、中国との関係を問い直すことと表裏一体だ。中国が怖いという人がいるが、中国の人と話をしてみればいい。誰一人、日本と戦争しようなんて思っていない。日本は中国に向けてミサイル基地を造り、射程距離を伸ばして北京に届くようにしている。そんなことをしたら相手も心配になる。中国との関係を安定させなければならない。今、ヨーロッパもアジア諸国もアメリカから少し離れていっている。日本だけがアメリカにしがみつこうとしている。今、大きな分かれ道だ。今がチャンス。去年の衆院選で私たちは結果を出した。自公に勝てた。この夏、参院選がある。衆議院も解散してほしい。そのために躊躇なく不信任案を出してほしい。そして衆議院でも参議院でも勝って政治を変える。戦争に向かっている流れを変え、憲法を復活させよう」と明解に呼びかけた。
アメリカは友達、中国怖いという宣伝に乗せられるのではなく、話をしよう、それが日本国憲法の精神、本当にそうだと思う。自分の頭で判断することが大事だと感じた。
社民党副党首の大椿ゆうこさんの訴えが心に響いた。「憲法は私達が生きていく方法を示してくれている、と実感した体験がある。30代半ば、長年非正規労働者として勤めていた私立大学を雇い止め解雇された。1年ごとの更新で最長4年までしか働けない。仕事はあるのに、なぜ数年で首を切られなきゃいけないんだ。そういう思いでたどり着いたのが労働組合。そこで“大椿さん、あなたが有期雇用をおかしいと思っているその直感は間違っていないよ”と初めて、そう言ってもらえた。3年9か月、継続雇用を求めて闘った。職場に戻ることは出来なかったが、憲法28条の労働三権、これがなければ私達非正規労働者は生き延びられないんだ、そう実感した。憲法とは、私たちが使い、生かしていくものだと実感した。
私の父は91歳、最近会うたびに私に言う。“戦争はしちゃいけないよ。この国は憲法9条がある。戦争しないと誓ったんだろ”と、時に泣きながら伝える。子どもの時に遠くの岡山大空襲の炎を見て、花火だと思った経験がある父は、今、戦争に向かう政治に強い危機感を持っている。父の思い、みなさんの思いをしっかり受け止め、戦争は絶対させない」
全国で進められている戦争準備に歯止めを
沖縄の風・代表の伊波洋一さんから、沖縄の状況が報告され、「沖縄や日本全国を戦場にしないために、憲法9条を守り、日本の未来を閉ざす安保3文書を一日も早く廃棄させよう」と訴えられた。
慶応大学法学部4年・沖縄出身の崎浜空音さんは「日本国憲法の規定する国民に、私達うちなんちゅは含まれているのでしょうか。沖縄には米軍基地が70%も押し付けられ、私の生まれた北谷町も面積の50%以上が米軍基地。米兵による性暴力、爆音、PFASなど様々な問題が起きている。
4月28日は沖縄では屈辱の日と呼ばれている。サンフランシスコ条約によって、日本から切り離され、主権が及ばなくなった日。27年もの間、私たちが求める憲法に私たちは入っていなかった。そして復帰後も何も変わらなかった。沖縄には憲法の上に日米地位協定があると言われている。
東京の、日本の平和は沖縄の犠牲の上に成り立っているのではないかと問いたい。東京で、基地をなくそう、地位協定を改定しようという世論が高まっていると言えるのか。沖縄の犠牲の上に成り立つ平和を、もう終わりにしたい。沖縄の現状は日本が変らないと決して変わらない。沖縄に憲法が適用されない現状を、日本で、この東京で変えたいと強く願う。共に頑張りましょう」と、訴えた。
“沖縄の犠牲の上に成り立つ平和”この言葉は私達にとって実に重く痛い言葉だ。そして、憲法が適用されていないのは、沖縄だけではない。私達一人一人が憲法が生かされる社会を作っていかなければならない。平和、人権が守られる政治に変えていかなければならないと、強く思わされた憲法大集会だった。
集会後、お台場海浜公園駅まで、「戦争反対」「政治を変えよう」と思いを込めて訴えながらデモ行進した。 (桐)